ジオリブ研究所

ジオリブ研究所長の巽好幸です。 地球で最も地震や火山が集中する、世界一の「変動帯」日本列島。 人類が地球環境に大きな影響を与え始めた「人新世」。 この場所で、この時代を私たちはどのように生きてゆくのか? 私たちのDNAに刻まれた「記憶」を呼び起こしながら一緒に考えて行きましょう。

ジオリブ研究所

ジオリブ研究所長の巽好幸です。 地球で最も地震や火山が集中する、世界一の「変動帯」日本列島。 人類が地球環境に大きな影響を与え始めた「人新世」。 この場所で、この時代を私たちはどのように生きてゆくのか? 私たちのDNAに刻まれた「記憶」を呼び起こしながら一緒に考えて行きましょう。

    最近の記事

    第7話 サブダクションファクトリー:巨大なリサイクルシステム

    ジオリブ研究所所長、ジオ・アクティビストの巽です。 日本列島のような「沈み込み帯」は、約40億年前にプレートテクトニクスが作動し始めて以来、巨大な工場「サブダクションファクトリー」として大陸地殻という製品を作り続けてきた。当然ながらこの工場からも廃棄物が出てくる。サブファク廃棄物には次の3種類がある:(1) 大陸地殻の元となるマグマを作るためにプレート(海洋地殻)から水を絞り出した残りカス、(2) 同様にプレートに引きずり込まれる堆積物の残りカス、それに(3) 玄武岩質のマ

      • 第6話 サブダクションファクトリー:大陸を造る巨大な工場

        ジオリブ研究所所長、ジオ・アクティビストの巽です。 SDGsという言葉さえ使えばなんだか地球に優しく、人類の将来のことに配慮しているかのような風潮には辟易する。一方で携帯電話などの都市鉱山の再利用やゴミの分別回収など、このごろは「リサイクル」もずいぶんと当たり前になってきた。まだまだ「ゼロ・エミッション」とはいかないものの、日本のように天然資源に恵まれない国にとってはまさにSDGsに向けた必須の取り組みであろう。 なぜこんなことを冒頭に述べたのかというと、私たちが暮らすこ

        • 第6話:「うどん県」香川には、かつて大河が流れていた

          ジオリブ研究所所長、ジオ・アクティビストの巽です。 香川がうどん県となったのは、雨が少ない上に讃岐平野には大きな川が流れていないために、水不足が深刻であったことが大きな要因です。しかし香川用水が1974年に完成し、吉野川から讃岐山脈をトンネルで通して香川県へ配水されるようになって(図1)、慢性的な水不足は緩和されているようです。 ところが実は、かつてはこの讃岐平野を通って瀬戸内海(当時はまだ海ではなく湖)へ注ぐ大河が存在していたのです。もしその状況が続いていたならば、讃岐

          • 第5話 なぜ地球だけに「海」と「大陸」があるのか? 海で生まれる大陸

            ジオリブ研究所所長、ジオ・アクティビストの巽です。 太陽系惑星の中で地球だけにある特徴の一つが、その凸凹した表面地形だ。この特徴が見られるのは、高地(大陸)の地殻が軽い安山岩質の岩石からなり、一方で低地(海)の地盤は重い玄武岩質の岩石で構成されることが原因だ。水星や金星、それに火星の地殻はほとんどが玄武岩質であるためにのっぺりしている。だから、地球は太陽系唯一の「安山岩の星」と言うこともできる。 この大陸がいかに誕生したか? これは地球進化論の第一級の謎である。現在の地球

            第5話:讃岐うどんのヒ・ミ・ツ

            ジオリブ研究所所長、ジオ・アクティビストの巽です。 「うどん」は日本の国民食の1つ、と言っても過言ではないでしょう。全国各地にご当地うどんがありますし、ネットなどでも熱いうどん談義が繰り広げられています。そんな中で、多くの人たちを魅了し、圧倒的な存在感を示すのが「讃岐うどん」。人口当たりのうどん消費量、うどん店の数ともに他県の追随を許さぬ「うどん県」香川の華です。 なぜこの地に、これのほどのうどん文化が育まれたのか?今回と次回は讃岐うどんの美食地質学です。 さあ、ジオリ

            第4話 なぜ地球だけに「海」と「大陸」があるのか? 海と大陸の違いは何か?

            ジオリブ研究所所長、ジオ・アクティビストの巽です。 地球の最大の特徴の一つは「水惑星」、つまり表面に液体の水(海水)が恒常的に存在することだ。そしてこのことが原因で、地球が太陽系唯一の「プレートテクトニクスの星」となったことを前回お話した。 「海」とは何かと問われると、多くの人は、海水が溜まっている所、と答えるに違いない。もちろんこれは間違ってはいないのだが、実は単に陸より低くなった所に水が溜まって海となったのではなく、もっとふか〜い理由がある。今回は、海と陸(大陸)の違

            第4話:豊饒の海、瀬戸内海:プレート運動が造った巨大なシワ

            ジオリブ研究所所長、ジオ・アクティビストの巽です。 瀬戸内海が「天然の生簀」「海の穀倉地帯」などと称されるほどに豊かである原因の1つは、背後にある中国山地などから窒素やリンなどの森や大地の栄養分が河川によって運ばれ、魚介の餌となる植物プランクトンが発生するからです。 さらに前回お話ししたように、瀬戸内海では灘と瀬戸(海峡)が繰り返すことで高速潮流が発生し、このために魚介類はマッチョになり旨味成分が多くなるのです。灘は島が少ない凹地つまり「沈降域」、一方の瀬戸は陸地がせり出

            第3話 なぜ地球だけに「プレートテクトニクス」があるのか?

