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FC東京編④(2012年~2013年)

※ヘッダー画像はここからもう一点とられると思ってなかったので撮った写真です(最終スコアは6-2)

はじめに


2004年にFC東京を観戦しはじめてから
今までの印象的だった試合をいくつか振り返りながら
備忘録的な記事を書こうと思っています。
そのため、戦術などより、感想・イメージを多く書きますので、主観的な視点になることをご容赦ください。

今回は2012年から2013年まで振り返ります。

2012年(ランコ・ポポヴィッチ)

J1 10位 (14勝6分14敗)
ナビスコカップ:ベスト4 天皇杯:2回戦敗退 ACL:ベスト16
主な移籍・加入
IN 加賀、太田、長谷川アーリアジャスール、渡邉、丸山、河野、林容平、チャン・ヒョンス、(途中)エジミウソン、ネマニャ・ヴチチェヴィッチ
OUT 今野、鈴木達也、永里、高松、上里、坂田(途中)ロベルトセザー、谷澤

PICKUP MATCH

ACL 第2節 
VS蔚山現代 @国立競技場
2-2
得点
(東京)徳永、梶山
(蔚山)キム・スンヨン、マラニョン

見事1年でのJ1復帰を果たした2012シーズン。
前年まで町田を率いていたポポヴィッチを監督を迎えました。
質実剛健の大熊サッカーからポゼッションサッカーへの転換を図りました。

選手の獲得に関してもかなりキーとなる選手が加入しました。
DFラインには待望の左利きのSBである太田宏介
今野の穴を埋めるべく、加賀、チャン・ヒョンス、丸山と即戦力から後にインターナショナルレベルに成長する面々まで
そして、長谷川アーリアジャスールと渡邉千真という攻撃を牽引する選手も加入、既存の選手との融合を果たしチームカラーが大きく変わりました。

特に、高橋をボランチの軸に据えながら
長谷川、梶山、ルーカスというセンターをベースにしつつ
石川、谷澤、羽生、渡邉というテクニカルな選手が活躍。
攻撃面で楽しいサッカーが繰り広げられました。

更にこのシーズンを楽しくさせたのが、ACLの存在でした。
初めてのACLは何もかもが新鮮で楽しかった思い出しかないです。
ユニフォームがACL用のものがあったり、東京スタジアム表記であったり、場内アナウンスが2ヶ国語の使い方がちょっとずつ違ったりと一つ一つに感動してしまいました。

そんな様々なものに感動している中で迎えた
国立競技場で迎えた初めてのホームでのACL初戦。
CKの流れから徳永の「年1」のスーパーループが決まり幸先よく先制。
Awayパース戦の勝利も相まって、イケるかとなったところを
シンプルなショートカウンターで簡単に失点。
梶山がマイナスのクロスを受けたところを決めきり、粘りをみせるも
最後はマラニョンの個に屈し、ドロー決着。
カク・テヒ、イ・グノ、キム・シンウク、家長という実力者がいるのは分かっていたもののやはりACLという国際舞台はすんなりいかないなという痛感しつつも、最高に楽しい、これは何回でも来たくなる舞台だということを知りました。


J1 第34節 
VSベガルタ仙台 @味の素スタジアム
6-2
得点
(東京)ルーカス、ルーカス、チャン・ヒョンス、渡邉、ネマニャ・ヴチチェヴィッチ、ネマニャ・ヴチチェヴィッチ
(仙台)赤嶺、武藤

高橋秀人をボランチの軸に
長谷川をボランチに置き、梶山をトップ下に据えるという両コンバートを敢行。序盤のアクセントになりました。
その後は最前線は渡邉、ルーカス
2列目にも長谷川、ルーカス、梶山、石川
ボランチには高橋、長谷川、米本
といった具合に様々な能力の高い選手が色々な組み合わせで登場し、いい攻撃を仕掛けていました。


一方で守備が脆かったのも事実。
今野の抜けた穴を、加賀とチャン・ヒョンスで埋めていました。
加賀は経験とスピードに裏付いた、カバーリングと安定感
ヒョンスは高さ・フィジカルを活かした対人プレーを売りにしていました。
が、足して2で割った選手を森重の相方に欲しかったというのが本音。
中盤のフィルター役も高橋に頼るケースも多く、弱点を的確に突かれてのあっさりとした失点。複数失点も少なくなかったです。

不安定なシーズンを過ごしながら迎えた最終節ベガルタ仙台戦。
前年には東日本大震災によって被害を受けた仙台。
このシーズンは躍進を果たし、終盤まで優勝を争いました。
しかし33節に広島に優勝を渡してしまい、消化試合のアウェイゲーム
それでも多くのサポーターが対岸のゴール裏に詰め掛けていたのが印象的でした。

試合というと、
ロングボールを収めて相手を引きずりながらのシュート、
センターに陣取る梶山、渡邉とのパス交換からカットインしてのシュートという「ルーカスらしさ」満載のゴールを皮切りに、
ヒョンスのセットプレーの強さ、渡邉のエリア内の落ち着き、左足でも決めきれる決定力
と東京の良さを見せました。
赤嶺にもらしいゴールを決められ、最後の最後に武藤に決められるという逆の意味でのらしさも発揮するのですが…。


