ジョージア料理に恋して⑤ElaとMaia
ジョージア美食研究会というFacebookの公開グループがある。
そのグループにある時私が「ジョージアに料理留学するのが夢です」と軽い気持ちで投稿した。
「トビリシで料理教室を経営している人を知っているので紹介しましょう」とコメントをくださった方がいた。
その方から紹介されたのが、Elaだった。
留学には程遠い短い滞在だったけれどElaはジョージア料理の専門家Maia による伝統料理のプライベートレッスンを組んでくれた。
そうです。
私はそこでヒンカリのレシピを学んできたのです。
餃子的な料理はいろいろな国にあるが、皮のタイプは卵を入れるか入れないかのどちらかに大別される。
中国の餃子は、中力粉を塩水でこねる。キルギスも同様だった。
事前にYouTubeでヒンカリの作り方を調べると、卵を入れている。ただしほとんどがジョージアではなくロシアで制作された動画だ。小麦粉も、薄力粉か中力粉か強力粉は不明だった。
Maiaのヒンカリは卵を使わない。中国同様塩水だけでこねる。薄力粉か中力粉か強力粉かなんて、私の英語力では質問できなかった…けど、中国同様中力粉だと勝手に解釈した。
「中国のダンプリングは小麦粉のほかにスターチを入れるでしょ?」とElaが私に質問する。
「小麦粉だけ」と答えた。
Elaは世界中を旅していて世界中の食べ物に詳しかった。
Maia は私に大量のパセリとパクチーを刻むように言った。
ヒンカリには大量のフレッシュハーブを入れるのだ!
そして味付けは、塩だけ。
お肉と玉ねぎと大量のハーブとニンニクと塩のシンプルな組み合わせだ。そしてお水をタプタプに加える。
塩はどのくらい入れるのだろうか?
特に分量などは教えてくれない。Maiaは生のお肉の入った餡に指を入れると指先を舐めて味見をした。なんつーアバウトな!!
生地の扱いもアバウトだった。
中国の餃子の場合、生地をきちんとまず等分してから一個分ずつ伸ばしていく。
ヒンカリは、適当な厚みになったら直径6センチほどの丸い型で抜いていく。
もちろん生地は余ってしまう。が、そんなことは気にしない。
包み方もアバウトで、ひだを寄せて包んだら上の方はブチッとちぎってしまうのだ。ちぎるぐらいならきっちり包める大きさに皮を伸ばせばいいのにってきっと中国の点心師なら怒り出すだろう。
さらにジョージアでは、この生地を合わせたつまみのような上の部分は、食べるときには残してしまうのだ。なんともったいないことを(笑)
包んだヒンカリは塩水で茹でて出来上がり。
中国の餃子と違って何もつけずに食べるので、塩水で茹でることで皮はほんのり塩味になる。
私とヒンカリの馴れ初めは以上。
私は帰国してから日本でヒンカリ作りを広めていくことになるのだが、この時まだ自分でもそんなことになるとは思ってもいなかった。
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