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霞が関から戦略コンサルに転職した友人に伝えたこと

はじめに

 最近、また霞が関の友人がコンサルに転職しました。昨日依頼を受け、最初の1年を元気に過ごすためのTips(ぼく目線)を色々お伝えしましたので、その時話した内容を以下整理します。役人からだけでなく、事業会社から戦略ファームに移った人にも何かの参考になるかも…?
 ※最初の立ち上がりをどうするかという話なので、マネージャーになるためには/パートナーになるためには、といった話とは別軸です
 ※今回も、かなりバイアスが入っていると思います。あと、友人に話した順に(思い出しながら)書いており、全く構造化されていないです。文章も粗いのでどこかで見直します。

登場人物

ぼく
・社会人10年目くらい
・役所から戦略ファームに転職
・戦略にはペーペーから3年ちょっと在籍
 ーなので、偉そうな記載は読み飛ばしてください
・マネージャーはやってない
・メンタルが異常に弱い

友人
・めちゃくちゃ優秀
 ーなので、ぼくは全く心配してないです

1. それまでの蓄積でパフォームしても意味がない

 役所でそこそこ経歴が長い人が戦略に移ると、最初の2-3プロジェクトは昔とった杵柄で一時的に(他の転職者に比べ)パフォームすることがある。文章能力、ロジの足腰、精緻な分析力等がそのままインポートできるため。特に、クライアントがトラディショナルな日本企業であったり、テーマがリサーチ多めであったりする場合

 但し、そこで良い評価を得てもコンサルとしての力は全く身についていないため、後々爆死する可能性が高い。ぼくも最初の3PJくらいは、ほぼ文章力とロジ能力の一発屋として結構良い評価を経てそこそこいい気分だったのだが、その後のPJで完全に破綻した。それはそれは見事な爆死であった。今でも思い出すたびに憂鬱になる。

 まずは、それまでの蓄積をレバレッジしつつも、戦略ファームでいちメンバーとして自走できるための足腰を鍛えたほうがよい。それは、役所で求められるそれとは若干異なるし、きれいなスライドを書けるとかAlteryxを扱えるとか、なんかそういう次元の話でもない

2. 論点/仮説をとにかく意識したほうがよい

  じゃあそのコンサルとしての足腰は何だという話だが、個人的には、「論点/仮説を立てながら、検証プロセスをクイックに回せるようになること」だと思っている。役所から移ってきた人間は、作業まで落とし込まれているとそれなりにできるが、自分で論点/仮説を整理するという経験が相対的に乏しいため、そこで苦労することが多い。

 とにかく、プロジェクトの背景/目的を理解した上で、目的達成のための論点は何か、論点に対応する仮説は何かというのを粗々でもいいので常に自分で書き、仮説を検証するためのワークプラン策定の主導権を握ったほうが良い。そうしないと、誰かの思いつきに振り回される一部役人と同じ働き方になってしまう。また、仮説を理解せずワークプランを作れないメンバーに対しては、マネージャーもマイクロマネジせざるを得ず、結果として本来の力を発揮できなくなる。

 なお、論点/仮説についてはプロジェクトが進むうちにアップデートされることも多いため、常にマネージャーとの議論の中で摺合せしておいたほうが良い。

3. 気持ち悪くても、スタンスを取ったほうが良い

 論点/仮説の話にも繋がるが、役人上がりは「で、君はどう思うの?」という問に対してスタンスが取れず苦労することが多い。役人目線では「え、こんな粗いファクトで言い切れるわけない」と思う瞬間もあるが、スタンスを取らないメンバーはチームや顧客への貢献が無いと言っても良いと思う。気持ち悪くても、とにかく言い切ってしまうことが重要だと思う。

 なぜなら、役所で求められる精緻さ/ファクトの積み上げスタイルと、企業向けで求められるそれは異なるから(優劣の議論ではない)。理由は2つあると思っていて、第一に思考の進め方の違い。役所はどちらかというとボトムアップでファクトをつみあげて議論することが多いけど、コンサルは先程言ったとおり仮説検証をクイックに回していくスタイルであり、そのためには粗いファクトからでも仮説に対する示唆を見出していく必要がある。それを繰り返して仮説をブラッシュアップしていくことで、最終的には確度の高い提案になっていくのだと思う。

 第二に、まあ一点目の背景と言ったほうが良い気もするけど、役所と民間それぞれの意思決定で求められるハードファクトの程度の問題役所の意思決定は一歩間違えたら人が死ぬので、徹底的に調査し、間違いがないものを作る必要がある(リソースの乏しさの中で、どこまで完璧にできているかは別として)。他方、民間企業の意思決定(及びそれをサポートするコンサル)では、もちろん公益や人命に関わることも多いが、営利という側面では、アクションを取らないことによる機会損失にも気を配る必要がある。そのため、死ぬほど時間を掛けて虱潰しにリサーチしてから行動に移すよりも、ある程度仮説が検証されれば一旦動いてみて、その中で軌道修正していくことが最終的なアウトプットに繋がるのかなと思う。統計の初歩で言うと、Type2エラーをどこまで深刻に捉えるのか、それを踏まえてどの程度の信頼区間を置くかみたいな話だと思う。

 とはいえ言い切るのはやっぱり気持ち悪いと思うので、以下の感じで整理して伝えれば多少気持ちは和らぐと思う。

 ①仮説に対する現時点での見立て(言い切り)
 ②現時点でそう思う理由
  ・サポートするファクト/ロジック
 ③対立するファクト/未検証点/懸念
  ・ここは正直に伝える。仮説を当てにいってはいけない
 ④上記を検証するためのワークプラン

4. 一人でやりきることは美徳でもなんでもない

 役所では、無理難題でも一人で案件をキャリーして走り切ることが美しい的な風潮がまだ一部残っているけど、コンサルでは全く求められないし歓迎もされない。そもそも、アウトプットはチームで出すものであって、個人がどれだけ頑張ったかどうかよりもチームとしての成果を最大化することが主眼。

 また、一人で抱え込むよりも、マネージャーや他のメンバーとの議論で仮説を進化させたり、海外のリサーチチーム等をレバレッジしたほうが良いものが出来る。自分が担当している論点に責任を持つことと、一人でやりきるのは全く違うよねという話。あと、一人で抱えている間、マネージャー目線ではその人が何をやっているのか全くわからんので、結果としてマイクロな介入を招いてしまう。

 おすすめは、マネージャーやリードと、1日1-2回個別MTGの時間をもらっておき(事前に1-2週間分, できればPJ期間中押さえておく)、雑談ベースでもよいので、懸念や困っていることを議論するようにしておくこと。定期的に入れておくと人間嫌でも相談するので、抱え込むリスクはかなり下がる。

おわりに 

 長くなりましたので、今回は以上です。次回は、人間関係、昇進の考え方、働き方、転職の考え方等について伝えたことをまとめたいと思います。

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