これからのツーリズム
昨年11月の沖縄旅行でGotoを活用して宿泊した「ハレクラニ沖縄」は非常に洗練されており、オーシャンビューの部屋で過ごす時間は格別だった。
ただ、その中で感じた違和感もあった。ハレクラニのある恩納村には他にも高級リゾートホテルがたくさんある。海沿いにこれだけたくさんのホテルがあるということは、それだけ自然が失われ、開発が進んでいることを意味する。
ホテルが立ち並ぶ片側一車線の国道58号は夏の繁忙期にはかなりの渋滞が発生するのだろう。その町の規模以上に観光客が押し寄せてしまう現象「オーバーツーリズム」を感じずにはいられなかった。一方でツーリズムが地域に与える経済的なメリットは非常に大きい。11月下旬でコロナの影響もあり車の少ない国道58号を走りながら観光とはどうあるべきなのかと考えてしまった。
昨日アナザースカイで寺島しのぶが沖縄県南城市にある「さちばるやーどぅい」という海岸沿いにある複合施設(宿、カフェ、レストラン等が同じエリアにまとまっている)を紹介していた。
この施設を作った稲福さんご夫婦のお話の中に、11月の沖縄旅行で感じた違和感を解消してくれた言葉があった。
【ここでは「リゾート地を開発する」ではなく、「土地を磨く」んです。ありのままの自然を極力いじらず、建物を建てるのではなく、「はめ込んだ」のです。】
施設の1つの茶屋の壁は元々あった岩壁が建物の一部になっており、宿の階段には新芽が生えている部分がある。自然との共生を第一にした施設である。ご夫婦が26年を懸けて磨いて来た土地とのこと。
環境保護で先進的な取り組みを行うパラオでは、入国の際に観光保護への誓約書にサインが必要でその中にはこのような記載があるという。
「I shall not take what is not given. I shall not harm what does not harm me. The only footprints I shall leave are those that will wash away.」
「与えられたもの以外は取らず、害のないものは傷つけず、自然に消える以外の痕跡は残しません。」
これからのツーリズムには関わる人全てにこの姿勢が求められるのかもしれないと思った。
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