危機の宰相

読むのは2度目。が、全く記憶がない。ドッグイヤーがいくつもついているので、ちゃんと読んだはずなのだが。

おそらく、ぼくは「政局」が嫌いなので、人治主義的な政治の話に嫌悪感があって、そこがちゃんと読めなかったのだと思う。今読み直すと本当に面白い本だ。

本書の白眉は池田ではなく、下村治にある。孤高にして高潔。ビジョンを持つ稀有な官僚だ。かれが高度成長を「予測」(希望ではなく!!)したのが、後に「ゼロ成長」を「予測」(希望ではなく!!)したのと全く矛盾はない。多くの人は、予測と願望を区別できない。

大蔵省の下村が週2日しか仕事がなかったというのも驚いた。官僚はかくあるべし、だ。無味乾燥な事務作業や作文は生成AIあたりにやらせて、週に3日は天下国家を論じたり勉強したりするべきなのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?