見出し画像

FC東京編⑧(2020年)

はじめに

2004年にFC東京を観戦しはじめてから今までの印象的だった試合をいくつか振り返りながら備忘録的な記事を書こうと思っています。そのため、戦術などより、感想・イメージを多く書きますので、主観的な視点になることをご容赦ください。今回は2020年を振り返ります

2020年(長谷川健太)

J1 6位(17勝6分11敗)
ルヴァンカップ:優勝 天皇杯:出場なし 
主な移籍・加入
IN アダイウトン、レアンドロ、安部、ジョアン・オマリ、中村帆高、紺野、木村、バングーナガンデ
(途中)岡崎
OUT オ・ジェソク、ジャエル
(途中)室屋、ナ・サンホ、橋本


PICKUP MATCH

J1第1節
VS清水エスパルス @IAIスタジアム日本平
3-1
得点者
(東京)ディエゴ・オリヴェイラ、アダイウトン、レアンドロ
(清水)ティーラシン

チーム歴代最高である、2位という順位を収めた2019年シーズン。
2020年シーズンこそ悲願のリーグ優勝へ…。
長谷川健太監督が続投。レアンドロ、アダイウトンといったJリーグでの実績のある選手を獲得し、課題であったアタッカーの補強にも乗り出しました。

期待高まる開幕戦は清水とのアウェイゲーム。
新システム4-3-3を用い臨みましたが、これが不発。全体的に動き出しのタイミングがつかめず、相手にボールを持たれ、かなり引いた展開になってしまいました。
挙句ショートカウンターからCBの間をキレイに割られ、ティーラシンのゴールを食らい暗雲が立ち込めます。
しかしアダイウトンを投入し、4-4-2にシフトするとこれが流れを変え
ブラジル人アタッカーの個の能力が爆発。2PKを含む3得点でひっくり返し見事な逆転勝利となりました。

逆転勝利とレアンドロ、アダイウトンという新戦力の躍動という喜びと
4-3-3の出来への不安感とが入り混じったなんとも言えない試合となりました。

当時のツイートもかなりシステムのことには言及していました。

そしてなによりも新型コロナウイルスがこのころから蔓延しはじめました。
この日から、今に至るまでゴール裏からチャントが消えました。
「仕方ない。観ることができているだけ幸せだ。」
そう捉えています。ただやはり早く声でサポートしたい気持ちが日に日に大きくなっています。
そして、この日のゴール裏で盛り上がっている動画を懐かしむようについつい見てしまうのです。

J1第5節
VS浦和レッズ @味の素スタジアム
2-0
得点者
(東京)ディエゴ・オリヴェイラ、アダイウトン

新型コロナウイルスの蔓延によりJリーグも長い中断期間に入ることとなりました。
リーグが再開した時にはすでに7月。夏場に差し掛かっていました。
無観客のリモートマッチ期間を経て、この浦和戦が制限を設けながらも有観客が解禁された試合となりました。

声が出せない異様な雰囲気での味の素スタジアム。
その中でも選手は躍動しました。
特にこの試合はオフシーズンから構築していた4-3-3システムの完成形を垣間見た試合となりました。
守備の約束事がしっかりと整い、レアンドロの最大のパフォーマンスを引き出せるような安部の広範囲のサポート。
それに伴いアンカーに入った橋本の1つ1つの判断が劇的に良くなり、まさに門番と化していました。

何もできない相手に対して室屋のクロスをディエゴが体に当て先制点を生むと、後半には青木からボール奪取したアダイウトンが独力突破。
貴重な追加点を生み、相性の悪い浦和戦とは思えないほどの勝利でした。

このシーズンはアウェイの浦和戦も勝利し、シーズンダブルを達成。
1つジンクスを破った印象的なシーズンでもありました。
ただこの試合惜しむらくはキーマンであった橋本がこの試合をもってロシアに移籍となったことといえるでしょう。

スタジアムでFC東京を観ることができる幸せというものを嚙みしめた試合となりましたが、ここからは中断期間を埋めるような怒涛の連戦へと足を踏み入れることとなりました。

