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寝つきが悪い、早く目が覚める…睡眠のお悩みはコレで解決

日本人の5人に1人が悩んでいると言われる「不眠症」。どうすれば、朝までぐっすり眠ることができるのか? スッキリ目覚めるには、どうすればよいのか? そんなお悩みを持つ方におすすめしたいのが、精神科医・岡田尊司先生の『人はなぜ眠れないのか』です。今夜から試せる「睡眠コントロール術」が満載の本書より、一部を抜粋してご紹介します。

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寝つきが悪く、朝起きられない人

睡眠負債や覚醒物質、アルコールなどの影響はないものとしたときに、寝つきや朝の眠気をほとんど決めているのは、体内時計の睡眠相が実際の睡眠時間とどれくらい一致しているか、あるいはずれているかである。

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ずれ方にも大きく分けて二つある。すでに症例のところでもみたが、後ろにずれる場合と、前にずれる場合である。若い人では後ろにずれやすく、年が上がるにつれて前にずれやすくなる。それは、宵にやってくる第二の覚醒のピークが若い人では強力だが、年齢とともに弱まってしまうためである。

しかし、若い人でも前にずれた朝型の人もいるし、高齢者でも後ろにずれた夜型の人もいるので、一概には言えない。

寝つきが悪く朝が起きられないという場合には、睡眠相が、後ろにずれているわけである。したがって、あなたが眠る時間に、ベストの睡眠をとるためには、睡眠相を前にずらす、つまり早めればいいわけだ。

では、睡眠相を早めるにはどうしたらよいのだろうか。

カーテンの開き具合を大きくし、早朝から明るい光が寝室に注ぐようにする。採光が悪い場合には、明るい部屋とチェンジするか、部屋を借りている人では、引っ越しも検討する。暗い部屋で暮らしていることが、大きな原因になっている可能性がある。それが無理な場合は、朝早くから蛍光灯を点灯し、室内だけでなく、枕元も明るく照らすようにする。

朝起きたら一番に外に出て、太陽の光を浴びるようにする。午前中に外を散歩するなど、戸外の光を浴びながら運動をする。毎日は無理でも、休みの日など可能な日だけでもよい。

その一方で、夜はできるだけ明るい光に目をさらさないようにする。夜は運動も避ける。九時以降は、テレビ、パソコンなどの画面は見ないようにする。部屋も蛍光灯は使わず、白熱球のダウンライトなどを用いて、少し薄暗くするのが理想だ。寝るときは人工灯は消して真っ暗にするが、遮光カーテンや雨戸など、朝の自然光を遮るものはよくない。

休日でも、遅く起きるということをしない。週末に夜が遅くなり、朝の起床がずれることが、睡眠相が後ろにずれる最大の原因だと言ってもいいほどだ。休日にも同じ時間に起きるようにするだけで、月曜日の出社通学がかなり楽になる。

夜の眠気が強く、朝早く目が覚める人

逆に、夜の眠気が強く、寝つきはいいが、早く目覚めてしまうという人では、睡眠相が前にずれているので、ちょうどよく眠るためには、睡眠相を遅らせる必要がある。

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睡眠相を遅らせるには、睡眠相を早める場合にやったことと、ちょうど反対のことをすればよい。

まず、一番簡単にできることは、カーテンをきっちり閉めることは無論、遮光カーテンにするか雨戸を閉めるなどして、朝の光を遮り、夜の状態が、できるだけ遅くまで維持されるようにする。北向きか西向きの、午前中薄暗い部屋に寝室を当てる。

朝から散歩をしたり、庭いじりをしたりするのは控え、午後以降、できれば夕方以降に散歩や外回りの仕事をする。夜はテレビやパソコンの画面を少し遅くまで見たり、部屋をできるだけ明るく保ったりする。雨戸を早くから閉めるのはよくない。寝るときも完全な暗闇にしないほうが、体内時計の周期を長くし、リズムを遅らせることにつながる。

休日はできるだけ遅くまで眠り、布団の中でゴロゴロするように心がける。

しかし、このタイプの人に限って、朝早くから散歩に出かけ、よく動き回るというのが習慣になっていることも多い。引退されている場合には、家族が閉口するくらいで、あまり支障はないが、仕事をしている場合には、早朝覚醒があると、疲労が蓄積しやすいといった問題の要因となるので、やはり睡眠相を少し遅らせたほうがよい。