世界が綺麗になったら

ずっと世界が平和だったらいいのにと思っていた。
意地悪なことがなくて、みんなが幸せならいいのにと願っていた。
そうしたら自分も幸せになって安心して過ごせると思っていた。

そのためには正しいことが必要だと思っていた。効率と統制と自由と幸福な何か。柔軟な優しさが頂点に立つ未来。そのために生きていた。

だけど、考えるうちにその善い世界に恐怖した。右往無像があやふやが隠してくれていた自分が露わになる。化け物だ。気持ち悪くて、滑稽で、最低だ。ただそう思うのは自分だけだ。こんなに汚いのに善い世界は何も思わない。無と等しくそれを知覚しない。全く無視される。歓迎されるわけでも嫌悪されるわけでもない。眼中にないと言う事実を受け取るしかない世界。よく見える善い世界に自分だけが自分を見ている。それを苦しいと思う自分がたまらなく汚らしい。怖い。怖い。

でも怖さを紛らわすには世界が綺麗に向かわなければいけない。それか相当にめちゃくちゃで、全てに興味津々でゼロ距離の最低な世界か。

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