そしてなんといっても、シーズン途中に彗星のごとく現れた流浪のセルビア人プレイヤー「ネマニャ・ヴチチェヴィッチ」の真骨頂をみた試合でもありました。
途中加入かつ出場試合のほとんどが途中出場であるにも関わらず
リーグ戦13試合出場で6得点という驚異的な得点力でスーパーサブとして活躍しました。
スピードがあるわけでも高さがあるわけでもないですが、
タイミングをうまく外しながら間を縫うようなドリブルは疲れてきた相手には効果的でしたし、
ゴール前の落ち着きやキックの精度がありました。
特にこの試合の2得点目はエリア内のルーズボールを拾いながら、「ルーレット」で2人目をかわし、最後はGKの逆を突くシュートと鳥肌もののゴールでした。
過去を振り返ってもここまで心を掴まれた選手は数少ないです。
独特の「アッパーのシャー」も含めて大好きな選手でした。


2013年(ランコ・ポポヴィッチ)

J1 8位 (16勝6分12敗)
ナビスコカップ:予選リーグ敗退 天皇杯:ベスト4
主な移籍・加入
IN 野澤、三田、東(途中)李
OUT 梶山、羽生、椋原(途中)李、田邉、橋本

PICKUP MATCH

J1 第25節 
VS浦和レッズ @国立競技場
3-2
得点
(東京)チャン・ヒョンス、森重、平山
(浦和)槙野、那須

梶山の海外挑戦、羽生の甲府へのレンタル移籍と、柱になる選手を放出した2013年。
一方で、東や三田といったテクニカルな選手を補強。
サウザンプトンで出場機会を失っていた「アカデミー出身」の李忠成をレンタルで獲得。

権田から始まり
太田、森重、チャンor加賀、徳永
高橋、米本、東、ルーカス、長谷川
渡邉
というベースに
李、石川、平山、三田、ネマというアクセントを加えながら戦いました。

2列目は推進力と技術の高さを発揮し
渡邉千真はボックス内での落ち着きと両足でレンジを問わずゴールポスト際を狙える精度の高いシュート、飛び出しや詰めといったストライカーとして嗅覚と全ての要素でハイレベルなパフォーマンスを見せて得点を量産しました。

李がイングランドに戻るまでの少しの間でしたが
千真と縦関係になるオプションもワクワクした記憶があります。

そしてもう1つ大きな武器になったのが
プレスキックと左サイドからのクロスでした。
右のプレスキッカー東慶悟
そして左のプレスキッカー太田宏介

特にポポヴィッチ監督の下、プレスキックの練習に取り組んだ太田の存在感が高まったシーズンでもありました。
長谷川、東との組み立てでうまく相手を剥がしながら
高精度、独特のカーブ、スピード感溢れるクロスは
渡邉、ルーカスといった中に構える選手との相性もよく1つの攻撃のパターンになりました。

この試合でも太田、東のプレスキックは猛威を震い
森重、ヒョンスの2ゴールを演出。
しかしながら追い付かれる展開に
やはり浦和にはそう勝てないのか…。
妙な相性の悪さを受け入れかけた後半AT
太田の内に巻くFKをうまくディフェンダーの間に入った平山がフリーでヘディング。見事にゴールを決めて決勝点。国立男の名に恥じない活躍でした。

J1 第34節 
VSベガルタ仙台 @味の素スタジアム
2-0
得点
(東京)平山、ルーカス

1年を通してベースを作りながら戦い
特に渡邉はルーキーイヤー以来の二桁得点
キャリアハイとなる17得点と攻撃陣を牽引。

そしてルーカスも11得点をあげ
チームとしての得点数は「61」
浦和の「66」川崎の「65」に次ぐ3番目
得失点差「+14」はACL圏内に入ってもおかしくない数字を残しながらも勝負所で勝ちきれない「癖」みたいなもので中位に甘んじる結果に。

そしてこのシーズンの大きな出来事は
「ルーカスの引退」でした。
2011年引退を翻しJ2で苦しむ東京を助けるべく日本に帰ってきたルーカス。
2012,2013年シーズンのJ1の舞台でも全く年齢も感じさせないパフォーマンスを見せていました。
ある種「ルーカスに収まれば勝てる」という妙な自信すらありました。
11月にルーカスの引退発表後は
1つでも多くルーカスと試合をする。
そんな気持ちにもさせられました。

迎えたJ1最終節
試合を決めたのはそのルーカスでした。
長谷川からの右からのクロスを
体をうまく使い器用に右足で当ててのゴール。
ルーカスならではのうまさが光るゴール。
まだやめなくてもやれるって…。
そんな気持ちにさせられるゴール。
涙を流すルーカス。気持ちが揺さぶられました。 
 その後、米本からのクロスをしっかり平山が決めて勝利。
「ルーカスが決めると負けない」記録を5シーズンに渡り更新し偉大な選手がスパイクを置きました。

その後チームは天皇杯の準決勝まで駒を進めますが
直後の練習中、右脛骨の骨折という重傷を負ってしまったため、結局現役ラストゲームはこの仙台戦となりました。

東京で一番得点をとった選手「ルーカス」
仮にその記録を他の選手が塗り替えることがあろうと
献身的で紳士。だけれど熱くゴールを奪う彼のことは一生忘れないです。

それでは!
また来週。