見出し画像

国産DEXの抱える問題について


少し前から盛り上がりを見せているDefiやDEXブーム。数年前はひたすらICO案件が話題となっていた印象だが、次なるジェネレーションになってきている事を感じる。NFTやらゲーム、メタバースなどのトレンドの広がりを見ると追いつくのがやっとである。


さて、国産DEXについて、筆者の考えを推論の許す限りで述べていきたいと思う。

最近、界隈では”日本発”や”国産”DEXという謳い文句のDEXプロジェクトを目にする機会があった。

DEXやDefiブームからして、日本を拠点にしたDEXが出てくるのはごく自然な流れだろう。

しかし、法整備やガイドラインにどこまで沿っていけるかという問題に直面せざるを得ないものである。




DEXは、非中央集権的な側面がユーザーからウケている一面を持ち合わせており、運営会社の存在を感じながらもCEX(中央集権的な取引所)に比べラフに運営されているケースが多い。
uniやpancake、sushiなどは、KYC認証をユーザーに求めているわけではないため、テレグラムやディスコードなどラフな媒体で情報コントロールがされている。取引所というよりも取引所に紐づくガバナンストークンのマーケティング観点として情報発信という方が近いであろう。


DEXの側面からすると非中央集権ながら明確な運営が存在することはある意味で矛盾をはらんでおり、永遠の課題のように感じる。しかし、国産ともなると、この立ち位置がより難しいものとなる。

日本において取引所を営むには仮想通貨交換業が必要とされており、それはCEXであろうとDEXであろうと同じ規制対象とされるであろう。そうなると国産DEXがサービスリリースもしくはローンチ前に仮想通貨交換業を取れるとは到底思えない。KYC認証すら存在しないDEXにおいて投資家保護やマネロン対策が行えないと判断される可能性が高いからだ。

こういった事を背景に見ていくと、国産DEXの運営者が表立って情報発信することはリスクでしかない。そのため、限りなく控えるようにするだろう。


日本特有のLINEのオープンチャットなどに運営者として名乗ること自体が大きなリスクであるため、公式アンバサダーや近しいプロジェクトのマーケッターで管理してもらうほかないという状況になるだろう。

しかし、こういった背景を理解してオープンチャットに参加しているユーザーは、あまりいないのかもしれない。ユーザー目線からするとアンバサダーやその他のプロジェクトの担当者が出てくるのに、DEXの運営陣が出てこないのは失礼極まりなく”やる気がないのでは?”と感じさせる可能性が高そうだ。
特に国産だからと飛びついたユーザーほど文句を言いそうな事が想像できる。


DEXに紐づくガバナンストークンのプロモーションやマーケティングという立ち位置からDEXの進捗や解説を入れるようなやり方が現状での精一杯なのではないかと思う。何にしても直接的に運営陣と名乗って活動すること自体が2021年においてはリスクであろう。


そういった背景を元にDEXを運営するとどうしても難しい瞬間が出てくるように感じる。
例えばステーキングやファーミングなど、DEXとしての利用価値に直結しているサービスにおいて不具合があった際に、問い合わせ先を用意しておかなければいけないが、日本語ページの専用フォームなんかを用意してしまうと仮想通貨交換業を営んでいる事を明確に表すものとなる可能性が高いのだ。


こういったようにカスタマーサポートあたりをしっかり整えようとすると誰が運営しているかが明確になるため、仮想通貨交換業に触れてしまうリスクを懸念して積極的にリソース割く事はしない運営方針になっていくだろう。


国産DEXだからこそ日本ユーザーに優しい設計になるかというと、必ずしもそうでないというのが現実なのではないだろうか。
ただ、DEXを広めるにあたって、海外マーケティングを行い広くユーザーを囲い込むのがどのDEXだろうと重要になっていくため、国産DEXの出始めの頃は狙い目である事は間違いないだろう。



話は少し逸れてしまうが、DEXの良さである非中央集権的な側面からするとDEXの置かれているサーバは気になる所である。
よくホワイトペーパーなんかに分散型の理念や非中央集権を広げていくといった記載を多く見かけるが、そもそもDEXを置いているサーバ自体がAWSなどに置かれていたら本当の意味での分散型とは言えないだろう。逆に目に見えない部分であるサーバ環境まで分散型にしているDEXは、本気でそういった文化を広めようとしている情熱が垣間見える気がしてくる。


今後、国産DEXがいいモデルケースを作ることができれば、交換業のなかでもDEXに関するガイドラインができていくのではないだろうか。期待あるのみである。







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?