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enogu one-man Live 2021 Winter -雲外蒼天- 感想

2021年12月29日。私はVRアイドル「えのぐ」の年末ライブ「雲外蒼天」に現地参加した。会場は KT Zepp Yokohama。雲外蒼天というほど前日までの横浜の天候は荒れていたわけではないが、当日の横浜では雲間から青空がのぞいており、良いライブ「雲外蒼天」の日になる予感がして嬉しくなった。

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2021年のワンマンライブは四字熟語の題がついている。3月の「臨戦態勢」に始まり、7月下旬から8月上旬にかけて開催された 10 days ライブの「遮二無二」、8月末の「不撓不屈」、そして今回の「雲外蒼天」だ。
こうして並べると1つのストーリーになっているように見えてこないだろうか。それ以前の「えのぐ」のライブにおいても、「えのぐ」がそのとき見据えているものが題になっているように解釈できるので、実際 2021年の「えのぐ」のストーリーそのものなのかもしれないと思っている。「えのぐ」は彼女たちを中心としたストーリーと、ファンの「えのぐみ」一人一人のナラティブによって、関わる人たち全員にとってかけがえのないものになっていると私は考えているのだが、その話はまた別の機会に。

えのぐ × 生バンド

生バンドによる演奏は「雲外蒼天」で3回目。私はこれまでの2回で「えのぐ」の楽曲と生バンドによる演奏は相性が非常に良いことを確信していたので、当然それなりに高い期待を抱いていたと思うのだが、今回の えのぐ × 生バンド のライブは想像以上だった。
まず一目でわかるのは立ち位置の違い。これまでの2回では「えのぐ」はステージ上、バンドはその上に組まれた足場の上であり、あくまでアイドルと伴奏で分かれているように見えていた。それが今回はステージがひな壇のようになっており、「えのぐ」は奥の2段目中央、バンドは手前の1段目と2段目の左右を使って「えのぐ」を囲むような形になっており、そこに垣根はないように見えた。

演奏・歌唱についても、これまでは演奏の上に歌唱が載っている感覚だったが、「雲外蒼天」ではひとつのアンサンブルのように感じた。おそらく「えのぐ」もバンドメンバーもこれまで以上にお互いに息を合わせながらパフォーマンス、演奏していたのではないだろうか。
これがよく表れているのが「雲外蒼天」壱章の「ハートのペンキ (ハル エディション)」の夏目ハルのヒューマンビートボックスとドラムスの掛け合い、そして各所ギターソロにおける中央に出てきての演奏だ。
振り返ってみると「えのぐ」メンバーの Twitter でリハをバンドメンバーと合わせてやっている写真が投稿されていたのは伏線だったのだろう。

また確信は持てないのだが、「雲外蒼天」ではこれまでの生バンドバージョンとは編曲がかなり変更されているような気もした。今回の物販では「不撓不屈」のライブ映像がダウンロードできるエムカードが販売されていたので、後で聞き比べてみたいと思う。これまでの生バンド演奏はホールで行われていたので、KT Zepp Yokohama というライブハウスに変わったことによる影響も大きいのかもしれない。とにかく「雲外蒼天」の生バンドバージョンはこれまで以上に私に刺さったのだ。

演奏・歌唱がアンサンブルのようになったことにより、 えのぐ × 生バンド の良さがこれまで以上に増していた。各楽器、各メンバーの音がしっかり聞こえ、それでいてバラバラにならず役割を担いつつまとまっている、言葉にするならそんな感じだろうか。明らかに音楽への没入感がこれまでのライブを超えており、そんな音楽を浴びたことにより体の奥底からブチ上がった。

私はこれまでペンライトは手に持っているだけだったのが、「雲外蒼天」壱章 が終わった頃には吹っ飛ばしてしまわないか心配になり、慌ててストラップを購入に向かったほどである。「えのぐ」のライブがこちらの想像を超えるクオリティなのは何度も経験してきたのだが流石に想定を超えていた。ライブが楽しすぎて本当に我を忘れそうになるなんて、人生で初めての経験だった。

そしてこの記事を推敲している間にMoguLiveさんの年末特集記事にコメントが掲載されていた。

今年の「えのぐ」は、1年間ずっっっっと”LIVE”と、全力で向き合い続ける年でした。
ライブパフォーマンス能力を鍛える日々のトレーニングはもちろん、「応援してくださる皆さまが心の底から熱狂して、楽しんでいただけるライブとは何か?」を考え、実践し、さらに考える、ということをひたすらに繰り返しました。

