東京優駿(日本ダービー)に全てを賭けて

ついにダービー。
思い入れがあってもなくても、ダービーは特別な時だと感じてしまう。
データベースを検索するとき「日本ダービー」と入力することにワクワクする。西日本ダービーも引っかかるので冷静に東京優駿と入れ直すのだけれど。

はやる気持ちを抑えて、予想はいつも通り、じっくりやってみる。

ラップタイム分析

まずはラップタイムの分析から。
今回は過去5年じゃなくてなんとなく8年にしてみた。

図1,過去8年のラップタイム

正直これだけでは何もわからないので、8本を上手くパターンで分類化する。

1,ギザギザ型


該当年:2021,2020,2017,2016

図2,ギザギザ型のラップタイム

まずはギザギザ型。M字型って名前にするか迷ったけど言うほどMじゃないのもあるので簡易的に。レース中でのペースのアップダウンが大きいタイプ。
21年:
シャフリヤールの年。バスラットレオンが緩く逃げ、3コーナー過ぎから加速開始。1~3着はじっと構えて上がり最速の3頭。最後はハナ差だった。
20年:
コントレイルの年。ウインカーネリアンがハッキリと主張し逃げた。後方からまくってきて3コーナーからまた別のペースに。1,2着はそれぞれ上がり1,2位。前に居て最速の上がりのコントレイル・・・。1~3着全てレースペースが乱れても自身の動きは変わらなかった。
17年:
レイデオロの年。横山典弘がマイスタイルで逃げてドスローに。それを嫌って向こう正面でまくったレイデオロが押し切った。普通ならあの捲りは負けパターン。後続の馬の末脚が鋭くなかったから差されなかったというべきか。
16年:
マカヒキの年。マイネルハニーが逃げ、上記3年と比べて序盤は流れる。上位三頭は上がり2,3位の馬。最速の上がりを出したリオンディーズは5着。

ギザギザ型のレースは中盤を緩める馬が逃げるためにペースのアップダウンがあると想定できる。このパターンのレースで勝つには、ペースが緩んでも人が焦らないことと、馬もかからずに耐えられること。そして中団からちゃんと末脚を使えることだろう。

2,平坦型
該当年:2022,2019,2018,2015

図2,平坦型

次にラップタイムが平坦なタイプのレースを見る。ギザギザ型と比較すると大きな山がないタイプ。数値的には1ハロン目以外で12.5秒を越えるラップがないレース。
22年:
ドウデュースの年。デシエルトが逃げ緩まないペース。集団もそれを追いかけた。速いペースのまま直線に入り、最後方からドウデュースとイクイノックスが突っ込んできた。3着は速い流れを前で受けきったアスクビクターモア。ダービーレコード。
19年:
ロジャーバローズの年。ダービー初騎乗の横山武史がリオンリオンで後続を離した速い逃げ。後続集団の先頭がロジャーバローズで、正確にはわからないが遅い流れになった。3コーナーではロジャーバローズも後ろを離していて後方はスローすぎて届かない展開。上がりを使っても届かなかった。
18年:
ワグネリアンの年。皐月賞馬エポカドーロが逃げた。前半1000m60.8から徐々に加速し後続に脚を溜めさせない戸崎の超好騎乗。それでも好位にとりつくことの出来たワグネリアンに最後差しきられた。
15年:
ドゥラメンテの年。ミュゼエイリアン横山典弘が1000mを58.8のハイペースで逃げた。その後落としたがそれでも速いペース。皐月賞馬ドゥラメンテは直線であっさり交わし、ほぼ横並びで来ていた2着馬を寄せ付けなかった。ドゥラメンテは上がり2位。3着サトノクラウンが上がり1位。

平坦型のレースは基本的に速いペースである。逃げた馬がペースを緩めることがないので、そのペース配分によっては前が全滅するか、後続が脚を使えなくなるか、のどちらかになる。
昨年は速い流れだけれどギザギザ型ともみて取れそうなのがなんとも言えない。

今年はどうなのか

ギザギザ型では逃げた馬に特徴がある。バスラットレオン・ウインカーネリアン・マイスタイルは古馬になってから全てマイル戦線で活躍してるように、2400mが長い馬だった。そのために距離不安をなんとかするためスローペースで推移したのではないかと仮説が立つ。とはいえダービー出走段階でマイルを好走していたのはバスラットレオンのみ。
一方で平坦型で逃げた馬はミュゼエイリアンを除き2000m以上での逃げ切り勝利があった。ミュゼエイリアンはそもそも逃げたことがなかったので横山典弘。
今年逃げそうな馬(逃げた経験のある馬)はホウオウビスケッツ、トップナイフ、グリューネグリーン、パクスオトマニカがいる。全てが2000mで逃げた経験があり、トップナイフ以外は勝利を収めている(そのトップナイフもホープフルS2着)。
ホウオウビスケッツとトップナイフは距離が怪しくは見えるが、前者は2走連続逃げておらずあまり積極的に逃げない丸田に乗り替わり。トップナイフは逃げたのがホープフルSのみとどちらも果敢には逃げなさそう。それなら常に逃げているパクスオトマニカがラップを刻むことになるのではないだろうか。
パクスオトマニカの鞍上田辺は先週のオークスで、逃げるとはあまり言われていなかったライトクオンタムで逃げ、12.0を淡々と刻む巧妙なレース運びをした。普通にハイペースだが、道中緩めることはしなかったし、ハナを取りに行ったら今回も同じようなペースを作りそう。
今回は田辺が淡々と逃げる、という想定で平坦型になると予想する

