#2 塩はつけるより「かける」、しょうゆはかけるより「つける」
心疾患、脳卒中、腎結石、骨粗しょう症、胃がん……重大な病気を招く原因にもなる「塩分」。世界で推奨されている1日あたりの塩分量が5グラムなのに対し、日本の平均的なビジネスパーソンは、ゆうに15グラムを超えるそうです。東京慈恵会医科大学附属病院栄養部の監修による『はじめての減塩』は、美味しく、簡単に塩分を減らすための知恵と工夫が満載の一冊。その中から、ぜひ覚えておきたい基礎知識をいくつかご紹介します。
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塩は「容器」に気をつける
塩の種類よりも気をつけてほしいポイントが二つあります。一つは、塩の入っている容器です。
外食先で一度や二度、こんな経験をしたことはないでしょうか。卓上に置いてある塩入れを、家にあるものと同じ要領でふったら、思った以上に穴が大きくてドバッと塩が入り、しょっぱくなってしまった……。よくある失敗談です。
容器の穴が大きかったり穴の数が多ければ、その分、1回ふって出る塩の量も多くなります。それでいうと粗塩など粒の大きい塩の場合、容器の穴も大きくなり、ひとふりの量も多くなりがちです。どんなにほかのミネラルが豊富に含まれていようと、たくさん入ってしまえば塩分の摂りすぎに変わりはありません。
最近はガーリックやハーブ、スパイスなどで風味をプラスしたフレーバー塩も人気です。このような塩は、使う量が同じなら塩分は間違いなく少なくて済みます。ただ、これもまた容器が問題です。市販の瓶に入っているものを入れ替えずにそのまま使う場合、その穴が大きく開いていないか、ひとふりで塩が出すぎていないか、確認してみましょう。
そしてもう一つ、気をつけたいのがつけ方です。
昨今、焼いたお肉や天ぷらなどをこだわりの塩で食べさせるお店が増えています。そんなとき、あなたはどうやって塩をつけていますか。小皿やお皿の隅に盛ってある塩に、ちょんちょんとつけて食べていませんか。
そうしている人は要注意。ふれたところ一面にべたっと塩がついてしまうからです。しかも全体に塩味が行きわたっていないために、一口食べてはまたつけて、というのを繰り返すはずです。そうすると、どんどん塩分が増えていってしまいます。
ではどうすればいいかというと、指でつまんでパラパラと上からかけること。そうすれば、少ない量でまんべんなく塩味がつけられます。塩は「つける」より「かける」と覚えましょう。
しょうゆは「つけて」使う
塩の次に使い方に気をつけたいのが、しょうゆです。
さて、ここでいきなり質問ですが、淡口しょうゆと濃口しょうゆ、どちらが塩分は少ないでしょうか。
「淡口というからにはこっちのほうが、味が薄いんだろう」と思った人はハズレです。正解は濃口しょうゆです。
濃口しょうゆはもっとも一般的なもので、単に「しょうゆ」とレシピにあったら、これを指します。一方、淡口しょうゆは、関西などでよく使われる色の薄いしょうゆです。小さじ1杯の塩分は、淡口しょうゆで1・0グラム、濃口しょうゆで0・9グラムです。
先のように「淡口」を「味が薄い」と勘違いしている人がけっこういますが、淡口はただ色が薄いという意味。煮物などに色をつけたくないときに琥珀色の白しょうゆを使うことがありますが、この小さじ1杯の塩分は、濃口しょうゆと同じ0・9グラム。とろりとして濃厚なたまりしょうゆは、0・8グラム。色の濃い、薄いは、塩分とはまったく関係ないということです。
では、しょうゆを使う際にはどんなことに気をつけたらいいでしょうか。
しょうゆも、塩と同じく「うっかり摂りすぎ」に注意です。むしろしょうゆのほうが液体であるだけに、ドボドボと一気に出すぎてしまう危険性は高いかもしれません。
しょうゆを使うときのコツは「かける」より「つける」。塩とは逆です。
お刺身に、上からしょうゆをかけると、ついドボドボとかけすぎてしまうことがあります。かけずに小皿にあらかじめ少量とり、そこにちょんちょんとお刺身をつけます。そうすれば、かけるよりもずっと少ない量のしょうゆで済みます。もちろん、お刺身を小皿のなかで泳がせてしまっては意味がありませんので、そこはあくまで「ちょんちょん」を心がけてください。
自宅の場合、プッシュ式のしょうゆさしを使うのもおすすめです。量を微調整しながら出すことができるので、うっかりかけすぎてしまうのを防ぐことができます。