僕の車選び

 車を持っている人はみんな、何かしら車を買うきっかけがあったと思う。
例えば、引っ越しで車が必要な地域に移住したとか、憧れの車があるからとかだ。
しかし僕の場合は「ガキンッ」と音が鳴ったからだった。

 この音は僕の自転車から鳴った。
後輪のプラスチックが割れてチェーンが外れたことで鳴った。
ただの自転車ではない。中学校に入学してから暗黒の大学時代(暗黒だったのだ)を経て10年以上乗っていた自転車だった。
それが近所のスーパーからの上り坂の途中で壊れたのだ。同時に自分の中のなにかも壊れた。その時に思ったのだ。
"そうだ、車を買おう。"

 全くもって論理的ではない。家は首都圏にある閑静な住宅街というやつで、駅とスーパーには自転車で行けるのだから。しかも、家の周りの道は入り組んでいる上に狭い。そもそも自転車が壊れたら自転車を買うべきなのだ。
しかし僕は車を買うことにしたのだ。

 もともと乗り物が好きだったから、車も割と興味があった。ほしいな、と思う車もあった。しかしそれは普通の人が空を飛びたいと思うような、ふんわりとした感情だった。そう、GR86が欲しいなと思っていた。GT86と違ってかっこよかったから。どうせなら黄色がいいな。黄色じゃなきゃ車じゃないし。するとどうだろう、GR86には黄色が無い。じゃあ何がいいかなと思った時、ひらめいたのがボクスターだ。ミッドシップでオープンカーで黄色い、完璧だね。

 でもボクスターも高すぎた。初代なら買えるのだけれど、見た目が好きな二代目は高すぎる。中古車を買うのにローンは少し馬鹿げてるし。ここまで読んでいただいた人は「じゃあロードスターはどうだ?黄色ないけど」と思われたことだろう。展示車を見て触ってみたのだが、シフトフィールがネチョっとしてて、フロントの枠が太くて爽快感が無かったのだ。後最初から高いの買うと怖い。

そんな感じでカーセンサーを漁っていたら、意外な物を見つけた。それは…

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