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FC東京編⑦(2018年~2019年)

はじめに

2004年にFC東京を観戦しはじめてから
今までの印象的だった試合をいくつか振り返りながら
備忘録的な記事を書こうと思っています。
そのため、戦術などより、感想・イメージを多く書きますので、主観的な視点になることをご容赦ください。
今回は2018年から2019年まで振り返ります

2018年(長谷川健太)

J1 6位(14勝8分12敗)
ルヴァンカップ:予選リーグ敗退 天皇杯:ベスト16 
主な移籍・加入
IN ディエゴ・オリヴェイラ、富樫、矢島、原、大森、品田
(途中)丹羽、リンス
OUT ピーター・ウタカ、大久保嘉人、石川、徳永
(途中)吉本、丸山、梶山、久保、中島翔哉


PICKUP MATCH

J1第10節
VSサンフレッチェ広島 @味の素スタジアム
3-1
得点者
(東京)ディエゴ・オリヴェイラ、永井、ディエゴ・オリヴェイラ
(広島)稲垣

2018年からは清水、G大阪を率いた長谷川健太監督を迎えました。
G大阪時代には国内3冠も達成した実績十分の監督。
シーズンインから「長所である守備を活かす」
そして「ファストブレイク」というキーワードの下、堅守速攻のチーム作りを進めました。
序盤こそ勝つことができなかったものの、
米本をアンカーに置く4-3-1-2から
橋本・髙萩をボランチに置く4-4-2というシステムを整備した4節湘南戦から調子を上げていきます。
柏から獲得したディエゴ・オリヴェイラはこの湘南戦でスーパーミドルを決めてから、チームと共にエンジンがかかり始め、ゴールを量産。
また永井を希望通りのCFに据え、2トップを組み「ファストブレイク」を体現していきます。

迎えた10節は城福監督率いるサンフレッチェ広島。
まだ1/3程度しか日程は消化していなかったものの、1位広島、2位東京の天王山という対戦カード、否が応でも気合が入るカードとなりました。
そんな試合は、開始5分から持ち味のフィジカルを活かしたディエゴがエリア内で仕掛けPKをもらい、そのまま自分でゴールに沈めると
9分には、ハイプレスが功を奏し相手の深いエリアでボールを奪い、そのままディエゴに、落ち着いて永井にラストパスを出すとしっかり決めきり2-0とあっという間に流れを引き寄せます。
後半にはカウンターから髙萩の真骨頂である長いレンジのミドルパスがディエゴに通り、それを冷静に流し込み3点目で勝負あり。
1失点するものの、勝利を収めました。

2018年広島と東京は前半戦の主役となった2チーム。
その戦いで持ち味がきれいに出たという意味ではベストマッチの1つだと思っています。
髙萩の糸を引くようなミドルパスと、ディエゴの冷静な流し込みはスタンドレベルだとより迫力を感じられました。

J1第34節
VS浦和レッズ @埼玉スタジアム
2-3
得点者
(東京)ディエゴ・オリヴェイラ、前田
(浦和)李、柴戸、李

「堅守速攻」「ファストブレイク」を合言葉に序盤戦を快調に飛ばしたものの、夏場にかけ運動量が落ちたところでのプレス強度の低下。
ディエゴ、永井の2トップへの警戒心が高まり、マークの激化と、2トップにパスをつなぐ選手との距離感が高まったことなど、攻撃に関して深刻な状況に陥りました。
2トップの次点に来る「スーパーサブ」「オプション」となりうるアタッカーが不足していました。富樫、前田といった実力や献身性があるアタッカーは備えていたものの、ゴールという結果が出ませんでした。
テコ入れとしてG大阪時代でも一緒にプレーしたリンスを加入させました。
しかし、ここでも効果的なゴールはあまり生まれず、起用法も最前線と2列目を決めかねているような節も見えました。
4-2-3-1を交えながらも攻撃のテコ入れをできないまま、中位に沈み最終節まで来てしまいました。

そして迎えた埼玉スタジアム
相性の悪さというものは恐ろしく
簡単にCKから李のヘディングシュートを決められる。
後半には東がエリア内でうまく持ち出し、その後受け取ったディエゴが右足を振りぬき久しぶりのゴールを決めたのもつかの間、
柏木のクイックリスタートにキレイにハマり柴戸にヘディングシュートを決められる厳しい戦い。
ミスを突かれ李に追加点も決められ、初めて埼玉スタジアムまで行った私もかなりメンタルをやられていました。

そんな中、FC東京最後の試合となった前田遼一が魅せました。
途中出場すると、室屋からのセンタリングを鮮やかにヘディングシュート。
前田らしいゴールで意地の2018年初ゴール。
エドゥー、武藤を移籍で放出する苦しいシーズンから攻撃陣を引っ張っていてくれた、前田遼一。
愚直なまでにプレーしてくれた彼の東京最後のビューティフルゴールを目の前で見ることができたことは一つの財産となりました。