横山典弘

ここまで書いて思うことがある。
「横山典弘色々やり過ぎじゃね?」
8レースピックアップしたが
22年:最後方から観戦
21年:最後方から観戦
20年:向こう正面でまくりをかける
19年:騎乗停止で息子に乗り替わり大逃げ
18年:終始中団
17年:ドスロー逃げ
16年:最後方から観戦
15年:ハイペース逃げ
と派手になんかやるか全く何もやらないかの2択である。
どれも馬券になっているわけではないが、今年のノリさんはマテンロウレオて春G1を2回好走しているように何かやる気ありそう。今回乗るトップナイフはレオと同じ昆厩舎。なんかしてくると思う。何するんだろう・・・。
ちなみにここ最近はダービーで馬券になっていない。

血統

平坦型で勝ち負けになった馬の血統から探ってみる。
まず、速い上がりを使った5頭から(ドウデュース、イクイノックス、ヴェロックス、ドゥラメンテ、サトノクラウン)。
サトノクラウン以外の4頭はトニービン持ち、サトノクラウンはトニービンに似た力を持つSir IvorのクロスにHaloとRed Godと素軽い母系が特徴的だ。ヴェロックス以外は33秒台の上がりを使っていて、Lyphardのクロスがあったりして伸びの強化が為されている印象。

一方で先行して粘ったタイプは、エポカドーロを除きディープインパクト産駒で、アメリカの血が強いタイプ。特に、アスクビクターモア・サトノラーゼン・ワグネリアンはキングマンボorロベルトを持ち、パワーとタフネスを強化されたタイプのディープインパクト産駒。ロジャーバローズとダノンキングリーはそのようなパワー系の血は少ないが、母系は完全にアメリカ系。
エポカドーロはそもそもステイゴールド系のオルフェーヴル産駒で、ノーザンテーストのクロスのようにパワーを強化されている。

差し馬はトニービンやLyphard、先行馬はキングマンボ・ロベルトのようなパワーとタフネス系が求められる。そしてこのレースキングマンボ系が悉く来ない。レイデオロ・コズミックフォース・ドゥラメンテの3頭のみで、よっぽど合うように見えなければ厳しいかも。コズミックフォースが合うようにはほぼ見えないが。

出走馬の血統概論

今回の出走馬で上記の条件を満たすような馬は何だろうか。
差し馬と先行馬にそれぞれ分類しながら考えてみる。
差し馬
2,スキルヴィング
母母父がアドマイヤベガでトニービンを持つ。父キタサンブラックはLyphardのクロスもある。血統は最上位
5,ソールオリエンス
キタサンブラック産駒でLyphardはその中でクロスされているが、母系にトニービン的な血はない。Red Godが一本だけあるがそれくらい。しかも母父系のSadler's Wellsを持つ馬は全く来ない。こちらは厳しめ。
10,シャザーン
ロードカナロア産駒。速い上がりを使えるタイプではあるがトニービン等はなくダービー向きの血ではない。
11,ハーツコンチェルト
ハーツクライ産駒でトニービンがある。母系は米国系で、ドウデュースのような血統構成。合う。
14,ファントムシーフ
ハービンジャー産駒で、母系も欧州系。トニービンはないしSadler's Wellsはあるし合う要素はない。
18,サトノグランツ
サトノダイヤモンド産駒だが必要な血はない。この馬は京都でこそだろうし菊花賞で期待。

