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「高齢者認知症」という社会課題を解決する

こんにちは。ジョージ・アンド・ショーン(George & Shaun 以下G&S)代表の井上です。第5回の今回は弊社で取り組む事業のうち、最も注力している「高齢者認知症」についてお話したいと思います。

・高齢者認知症とは

 先週ちょうどNTT西日本様からの増資に関するリリースを発行しました。このリリースの中でも一部触れておりますが、僕らの会社G&Sで今最も積極的に取り組んでいるのが「未病」というテーマです。中でも特に近年大きな社会課題になっている高齢者認知症というテーマに積極的に取り組んでいます。

僕自身、身内に認知症の人がいたことをきっかけに、この事業の開発を始めたこともあり、井上個人としては事業であると同時に自分の人生のライフワークだと思ってこの事業を進めています。

ここで少し、認知症についての社会的な背景をお伝えします。ニュースで、高齢者認知症とか超高齢化社会といった言葉を耳にすることも多いかと思いますが、日本に限らず世界的に見ても医療技術の進歩によって高齢化というのは進んでおり、その中でも日本は高齢比率が世界第1位です。

認知症の人の数も年々増え続けていて、現在500万人、2025年までには750万人まで増えると言われています。750万人というのは65歳以上の高齢者の4人に1人が認知症という状況。当然その問題に関係する人たちも大きく増え、その結果、発生する費用も大きくなると推察されます。

実際、直近の調査ですでに年間14兆円という大きな費用がこの認知症のケアにはかかっていて、費用の増大というだけでなく、医療や介護も逼迫していくことが容易に想像できる。だからこそ、社会課題として大至急取り組まなくてはいけないテーマなのです。

そんな中、直近7月にエーザイ社から大きいニュースが発表されました。認知症、特に早期や軽度の認知症に有効だとされる薬剤が米国FDAで承認されたというニュース。世界的に見ても非常に画期的で、かつ特に、この課題を感じている本人やご家族にとって、非常に希望のあるニュースとなりました。

なぜなら一般的に認知症というのは、発症後の回復というのは難しく、それゆえ、予防や早期での治療が重要だと考えられているからです。僕らの事業はまさにこれをテーマにしたもの。かかってしまうと治すことが難しいから、何かしらの兆候があるならば、とにかく早期に発見して、発症しないための介入をしていこうという取り組みとなります。

・AIを使って認知症を早期に発見する

一方で、認知症の手前段階と言われる軽度認知障害(MCI)の人たちは、本人も自覚意識がないことが多いのが現状。また、MCIの時期は非常に長く、10年近くにおよぶケースもあり、いわゆる一般的な高齢者と大きく状態が変わらないため、ご本人でもそこに意識を持つことが難しいと言われています。

ですので、お医者さんにかかってMRIを撮ってもらうとか、専門的な脳ドックや血液検査を受けるということを、意識的にされれば発見はできますが、なかなかお医者さんにかかること自体が難しいというのが現実でもあります。

そこで僕らは、日常的な生活習慣のデータから、これを発見するということに約4年間取り組んできました。例えば、睡眠のデータから見ていくと、夜間に起き出してしまうとか(中途覚醒)、睡眠時間のばらつき、寝つきの悪さなど様々なところにその兆候が現れると推察されます。睡眠に限らず、対話の仕方(目線の動きや、声の調子なども含めた対話の情報全体)や、移動の仕方(歩速や日常的な行動の仕方など)にも同様に変化が現れると考えられています。

G&Sでは、これまでの4年間で加古川市をはじめとする数多くの協力者様から、データをいただき、こういった各行動の状態の特徴をAIを使って炙り出していくというシステムの開発を行ってきました。

これによって例えば、高齢者施設内の位置情報を見守りサービスから取得し、移動情報の履歴を利用して、認知機能の経過を推定するサービスを付加価値として提供しようとしています。

具体的には、
施設向けサービスとして自社で展開する「施設360°(しせつサンロクマル)」

そのサービスの中の一機能として、高齢者の方々のライフログを収集し、認知症/MCIを早期検知するAIサービス「Cognivida(コグニヴィーダ)」

などをすでに実装しています。

現在まで僕らが蓄積してきたノウハウとしては、こういった生活ログから特定疾病の兆候を類推するAI開発の技術がコアになっていますが、今後はフレイルやサルコペニアのような相対的な筋肉量の低下の兆候の把握や、高齢者うつなどの特定疾病の状態予測など対象の高齢者疾病の幅を広げていこうと考えています。


一方で、最も重要なのは、単に発見することではなくて、そこからどのようにして回復するか、そもそもならないようにするにはどうしたらいいか。ということなので、そのための介入手法についても開発を進めているところです。
今回は弊社G&Sで実施している事業の概要についてご説明しました。次回は一見すると開発期間も長く、事業化までの時間も長い、こういったビジネスを資金力の小さいスタートアップ企業がどうやって調達もせずに進めてきたのかについてお話ししたいと思います。

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