1 はじめに
 本プロジェクトチームは、インターネットと人権をテーマに、情報空間に関する憲法問題の研究を行うべく、世界人権問題研究センターの研究チームの一つとして発足されたものである。活動期間は2024年度から2026年度までの3年間を予定している。
  以降、noteを用いて、本プロジェクトチームでの議論内容及び研究成果を対外的に発信していきたいと考えている。

2 本プロジェクトチームの趣旨の詳細及び構成メンバー
(1)趣旨の詳細
 インターネットと人権保障とのかかわりは両義的である。一方で、インターネットの発展は、多様な情報へのアクセスを大幅に改善し、多くの人々の生活の質を向上させるとともに、各人の情報発信を容易にし、表現の自由を現実に行使できる機会を拡大した。しかし、他方で、名誉毀損、プライバシー侵害、知的財産権侵害など、インターネット上で大量に流通する情報による被害も拡大している。さらに近年は、SNSなどデジタルプラットフォーム事業者のコンテンツモデレーションによる個人の操作、生成AIによる偽情報/誤情報の脅威、メタバースにおけるアバターによる新たな権利侵害といった新たな問題も次々に出てきている。
 こうした問題への対応として、従来は問題投稿の削除や民刑事責任の追及といった個別のいわばミクロの対策がなされてきたが、最近ではデジタルプラットフォーム事業者によるコンテンツモデレーションのあり方自体への規律や、より広く情報空間のガバナンスといったマクロの対応が重要視されつつある。ただ、こうした対応を推し進めるに際しては、表現の自由の保障のあり方、情報空間への国家の関与のあり方(恣意的で不適当な国家介入をどのようにして抑制するかという点も含む。)、さらにはデジタルプラットフォーム事業者と憲法との関係(いわゆるデジタル立憲主義の問題も含む。)など、検討すべき新たな憲法上の論点が多く浮上する。
 本研究は、主に憲法学の観点から、比較法的、原理的、実務的考察も交えつつ、これらの問題について検討を深め、憲法学界内外に問題提起を行うことを目的とする。
(2)構成メンバー
リーダー :曽我部真裕(京都大学大学院法学研究科教授)
専任研究員:上本 翔大(世界人権問題研究センター研究員)
嘱託研究員:梶原 健介(九州大学基幹教育院准教授)
  〃  :門田 美貴(京都大学法学研究科特定助教)
  〃  :木下 昌彦(神戸大学大学院法学研究科)
  〃  :成原  慧(九州大学法学研究院准教授)
  〃  :増田 拓也(色川法律事務所弁護士)
  〃  :水谷瑛嗣郎(関西大学社会学部准教授)


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