先行馬
1,ベラジオオペラ
先行馬。ロードカナロア産駒で母系にノーザンテーストを持ちある程度の条件は満たす。距離が課題。
3,ホウオウビスケッツ
父はアメリカダートで走ったマインドユアビスケッツ、パワー型。母系はキングマンボを持ちキングカメハメハを強化した血統。条件は満たすが距離がどうか。
4,トップナイフ
母父がNureyevを持つがサンデーサイレンスの血はなく、全体的に機動力が高いタイプ。東京2400の雰囲気ではない。
6,ショウナンバシット
父シルバーステートはロベルトを持つディープインパクト産駒で、先行馬としては凄く合う。母系もアメリカ系で良いがSadler's Wellsを持つ。
7,フリームファクシ
ルーラーシップ産駒でNureyevのクロスがある。東京2400mは底まで悪くはなさそうだが良いかと言われても微妙。
8,メタルスピード
シルバーステート産駒。母系もアメリカ系でキングマンボを持っていたりと良いがSadler's Wellsもついでにある。
9,グリューネグリーン
リオンディーズ産駒。キングマンボを持つが母系に凄く合う血はない。この馬の京都2歳Sは12.5を越えないラップタイムで淡々と逃げ切ったのでそこは面白いが、2400はそもそもどうか。
12,タスティエーラ
サトノクラウン産駒。こちらは父のこの時期とは違い速い上がりを使うより先行で粘るタイプ。アメリカダートの力もあり悪くはない。
13,シーズンリッチ
ドゥラメンテ産駒。サンデーサイレンスとトニービンをクロスしていて先行馬よりがっつり差して来た方が面白そうな馬。後方から行くよとか言い出したら買いたい。
15,ノッキングポイント
モーリス産駒。ロベルト×キングマンボなのだが、モーリス産駒が晩成であることや、距離適性の微妙さが微妙。
16,パクスオトマニカ
ヴィクトワールピサ産駒。姉が菊花賞3着馬でスタミナは豊富な母系。アメリカ系のパワーっぽさはあるにはある。東京2400よりは阪神2200のような見た目だが、警戒はした方が良い。
17,ドゥラエレーデ
ドゥラメンテ産駒。母父はオルフェーヴルなのでパワーもある。血統的に差し引く部分は少ない。

差し馬で注目なのは青葉賞からくる2頭(スキルヴィング、ハーツコンチェルト)、先行馬で注目なのはパクスオトマニカ、ドゥラエレーデあたり。

総合考察

既に淡々としたペースの平坦型のラップタイムになるとヤマを貼っているわけだが、ここはもう信じてやるしかない。その上での考察をいろいろしてみる。
平坦型のラップタイムについて、12.5秒を越えたタイムで走ることはない、というのを1つの基準にしてきた。過去の平坦型のラップタイムになったレースを見てみると、馬券になった馬の多くに同じように12.5を越えるタイムが出なかったレースで好走した馬が多い。
例えば、昨年のドウデュースは朝日杯の勝ち馬、マイルG1で当然12.5を越えることはない。イクイノックスは東スポ杯、アスクビクターモアは弥生賞がそうだった。
今回の参考レースで12.5秒を越えないレースは
・スプリングS(最後の1Fが12.6だけど重馬場)(ベラジオオペラ・ホウオウビスケッツ・メタルスピード)
・毎日杯(シーズンリッチ)
・若竹賞(パクスオトマニカ)
・京都2歳S(グリューネグリーン・トップナイフ)
・萩S(トップナイフ)
・1勝クラス(フリームファクシ・メタルスピード)
・未勝利(メタルスピード・シーズンリッチ)
・新馬(ホウオウビスケッツ・タスティエーラ)

とこんな感じに何度も名前が登場する馬がいる。揃いも揃って先行馬達。メタルスピード・・・やれるのか?
12.5秒ってマイルや1800のレースで良く出るけれど、その手のレースでしっかり走れてることが必要なのかもしれない。ドウデュースとイクイノックスはそうだったわけだし。

まとめ

ソールオリエンスを推す要素は前走強かった、くらいしか無いと思う。それで1倍台は個人的にはいつも通り好きではない。

◎スキルヴィング
○シーズンリッチ
▲パクスオトマニカ
△ハーツコンチェルト
☆メタルスピード
×ドゥラエレーデ

この6頭で3連複は無理だなぁ・・・
スキルヴィングは速いペースへの対応が鍵。ただ、母母母のソニンクの子孫は速いペースを得意としている。シンプルに12.5秒を越えないレースの経験が無いだけで、対応は出来ると見込む。人気馬ならここ。
シーズンリッチは血統的にはギリギリな範囲。しかも戸崎。1800で先行して若手騎手で勝つくらいには能力がありそうだし、差しても行けそうな血統。
パクスオトマニカは先行で残るとしたら、という期待こみで。勝ちまでは望まない。プリンシパルSはドスローだったが、速い流れも対応できそう、スタミナ勝負を作って欲しい。
ハーツコンチェルトはスキルヴィングと同じくらい評価しているが、後方になりそうなのが難しい。東スポ杯の3着馬で、このレースは12.5秒を越えないレースなのだが、3着なので取り上げにくかった。スキルヴィングを買うならこの馬も買わないといけない。
メタルスピードはシルバーステートがダービーで先行するには合いそう、から気にしているが、過去走ったレースも親和性が高い。
ドゥラエレーデはなんか面白そう。

スキルヴィングからの馬単ワイドメインで。








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