ルヴァンカップ プライムステージ準決勝
VS川崎フロンターレ @等々力陸上競技場
2-0
得点者
(東京)レアンドロ、レアンドロ

橋本の移籍に伴いもう一度戦略の構築を迫られた中で、
もう一度髙萩のアンカーを軸にします。
しかし橋本のように広範囲をサポートできるタイプではないため、
守備システムに関しては組み立て直しとなりました。
東の怪我、そして連戦という日程もあり、選手のコンディションも鑑みながらのやりくりとなり、
様々な選手や、4-4-2、4-1-4-1といったシステムや各選手の攻守のバランスの意識をいじって最適解を探しつつも、相手との嚙み合わせややりくりで快勝する試合もあれば、不用意な失点で取りこぼす試合もあったりと、1戦1戦が一進一退といった出来。
ただリーグ優勝は、遠ざかる内容となっていました。

その中で、迎えたルヴァンカップ準決勝。
新型コロナウイルス蔓延に伴うレギュレーション変更により、
川崎フロンターレと等々力陸上競技場での1発勝負となりました。
前述のような一進一退の出来や、対フロンターレとの近年の対戦成績を含めかなり分が悪いと思われていました。

しかしながら蓋を開いてみると、
4-4-1-1のような布陣を引きながら、プレスに行く場面と、ブロックを敷く判断がチーム全体に共有できており
かつ強度も保たれ、川崎の攻撃を抑えることに成功しました。
すると角度のないFKをレアンドロが沈め先制点を挙げました。
相手が三苫という個の強い選手を起用したところに、中村帆高を投入し、マーカーとして当て、凌ぎきり、
その後、理想的なショートカウンターで2点目を挙げたところからは、気持ち的にも優位に立ち、このシーズンにおける最高の出来を見せての勝利となりました。
攻撃に関してはJリーグのなかでもずば抜けており
ここ数年ずっと悔しい思いをさせられていた川崎相手に、長谷川健太仕込みのFC東京のサッカーが通用したことの安堵感と、ターンオーバーや戦術の落とし込みなど、究極に準備した90分間を用意しなければ勝てないという一種の絶望感と、様々な感情を覚えた試合となりました。


ルヴァンカップ 決勝
VS柏レイソル @国立競技場
2-1
得点者
(東京)レアンドロ、アダイウトン
(柏)瀬川

会心の準決勝を演じたものの
やはり内容は安定しない戦いが続き、そのまま中立地での集中日程でのACLに突入。
ここでアンカーに森重を据えるという新たなチャレンジを行いました。
しかしながらお世辞にはうまく行ってるとは言えない状況でした。
満身創痍でのACLは今回もラウンド16で終了。
帰国後のリーグも凡庸な内容。
一抹の不安を覚えつつ、コロナウイルスの影響で延期になったルヴァンカップの決勝を迎えました。

森重のアンカーシステムは変えずに挑みましたが、この試合に関しては、しっかりと守備システムを落とし込んで臨むことができたように見えました。
レアンドロのサポートを行う安部という当初の構図を保ちつつ、
東もハードワークをしたことで、森重が潰すべきポイントが明確になり、ストロングポイントが発揮されました。
CBに入ったオマリもハイパフォーマンスを見せ、森重が一個上がった影響は見られず。
波多野の不用意なハイボール処理を除けば守備はパーフェクトな内容でした。
攻撃も森重がボール捌きが有効。
休養万全のレアンドロのキレも良く、圧巻のゴール。
決勝点のアダイウトンのゴールもFC東京のらしさが詰まった、高い位置で奪ってからのゴール。
波乱の2020年シーズンを有終の美を飾りました。

2020年はコロナウイルスの蔓延により激動の1年となりました。
ACLの参加もあり、日程としても厳しい戦いが続きました。
その中で最後にルヴァンカップを獲ることができたことは、
戦い抜いた結果が形になったという意味で本当に良かったと感じましたし、
多くのものをもたらしてくれた長谷川健太監督とともにタイトルがとれたという点でもこの勝利は大きなものでした。

というわけでFC東京の振り返りは今週で終了。
お付き合いいただきありがとうございました。

来週からは単発でつらつら思いついたことを書いていこうと思います。