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FC東京編②(2008年~2009年)

はじめに
2004年にFC東京を観戦しはじめてから
今までの印象的だった試合をいくつか振り返りながら
備忘録的な記事を書こうと思っています。
そのため、戦術などより、感想・イメージを多く書きますので、主観的な視点になることをご容赦ください。

今回は2008年から2009年まで振り返ります。

2008年(城福浩)

J1 6位 (16勝7分11敗)
ナビスコカップ:ベスト8 天皇杯:ベスト4
主な移籍・加入
IN 佐原、ブルーノ・クアドロス、長友、カボレ、エメルソン、羽生、大竹、椋原、鈴木達
OUT 土肥、ルーカス、馬場、鈴木規、伊野波、リチェーリ、福西

PICKUP MATCH

J1 第6節 
VS東京ヴェルディ @味の素スタジアム
1-2
得点
(ヴェ)フッキ
(東京)羽生、OG

2008年、東京のユースを指導し、U-17日本代表監督などを務めていた
城福浩を監督として据えました。
「Moving Football 〜ボールも・身体も・観ている人の心も〜」
というスローガンを掲げ、積極的な崩しやポゼッションサッカーを遂行しました。
前年までの原サッカーは、バルセロナにリスペクトがあるという話はしつつも、サイドから縦へ急ぐ、フィジカルを活かすサッカーが多かったように見えました。

その中で迎えた2008年。カボレ・エメルソンといった外国人選手が個性を見せ、羽生の運動量や試合を読む力などうまくマッチし、確実にサッカーが変容をしサポーターの心をつかみました。

その中で迎えた「東京ダービー」の大一番。
アウェイ扱いとして迎えたこのゲームは「長友の出世試合」となりました。
後にセレソンに名を連ねたフッキと長友のマッチアップ。
「ゴリラvsハルク」とメディアでも煽られて始まったこの試合長友は見事な1対1でフッキを抑えました。
しかし、そのフッキに強烈なFKを決められて先制を食らうこととなります。
ただ、後半には赤嶺の落としから羽生が移籍後初ゴールとなるハーフボレーを突き刺し同点。
(この時の羽生の待受画像はかっこよすぎてしばらく設定していたほど鳥肌ものでした。)

その後迎えた後半ロスタイム、
クロスを今野がヘッドで落とした先には、なぜか長友。
OGを誘発して逆転ゴールで劇的勝利。
この試合の主役となったわけですが、羽生のかっこよすぎるゴールと裏腹にOGを自分のゴールとアピールする長友も「らしさ」を感じました。

J1 第7節 
VS川崎フロンターレ @味の素スタジアム
4-2
得点
(東京)カボレ、赤嶺、大竹、今野
(川崎)鄭、谷口

打ち合いが多い印象がある(撃たれっぱなしな試合もあるけれど)多摩川クラシコ。
この試合も両軍合計6得点入る乱打戦。
この試合も常に先行される苦しい展開。
佐原、茂庭、藤山、ブルーノというCBのラインナップがしっかり固定できた感もなく安定感はあまりなかった印象がこのシーズンにはあります。

とはいえ、だんだんとチームになじみ始めたカボレがFKを押し込み
赤嶺が技ありのボレーを決めて追いすがる。
この年赤嶺はチーム得点王になりますが、体勢の難しいシュートや泥臭いゴールを決めきる頼もしさがありました。このゴールも特長がでたと思います。

そしてこのゲームにインパクトをもたらしたのは
ユースからの昇格でルーキー「大竹洋平」でした。
梶山とのパス交換から、左足のアウトからトーキックにかかったところから綺麗な弾道でゴールに吸い込まれました。
メインスタンドで見ていた私にもその鮮やかな軌道がみえ、
とても興奮したのを覚えています。

馬場、梶山に続くアカデミー出身の選手として
大竹を始め吉本、権田、椋原といったトップチームに絡むような面々が出始めたのもFC東京のチーム力、クラブの成熟度が高まったような雰囲気もありました。

その後今野が地を這うシュートを決め、4-2での勝利。
再び多摩川クラシコで興奮の試合を見せました。

この年は確かな手応えを得たとともに
最終節ではジェフ千葉に大逆転残留を決められるというなんとも言えないオチもついた年でもありました。 

2009年(城福浩)

J1 5位 (16勝5分13敗)
ナビスコカップ:優勝 天皇杯:4回戦敗退
主な移籍・加入
IN 中村、平松、田邊、米本、高橋
OUT エメルソン、川口、栗澤

PICKUP MATCH

J1 第29節
VS柏レイソル @味の素スタジアム
4-0
得点者
(東京)赤嶺、羽生、平山、石川

2009年
城福体制2年目
このシーズン躍進の立役者になったのは
「石川直宏」でした。
2005年膝の大怪我をし、約1年もの離脱を余儀なくされました。
復帰後、石川のプレースタイルが大きく変わったように見えました。
以前は典型的なサイドアタッカー。ボールを持てば縦に仕掛けてクロスを上げる。そのドリブルとスピードが魅力の選手でしたが、
怪我の後は、ポジションこそサイドアタッカーを務めますが
積極的なカットインが目立ち、飛び出し方やパスの引き出し方も縦よりも斜め、ゴールをまず目指す姿勢が目立ちました。

