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世界で生きていると感じた日。

引き続き営業活動をひたすら続けながら、まこと幼稚園の正課、課外教室、そして小学生の英語教室の対応に追われる毎日を続けていた。

とはいえ、ある程度流れは掴めてきていたので、二人の講師のサポートを受けながら、いい意味で忙しい日々を過ごせていた。

アンドレイとメアリー、共に園児たちに慕われながら上手く業務をこなしてくれていた。

二人ともいつも楽しんでくれているように見え、このままリモートクラスのハンドルが握れるようになってくれればと考えていた。

しかし、そんなに物事は上手く進んではくれなかった。

なんと、アンドレイが日本を離れると言い出したのだ。

これは正直予想外だった。

いや、いつかは可能性があることではあったが、こんなにすぐにとは考えていなかった。

アンドレイは、その10年以上の英語講師のキャリアから、立ち上げ当初からカリキュラム作成のアドバイスをくれたり本当に貢献してくれていた。

子供たちもアンドレイが大好きで、保護者や先生たちにも人気があった。

そして何より、僕自身が彼のことを本当に信用していて、実際に課外レッスンに関しては、Andrei's lessonと題して、もはやアンドレイにメインで行ってもらっていた。

だから、アンドレイがいなくなると、これまで積み上げてきた流れが大きく変わることは容易に予想できた。

しかし、しっかりとアンドレイと話をした結果、僕はそれを受け入れることに決めた。

アンドレイは、これからタイに行って英語講師のキャリアを続けていくという話だった。

しかし、実はそれと並行してやりたいことがあるという。

それは、プログラミングである。

プログラマーとして、場所を選ばない職を持つことで世界中を旅しながら生活したいという希望があるという。

僕としても、その生活スタイルには賛成というか、むしろ僕自身もそうなりたいと考えていたこともあるし、うらやましく感じるほどだ。

そしてアンドレイは、今後の目標を話してくれた際に、他の仲間たちとすでに作成を開始したというアプリを見せてくれた。

日本のキャラクターをモチーフにした格闘ゲームだった。

そして、その時アンドレイは僕にこんなことを言ってくれた。

アンドレイ:「こうしてやりたい目標に向かって走り出す勇気をくれたのは、実はゲーシーだよ。以前に俺がこんなことを尋ねたのを覚えているか?」

「なぜそんなに行動的になれるんだ?俺は何かをしようとするとき、いつもいろいろ考えて躊躇してしまう。まだ準備が出来ていない。成功する保証もない。いつもそう考えてしまう。だから聞いてみたいんだ。一体なぜ今この事業を行おうと走り出せたのか?」

するとゲーシーはこういったんだ。

ゲーシー「準備なんか出来てないよ。でもそんなこと待っていたらいつまで経っても始められないから、ある時にこう考えるようにしたんだ。人間を大きく二つのカテゴリーに分けたんだ。それは、やる奴と、やらない奴。その中でどちらかを選ばざるを得ない状況にすることで、俺はやる奴になると決めただけだよ。だから、出来る出来ないではなく、やってるだけ(笑)」

アンドレイ:「俺はあの時、俺も今すぐやろうと決心出来たんだ。ありがとう!」

確かにそんな話をした記憶が蘇ってきた。

実は僕は、アンドレイが”ありがとう”と言ってくれた時、初めて

”世界で生きている”という実感が持てた。

初めてカナダに行ったあの頃から、とにかく英語で苦労してきた。

外国人と対話する時は、どうしても言葉が壁があり、まるで自分が赤ちゃんになったかのような、相手はそういうつもりはないかもしれないが、勝手に見下されているような感覚に陥ることも多かった。

とにかく、相手の言っていることを理解すること、そして自分の伝えたいことを英語で文章にすることに必死過ぎて、果たして話している相手が気が合う人間なのかどうかを判断する余裕なんてもちろんなかった。

だから、自分から相手に影響を与えているかどうはおろか、対等に向き合って話が出来ているかどうかすら自信がなかったのだ。

しかし、今、こうして自分だけを信じて行動している姿が、言葉の壁を越えて、外国人に影響を与えることが出来ている。

この事実を目の当たりにしたとき、本当に嬉しかった。

やっとここまでたどり着けたんだと。

この出来事は、僕の中で大きな自信となり、またこの事業に向けて、さらなる情熱を注ぎこむきっかけとなってくれた。

こうして、アンドレイは、「どこでもWorldKids」から脱退することになった。

事業としては大きな痛手だった。

しかし、それでもすごく清々しい別れが出来たと思う。

そして、もちろんこれで終わりではない。

お互いが自分を信じて行動し続ければ、いつかどこかでお互いの道が交わる時が来るだろう。

その時はまた、一緒に何かできたら最高である。

ありがとう、アンドレイ!

いってらっしゃい!







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