            ジオリブ研究所所長、ジオ・アクティビストの巽です。 「地球型惑星」では、その内部がまだ高温であるために、マントルが対流して冷えようとしている。地球以外の星では、温度が低い表層は冷え固まって1枚の岩盤(プレート)で覆われて、内部のマントルがグルグルと対流している。一方地球では、十数枚のプレートが押し合いへし合いして、活発な地殻変動や火山活動を起こしている。これがプレートテクトニクスだ。なぜ地球だけにプレートテクトニクスが駆動しているのだろうか? さあ、ジオリブしましょ!

            第3話: 明石の鯛はなぜ美味いのか?

            ジオリブ研究所所長、ジオ・アクティビストの巽です。 お魚は和食には欠かせない食材です。中でもマダイは、縁起物として日本の食文化を特徴づける存在です。高級魚の代表格でもあるマダイは、日本列島の沿岸域に広く生息し、全国各地に名産地があります。しかしなんと言っても圧倒的なブランド力を誇るのは、兵庫県明石海峡周辺の6漁協で水揚げされる「明石鯛」でしょう。 今回は、この明石鯛のヒミツに迫ります。 さあ、ジオリブしましょ! 明石鯛:その美味さを科学する 700以上もの島が浮かぶ瀬

            第2話 マントル対流とプレートテクトニクス

            ジオリブ研究所所長、ジオ・アクティビストの巽です。 「不動如山」とよく言われるが、決してそんなことはない。大地は動く。そしてそれを支配しているのが「プレートテクトニクス」だ。しかも不思議なことに、この現象は太陽系惑星の中で地球だけに発現している。なぜ? 今回と次回はこの謎解きに挑戦しよう。  さあ、ジオリブしましょ! 地球の最高点であるエベレスト山では、アンモナイトや三葉虫、それにウミユリなど、数億年前に海で暮らしていた生物の化石が見つかる。かつての海底が何千メートルも

            第2話 出汁文化を育んだ山国日本:    なぜ山は高くなるのか?

            ジオリブ研究所所長、ジオ・アクティビストの巽です。 シリーズの第2話は、和食出汁文化を育んだ軟水を生み出す「山地の形成」がテーマです。なぜ日本列島では山が高くなるのか? さあ、ジオリブしましょ! 火山が造る山地日本と同じように島国のイギリス。その最高峰は「ザ・ベン」と呼ばれるスコットランドのベン・ネビス山です。しかしその標高はわすか1344m。一方で日本列島には、イギリス最高峰を凌ぐ高さの峰が連なる「山地」あるいは山脈が数多くあります。なだらかな中国山地では最高峰は13

            第1話 地球の中はどれくらい熱いのか?

             ジオリブ研究所所長、ジオ・アクティビストの巽です。  私たちは夜空を見上げながら色々思いを巡らすことは多いけれど、あまり地底のことは考えないようです。今回は、この星の中がどうなっているのか、地底の旅へ出てみることにしましょう。 さあ、ジオリブしましょ!  今や人類は、地球から約3億キロメートルも離れた、数百メートルほどの小天体から試料を持ち帰ることができるようになった。しかしそのような最先端技術を駆使しても、地球内部奥深くまで穴を掘り、実際にサンプルを採取したり温度を測

            シリーズ「大人のための最先端地学」がはじまります

            ジオリブ研究所所長、ジオ・アクティビストの巽です。  これからの持続可能な人類の発展には「自然との共生」が必要だとよく言われます。そのためにはまず、私たちが暮らす日本列島、そして地球が、どのように誕生して進化してきたかを知っておくことが重要だと思います。そんな思いから、地学、特に固体地球や地質の最先端を紹介するシリーズを始めることにしました。  今年2021年は、あの忌まわしい東日本大震災から10年目になります。最近はすっかりコロナ禍に振り回されている私たちですが、こんな

            第1話 和食の真髄:出汁

            ジオリブ研究所所長、ジオ・アクティビストの巽です。  シリーズの第一話は、和食には欠かせない「出汁」がテーマです。なぜ日本で出汁文化が育まれたのか? さあ、ジオリブしましょ! 旨味たっぷりの出汁 春の椀物の代表格といえば若竹煮、筍の香りと食感が出汁によって引き立てられる一品です。この出汁の奥深さは、昆布と鰹の旨みの相乗効果が作り出すと言われています。ここで大切なことは、「旨味」とは、「美味(うま)い」という感覚的な表現とは一線を画す科学的な意味であることです。私たちの五感の

            シリーズ「美食地質学」が始まります

             ジオリブ研究所所長、ジオ・アクティビストの巽です。  美食地質学、この耳慣れない学問(?)は、日本の食文化と変動帯日本列島との、密接な、そして素敵な関係を紐解いてゆくものです。和食という文化が育まれてきた背景には、日本列島のダイナミックな変動があったことを知っていただければと思います。 私たちが暮らしている日本列島は、地球の表面を覆う十数枚のプレートのうち4つが鬩ぎ合い、世界中で最も地震と火山が密集する「変動帯」と呼ばれる地帯です。  和食は、日本人の伝統的な食文化と