この年、その姿勢が実を結び、ゴールを量産。
「石川が足を振ったらゴールに入る」そんな気にさせるほどの活躍でした。
6節ジェフ戦の初ゴールから始まり
9節大宮戦では石川自身プロ初ハットトリック。
特に3点目の長友のスローインをボールを触らずターン。そのままボレーを放ちドライブがかかったゴラッソで決勝点は凄まじいの一言。
ゴラッソはこれだけではなく
13節のクラシコではゴール左隅に地を這うハーフボレー
(ゴールパフォーマンスも今でもよく覚えているほど最高)
15節国立での清水戦ではルーズボールをアウト回転をかけたハーフボレーなど様々なゴラッソを決めています。
ゴラッソだけでなく、コンスタントにゴールを奪い、得点王も狙えるパフォーマンスを見せました。

その中で迎えた29節の柏レイソル戦
羽生のアシストから赤嶺の綺麗なゴール。
赤嶺の粘りから、中で受けた羽生のゴール。
またもや羽生のスルーパスから、平山のゴールと試合を優位に進めます。

ただこの試合、攻撃の手を緩めることはありませんでした。
冴えていた羽生からの長いフライパスを受けた石川。
大きくワンバウンドしたボールを右足で触り、綺麗な弧を描きゴールへ
リーグ15点目を決めたものの、得点シーンでは相手の大谷選手と接触しながら左足に全体重がかかる形で着地。
左膝を故障しこのシーズンを終えることとなりました。

絶好調の石川が悶絶し、担架で運ばれたシーンはあまりにもショッキングでした。
3-0とほぼ試合自体は決していた69分。
本当にあのプレーを選択する必要があったのか、そんな思いさえも巡りました。
ただその後の石川のHPで
「冷静になった今は、時間を戻してもきっと同じプレーを選択していたんじゃないかなって思った」と綴りました。
それをみて初めてこのプレーを受け入れられた気がします。

それだけこのシーズンの石川直宏には夢も希望も楽しさも抱いていました。
そしてそれが引退した今もみなに愛されている理由の一つなんだと思います。

ナビスコカップ決勝
VS川崎フロンターレ @国立競技場
2-0
得点者
(東京)米本、平山

2009年シーズンは主だった補強はなかったものの
ボランチとして活躍していた今野をCBとして起用
同じくボランチとしても経験のあるブルーノ・クアドロスとコンビを組み、今まで足元の技術に不安のあったディフェンスラインが劇的にイメージが変わりました。

そしてそのボランチに彗星のごとく現れたのは
高卒ルーキー「米本拓司」でした。
豊富な運動量と長い手足を活かしたボール奪取力、そして体に無理が効いて何回でも奪いにいけるというところで、フィルター役のボランチとしては素晴らしいパフォーマンスを見せる選手。
試合を作る梶山とコンビを組み、試合を攻守に支えるダブルボランチになりました。

チームの成熟度が高まり
東京は2度目のナビスコ杯決勝
川崎フロンターレとの大一番まで駒を進めました。
とはいいつつもこの試合では
エース石川を故障で欠き、カボレは途中移籍
長友も負傷でベンチスタート、徳永が左に回る。
ベンチは、長友はじめ、佐原、藤山、平松、中村北斗とディフェンス色の強い選手を入れるしかないというかなり厳しい状況にいました。

そんな試合でインパクトを残したのは米本でした。
無回転での強烈なミドルシュートは川島の手を弾きゴールイン。先制点をあげました。

長年川崎はキーパーには苦しんでいたようにみえます。
そこに「川島永嗣」というピースを加え、いよいよ強力なチームが出来上がろうというところでした。
その壁を打ち破るゴール。
米本はこの大会「ニューヒーロー賞」を受賞。
トッププレイヤーの階段を登ったことを印象付ける試合となりました。

そして更にゾクゾクしたのが
追加点のシーンでした。
サイドを駆け上がる鈴木達也の迫力がズンズンとスタンドにも押し寄せてきたのをすごく覚えていますし、クロスが上がった瞬間、平山の位置をみて
「あ、決まった」という気持ちにもなりました。
この勝利をグッと引き寄せるゴールをヘッドで奪った時、
初めてスタンドで泣きそうになったのも思い出として残っています。
このゴールは1,2を争うほど忘れられません。

優勝した嬉しさを初めてスタンドから目の当たりにできたという意味でも私には大きな一戦です。

あと個人的にはスタンドでトイレットペーパーを投げたのが印象的でした。
相手がきれいなコレオグラフィーをしている中でまさかのブラックジョーク。
東京らしさを感じながらも、映像をみると案外きれいに白がなびいていたのにもなんだか笑ってしまいました。


今週はここまでです。
また来週!