エウリディケ東京千秋楽感想

2024.2.17-18

エウリディケは綺麗で、本が好きで、自分を1番に愛して欲しくて、わがままで自由な女の人
の象徴として見てたから、ああ、女の人ってこうだよねぇ…て俯瞰で見てた。

オルフェはそんな彼女が好きで、愛していて、彼女が喜ぶことをいっぱいしてあげたくて、でも音楽と生きている人で…
ああ、単純で真っ直ぐな男の人なんだなぁと、見てて。

死(危険で面白い男)に魅入られて、気に入られてしまっている状況から逃れられなくて、どうあがいたって死ぬしか無かったんだよね。
生きて欲しかったけど、何度やっても多分エウリディケには出来ない。

そして何度もこの運命を辿ってる人なんだなぁって思った。

綺麗な音楽に乗せて、素敵な作品だったなぁと思ったのは私が単純だからだと思う。
役者にフォーカスを絞って観るっていうより「エウリディケ」っていう作品を観れたことに感動したというか…

愛情って結局、何なんだろう
生きるって何なんだろう…

幸せな時間は誰にでもあって、
でも「死」 はそれを無理やり奪っていくもので。

いつか無くなってしまう儚いものだけど、それが大切で綺麗なんだなって思った。

個人的に何回も見たい作品でした。

「死」は理解できない、遠ざけたいもので、それを感じる演技がすごく良かった。
恐ろしくて、拒めなくて、身近で。

トムとジェリーの天国と地獄のような世界観、
列車に乗れるのは天国に行く人だけなんだよね。
そう考えるとお父さんは呆気なく逝ってしまったから残した大事な娘が心配で地獄に留まってしまったんだろうか。。悲しいね。

オルフェ「君のために歌を作ったんだ!」
エウリディケ「まぁ!嬉しい聞かせて!」
オルフェ「パートが12あるんだ!」
エウリディケ「そ、そう、じゃあ海に行きましょ!(逃)」
じゃなくて、
エウリディケ「よっしゃどのパートから覚える!?どこ歌えばいい!?」
て奴だったら激ハッピーエンドなんだよね()

お互い「こういう時は、こうあって欲しい!」っていう欲が「人間」の面倒な所で、
欲の塊だからどんどん出てくる。だからこそ面白いものが生まれてしまうんだよね。
そりゃ死者の国の王様も興味湧いてしまうし、自分のものにしたくなっちゃうよな。

人間の記憶なんて、それこそどんなに大切なことだって、水に溶けて無くなってしまうほどのものかも知れない。
でも生きている人間はその思い出を持っているから、生きていけるわけで、
死者には必要ないものだから、持っていても禁止なのかと思う。
面白い世界観。

エウリディケが「オルフェと、オルフェの次の奥さんに宛てた手紙」は最後の、最後までオルフェに届くことは無かった。
…つまり、オルフェはあのあとも再婚することなく、死ぬまでずっとエウリディケを探してたんだろうな…

最後の雨に当たる前までオルフェはエウリディケを覚えていたけれど、
雨で全てを忘れてしまって。

最愛の人も忘れ、
手紙を「読む」ことさえ忘れて、
あのままきっとオルフェも水に浸って、
全てが無になるんだろうなと。
あの惨さがすごく好きだった。
救いがない。
引き込まれて、私達も地獄の石になったような静寂。

そして
冒頭の明るさに戻るようなカーテンコール、
ループ感が何度も味わいたくなる。
そんな舞台でした。

素敵な作品を観ることができて、胸がいっぱいです。