2019年(長谷川健太)

J1 2位(19勝7分8敗)
ナビスコカップ:ベスト8 天皇杯:3回戦敗退 
主な移籍・加入
IN 児玉、久保、ナ・サンホ、中村拓海、田川、渡辺剛、アルトゥール・シルバ(途中)三田、オ・ジェソク、ジャエル
OUT 大久保択生、リンス、前田遼一(途中)久保、太田、チャン・ヒョンス、平川

PICKUP MATCH

J1第1節
VS川崎フロンターレ @等々力陸上競技場
0-0

ある程度の結果は出したものの、ディエゴ、永井に続くアタッカーの不足という大きな課題を残しました。
そこに対して、田川、ナ・サンホという若い有望なアタッカーを獲得。
そして2018年の途中から横浜にレンタル移籍をしていた久保建英が復帰。
攻撃のセンス。特にドリブルの細かいタッチや、キックの種類は卓越したものがあり、年齢的には不安視されるキック力もしっかり備わっていました。
しかし、フィジカルコンタクトはどうしても筋力不足な部分もあり、
さらに守備に対する戦術理解と遂行力に乏しく、出場機会は得られませんでした。
そうした中で移籍した横浜では初ゴールも決めました。
特にチーム戦術の重要性を学んだとコメントも残し、この年に東京へ復帰。
開幕が近づくに連れて「久保建英、開幕スタメン」という文字がちらつき始めました。

開幕するまで久保のスタメンに関しては、期待半分、不安半分でした。
攻撃のスキルは間違いなく高いものの、チームのバランスはどうなるかというのはすごく気になっていたからです。
しかし開幕戦の多摩川クラシコ
右サイドハーフで先発すると存在感を発揮。
特に相手サイドバックの車屋のドリブルを体を入れ込んで奪いきった場面はあまりにも印象的でした。
1つ殻を破った久保建英の活躍を確信した瞬間でもありました。

この試合はドローに終わりながらも
久保は右サイドハーフのポジションを確保。
ディエゴ、永井に続く攻撃の柱としてチームを牽引。
ドロー濃厚の終盤に鮮やかすぎるボレーを突き刺し決勝点をあげた磐田戦をはじめ
札幌戦、大分戦とゴールを決めるなど
J1でもトップレベルのパフォーマンスをみせ、
18歳の誕生日とともにレアル・マドリーへと旅立ちました。


J1第34節
VS横浜・F・マリノス @日産スタジアム
0-3
得点者
(横浜)ティーラトン、エリキ、遠藤

14節の大分戦を最後に久保は移籍に向けた契約もあり、出場がなくなりました。
2018年に懸念していた、ディエゴ、永井に続くアタッカーの不在という課題ともう一度向き合うこととなりました。

直後の2試合ではつまづいたものの、
右サイドハーフに大森晃太郎を据え
昨年までの積み上げた流れをしっかりと継続しながら
ディエゴ、永井もなんとかコンスタントに得点を上げました
太田やチャン・ヒョンスといった主力の移籍も
オ・ジェソクや三田という途中加入の選手や渡辺剛といった若い選手を含めて、なんとか乗り切り8節から27節まで首位をキープ。
念願のリーグ優勝に向かっていました。

しかしながら夏場から攻撃陣の課題が浮き彫りに
ディエゴ、永井のガス欠、
サイドアタッカーも得点を重ねることができず、同じような形で失速していきました。
26節から3節連続で勝利をあげることができず、28節からは鹿島にかわされるも、31節には再奪首。
しかしここからも厳しい戦いが続き
32節の湘南とのホームゲームでは敗戦濃厚の後半ATに森重のスーパーゴールで引き分けに
続く33節の浦和とのホームゲームも先行された中で途中出場の田川が同点ゴールでドロー
なんとか食いついたもののここで横浜にかわされ、
最終節横浜との直接対決を前に勝点差は「3」
得失点差の差は「7」
求められるのは「4点差以上での勝利」という不可能に近い条件。

しかも当日はディエゴが負傷欠場。
それでも最後の一筋の可能性にかけてスタンドで見守りました。
しかしその小さな可能性も、ティーラトンのシュートがリフレクションしたところがゴールに吸い込まれ失点。エリキにも決められ万事休す。
何回も懸命に仕掛ける永井の姿に相手GKを退場に持ち込むという場面も見せつつも、クイックリスタートから遠藤に決められ圧倒的な力を見せつけられ敗戦。
夢にまでみたリーグ優勝はこぼれ落ちていきました。

「もし、直近のホーム2試合でもう1点とれていれば…。
この試合が引き分けでも優勝という状況で迎えていれば…。」
この世の中「たられば」はないことは分かっているのですが
このシーズン、「勝点1」「1得点」の重みというものを痛烈に感じました。
本当に悔しい…。悔しい1戦となってしまいました。

今週はここまで!
それでは!