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ウンコから神様が生まれた? 日本の神話はこんなにぶっ飛んでいる!

イザナギとイザナミの国生み、天照大神と須佐之男命のきょうだいの諍い、愛と正義の人・大国主の冒険、天の神々が地上に降り立つ天孫降臨……。神話の面白いところをギュッと凝縮した一冊が、『やさしい心を育てる日本の神話』です。これ以上ないほど平易に書かれているため、他の入門書を読んで挫折してしまった人でも、きっと大丈夫! 大人から子どもまで、日本人なら知っておきたいことが満載の本書から、一部を抜粋してご紹介します。

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プロポーズのやり直しをする

ふたりが結婚してしばらくすると、イザナミは子どもを身ごもりました。ふたりは大喜びで子どもが生まれるのを待っていました。しかし、生まれた子どもは水蛭子といって、目も鼻も口も手も足もない子どもでした

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ふたりは泣きながらこの子を葦船に乗せて海に流しました。

その後もイザナミは子どもを身ごもりましたが、生まれたのは淡島という、とても弱弱しい子どもでした

水蛭子も淡島も、生まれはしたものの育ちませんでした。

どうして丈夫な子どもができないのだろうと、ふたりは話しあいましたが、原因はわかりません。そこで、ふたりは、宇宙の中心にいる大神様のアメノミナカヌシ(天之御中主神)におうかがいを立てました

アメノミナカヌシは、ふたりから悩みを聞いて占いをしました。そして、占いの結果を見て言いました。

「女から先にプロポーズしたことがよくなかったらしい。プロポーズをもう一度やり直しなさい。その時には、必ず男の方から先にプロポーズするように!

ふたりは大急ぎでおのころ島に戻り、天の御柱を回ってプロポーズをやり直しました。

「わあ、すてきな女の子だ!」

「まあ、すてきな男の方!」

今度は男のイザナギが先に、プロポーズの言葉を言いました。

それからすぐにイザナミは身ごもって、次々に子どもたちを産みました

生まれた子どもは次の順番です。

・淡路の穂の狭別の島(現在の淡路島)

・伊豫の二名の島(現在の四国)

・隠岐の三つ子島(現在の隠岐諸島)

・筑紫の島(現在の九州)

・伊伎島(現在の壱岐)

・津馬(現在の対馬)

・佐渡島(現在の佐渡島)

・大倭豊秋津島(現在の本州)

この八つの島は先に生まれたので、『大八島』と呼ばれるようになります。

その後もイザナミはどんどん島や半島を産んで、だんだんと日本の国土が形づくられてゆきました。

神々の誕生

国土が形づくられた後も、イザナミは子どもを身ごもりました。今度は次々と神々が誕生しました。

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・石、土、砂の神々

・家屋の神々

・海、川の神々

・風の神

・木の神

・山、野の神々

・空を飛ぶ船の神(天鳥船)

・食べ物をつかさどる神(大宜都比売)

・火の神々

イザナギもイザナミも大喜びで子どもたちを育てました。将来、この神々からまた子どもが生まれて、八百万の神々が誕生するのです。

しかし、イザナミが火の神であるヒノカグツチ(火之迦具土神)を産んだ時に、大やけどを負ってしまいました。そして、そのやけどがもとで病気になってしまいました。

イザナミはだんだんからだが弱っていきました。しかし、最後の力を振り絞ってさらに子どもをつくりました

口から吐いたものから『鉱山の神』が生まれました。おもらししたウンコから、土器をつくるための『粘土の神』が生まれました。おしっこからは『農業の灌漑用水の神』と『産業の発展を司る神』が生まれました。イザナミが自分の命と引き換えに産んだ神々は、地上の人々が生きていくために必要な火、金属、土器、農業用水、産業の神々でした。

そして、今度は『産業の発展を司る神』が子どもを産みました。生まれたのは『豊穣(労働により得られる食べ物などの恵み)の女神』のトヨウケヒメ(豊宇気毘売神)でした

孫のトヨウケヒメの立派な姿を見て、イザナミは病気の苦しさで目にいっぱい涙を浮かべながらも、ニッコリと笑いました。これで、自分が死んでも、残された神々や人々が幸せに暮らしていけると思い、安心したからです。

そして、イザナミは静かに息を引き取りました。

イザナミを必死で看病していたイザナギは泣き叫び、横たわるイザナミの枕の方で腹ばっては泣き、足元に腹ばっては泣いていました。しかし、いつまでもそうしているわけにはいきません。イザナギは泣きながら、イザナミを出雲の国(現在の島根県)と伯耆の国(現在の鳥取県)の国境の比婆の山(現在の広島県庄原市)に葬りました

イザナギは怒り狂っていました。いとしいイザナミが死んだのが、ヒノカグツチのせいだと思ったからです。そして、とうとう恐ろしいことにイザナギは、自分の腰につけていた神剣『十拳剣』を抜くと、わが子ヒノカグツチをバラバラにちょん切ってしまったのです。

すると、流れた血からは、タケミカヅチ(建御雷神)をはじめとする刀剣と刀鍛冶(刀剣を作る技術)の神々が、からだの部分からは山の神々が生まれました

怒りにまかせてわが子ヒノカグツチを切ってしまっても、死んでしまったイザナミは戻ってきません。イザナギは、ヒノカグツチを切ってしまったことを後悔しました。そして、ヒノカグツチの血とからだの部分から生まれた新しい神々を大切に育てました


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