こんなライブに現地参加できたのは本当に幸せだ。

各曲について

次は特に印象に残った曲を掘り下げたい。
1曲目は「アンプリファー」。この曲は 2021年3月の「臨戦態勢」で発表されてた曲で、同名のEPに収録されている。私はアンプリファーのオタク (?) なのでライブで聴けるだけで嬉しいのだが、2021年7, 8月の「遮二無二」の時に楽曲ファン投票ランキングに対する反応を見ていた限りだと同じような人は一定数いるのではないだろうか (笑)。今回の「雲外蒼天」では壱章と弐章の両方で披露されているが、方向性がそれぞれ異なるので YouTube で視聴して比べてみるのも興味深いと思う。
アンプリファーはその曲名にあるように音のダイナミクスのうち『デカイ』ほうにスポットライトが当たってはいるのだが、デカイ音が際立つということは小さい音もあるわけだ。曲全体の中ではCメロにその要素があるのだが、KT Zepp Yokohama の広い空間の中に生バンドの音の余韻と「えのぐ」の丁寧な歌声が響くのがとても良かった。あとはやはり『ラ~ララ~ラ ラララララ』を現地で周りの「えのぐみ」と一緒にやるのはとても楽しかった。何を言っているかわからない人は歌詞カードを片手にライブを観よう!今はペンライトだけだが、声を出せる世の中になれば更に盛り上がること請け合いだ。

2曲目は「BRAVER」。この曲は2021年7, 8月の「遮二無二」のテーマソング。2021年高校野球 都道府県別大会テーマソングにもなっており、一部地域では「遮二無二」より前に少しだけ聞くこともできた。
BRAVER については、私は歌詞と振り付けが大好きだ。観客側にも公式で振り付けがあり、応援団をモチーフにした動きがある。「遮二無二」では事前に振り付けだけ発表されていたので、ライブで初めて曲を聴いたファンは徐々に習熟していく形だった。
その次の「不撓不屈」には私は配信にて参加したため、念願かなって今回初めて綺麗に揃った振りをするところに参加することが出来たのである。この振りをする個所では「えのぐ」も対応する振りをしているため会場全体での一体感は素晴らしかった。

3曲目は「Defiant Deadman Dance」(以下、DDD)、そして4曲目は新曲「フラストレーションガール」。
前者の DDD は「不撓不屈」で発表された曲である。なぜこの2曲を一緒に触れるかと言うと、今回の えのぐ × 生バンド で『アガった』曲の2トップだからである。何度か思わず跳びそうになり感染対策が行われている状況に則した範囲で堪えるのが大変だった。
DDD は音源版が出ているからこそ、ライブバージョンのアツさを感じる。しかも今回は表現力という点では音源以上だったのでは?という場面があり鳥肌が立った。
フラストレーションガールは『足りない、足りない』というフレーズが印象的だった。直前に「雲外蒼天」に向けての1万字インタビューを読んでいたので、「えのぐ」の貪欲とも言えそうな程の成長そのものを楽しむ姿勢と重なりを感じ、グッとくるものがあった。

5曲目は新曲「燈し火」。この曲は弐章のアンコール、さらにその最後に発表されたのだが、その直前に鈴木あんずの MC があった。その MC はこれまでの歩みに対する自負と、これからに対する決意と、仲間やスタッフそしてきっと「えのぐみ」に対する信頼があったように思う。
Twitter にも投稿したが、音楽に体とペンライトを揺らしているうちに、私は気が付けば心の中で祈りを捧げていた。

※曲名の表記に誤りがありますが正式な曲名の公表前の投稿につきご容赦願います

いまから振り返れば、MC の通り『これまで』があったことへの感謝と、『いまここ』に対する喜びと、『これから』への約束が感情としてあふれていたのかもしれない。だが言葉を尽くして説明しようとするとどうしてもやはり表現できない部分が出てきてしまう。結局『祈り』と表現するのが一番良いのかもしれない。
この曲は不思議と初めて聴いたときから歌詞がすっと入ってきた。現地にいた他の人にも「燈し火」を初めて聴いたときにいったい何を感じたのか、ぜひ感想を聞いてみたいところだ。

久しぶりの王道なアイドルポップソングであった「イレイザー☆ビーム」も含め、新曲3曲は生バンドバージョンを最初に聞いたので、これからデジタルリリースされる音源版が非常に楽しみである。

あとがき

今回のライブは上記の音楽面だけでなく、「えのぐ」のパフォーマンス面でも、ライブ全体の演出面でも過去最高を体験しました。改めて素晴らしい歌唱とパフォーマンスを届けてくれた「えのぐ」の4人、素晴らしい演奏で盛り上げてくれたバンドメンバーの皆様、素晴らしい演出やライブの場を用意しつつ可能な限りの感染対策を行ってくれたスタッフの皆様に感謝申し上げます。そして一緒にフロアで盛り上がってくれた周りの「えのぐみ」の皆様ありがとうございました。

次のワンマンライブ enogu 4th Anniversary Live -POSSIBLE- にも更なる期待を寄せて、そして 3月5日に立川ステージガーデンに集まれることを祈って。

2021/12/30 sobacha

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