葛藤

 あのソファ野郎のしぃ推し発言から1週間。

ゲーム名 しい・りぅ・すー 
あだ名はしりす、すー、そしてしぃちゃんさん

 話題になるのも早ければ流れるのもやはり早い。エレーナ関連の話題は水曜日に行われる他の実況者とのプラベの内容だ。内容は釣り大会、なんと視聴者もユーラ湖の主を倒せば参加可だ。これを喜ぶファンがいる。…ソファ、もとい

ゲーム名 クスン

は萎れた顔をしていた。ゲーム内で見た顔も声も子供っぽい、キャラクリであることはわかるが声は変えられない、が思ったよりガラガラではなかった。出会った頃書き込んでた彼の悩みが、私と同じだと嬉しく思ったが違ったらしい。
「このままじゃ、会えない。」
クスンが私を見た。この子はシンプルな考え方をしてる。考える過程が多少無茶でも飲み込んで処理する。結果自分でも分からなくなる。
「レーナさんに会いたいです。でもあの企画は無理です。」

 問題はそこじゃない。未だ私の中にある問題は私が君の推しの一人だとバレてないことだ。服を変え、髪をポニーテールにもしたが顔は同じ。バレる覚悟で来たんだ。なぜ気づかないのか?
「主には勝ってたとしても無理です。しぃちゃんさんみたいになれない!企画見ましたか。」
「全部ソフ…クスンくんが言った。」
「あ〜、あっ」
私のように助けたい?確かに企画は魚釣りなんて言えるものじゃないし、魔物を狩るのと変わらない。だが協力できるのだ、1人だけじゃないボスの連戦なんか。
「できるのでは?」
「推しのようにできないです!推しが師匠になって欲しいです。第二の師匠に〜!」
「まぁ、いいけど。」
かなり自然に言ってのけた。流石に気づいてくれ。クスンの顔は至極当然というかんじだ。なんか投げ出したい。
「さぁし〜、やっぱりさぁしはゲームの師匠だよ!」

 眠いし会話はすれ違ったままだ。ただ急ぎすぎたんだろう。相手の会話についていけてない。私も話す内容を整理して挑まないといけないようだ。

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