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「文字書きへディテール質問」に答える

こんにちは。架空書店「鹿書房」店主、伍月鹿です
毎日暑いですね!!!!!!
部屋に冷房がないので、汗だくでなんとか過ごしています
職場は冷房がガンガン効いているので、温度差で自律神経がえらいことになっています。この数日は涼しくて少し生き返りました

今日はTwitter(と便宜上呼ばせていただいてます)にて見かけた
「文字書きへディテール質問」に答えさせていただきます
(※質問文手打ちしたので誤字脱字ありましたらすいません)


文字書きへディテール質問

Q1 普段書く文章のジャンルは?
あえて型に嵌めるならば「ミステリー」と「BL」
自分は意識していなくてもわたしが書くものは大体ミステリーになっているようです
ミステリーは実際好きだし、展開的に作りやすい
でも本格は絶対に名乗れないし、なんならわたしの書いてるジャンルはわたしが知りたい
唯一断言できるのは、ウケるものと売れるものは書いてません

Q2 長編と短編どっちを書く? 得意なのは? それはなぜ?
どちらも書きます
投稿サイトで主流の長期連載のような書き方はせず、自分が決めた起承転結で物語を完結させるタイプなので、そういう意味では短編しか書いていないのかもしれません

三千字から一万字程度の短編(一話完結)だと、書きだした時点でpixiv小説何ページ分、何字程度、くらいの予想をして、大体その通りにはなります
十万字前後の長編(数話完結)だと、大体思ってた以上に長くなります
書いてて楽しいのは短編

以前自分の文章を褒めてみた際にも書きましたが、最初と最後に同じことをいう「伍月鹿あるある」がうまくはまったときは自分天才だなと思います
(というか短編は大体そういうレイアウトで書きがち)

Q3 プロットは書く? どこまで細かく書いてる? 忠実になぞる派、それとも?
最近はプロットを書くようになりました
ざっくりと最初から最後までの展開を箇条書きにして書いて、それをなぞっていきます

Q4 先に物語りの全貌をなんとなく把握してから書く派? それとも、とにかくまずは書きだしてみる派? 結末だけは成り行きに任せる、など
頭の中で書きたいシーンや、物語を書く動機が見つかった瞬間に、分厚い本をバララッとめくるような感覚をいつも覚えます
それからちょっと待って、もうちょっとちゃんと読ませて、とページをめくっていくイメージ
なので全貌は見えてますが、書きだすまでどんな雰囲気になるのかわからない部分もあります
ある程度まとまったら書いてみることが多いです
冒頭ができたらプロットを書いて、あとはひたすら書くだけです

Q5 執筆スピードは? 一時間で何文字?
一時間で千字くらい

Q6 短編:一気に書き上げてしまうタイプ? それとも数百文字など少しずつ時間をおいて書いていく? その理由は?
  長編:一気に三千~五千字など書いてしまうタイプ? それとも数百文字など少しずつ時間をおいて書いていく? その理由は?

短編、長編(定義はQ2より)どちらも時間があれば何時間でも書けるので、一気に書いてしまう方
ただ時間なかったり、健康に良くなかったりするので、五時間くらいでやめるようにはしてます
毎日計画的にコツコツ書く、ということはできない人間ですが、書き上がったあとの校正・修正作業は比較的計画を立てて少しずつ進めていくことが多いです

Q7 未完小説はある? どうして書けなくなったの? 完結させる意思はある?
いろいろあります
単純にやっぱり自分が楽しい展開でなければ筆がとまる
あとは書いているときに感じていたことが環境の変化でなくなってしまったり、似た作品を見つけたりすると、書く意味を見いだせなくなってやめがち
寝かせてからよくなることも多いので、気楽にいつか完結させようという気でいます

Q8 初めに書いた文章はどの程度完成されてる? 最初から9割イメージで仕上げていく? それとも、まず7~8割完成であとから肉付けしていく?
最初の文章は3割程度の完成度
書きながら何度も冒頭に戻って読み返して、描写を追加したり、展開を変えたりします
自分の文章は何度でも書きなおしていいという自分ルールがあるので、公開後の作品であっても数年後に書きなおすと全く違うものになります

Q9 書いている途中で展開に悩んだらどうする? 友達に相談する? ノートにこれまでのストーリーをまとめてみる? インプットに走る? などなど
外見描写や設定に悩んだら、伍月鹿のビジュアル担当様に連絡をします
Q4参照、書き始めた時点で展開は見えていることが多いので、書いている途中で悩んだらとりあえずいま書くのをやめます
細かい言い回しなどを訂正しながら時間を稼ぎ、出勤途中にいい案が思いついて解決する、というのがいつものパターンです

Q10 キャラクター、物語、世界観、どれから作る? どんな流れで作りあがっていく? 自然と設定は生えてくる、キャラは緻密に設定詰めてから、舞台を完璧に整えてから書きはじめる、など
書きたい動機から作っていきます
例えば、ナポレオン軍をモデルにした話を書きたい→なにかの組織に所属していてほしい→図書局なんてどうだろう→学生のキャラクターを作ろう(キャラクターができる)→学校の行事に沿った展開にしよう(展開が決まる)→学校のスケジュールを決めよう(世界観ができる)→こういう結末にしよう
といった感じに少しずつ具体的になっていきます
普段の様子を見ていていただくとわかるように、ある程度完成したあとに設定をまとめることも多々あります

Q11 描写がうまく書けないときはどうする? 飛ばす? それとも納得いくまで悩む?
Q8参照、最初の文章は3割程度なので、そこから完成まで何度も何度も書きなおします
ある程度まで書いたら冒頭に戻って読み返し、また書いては読み返し、という風に書いているので、うまく書けないなあと悩むほど文章がうまい自信がないです

Q12 書いてきた展開を、あとからボツにして書きなおすことはある? そのときボツにする決定打はなに? 書いたものが惜しくはならない?
展開ボツはしょっちゅうです
起承転結の流れや配分的にいらないと感じたらカットします
自分のこだわり描写や設定の部分はだらだらと書きがちなのでボツ多め
長編を書いている際は書いているファイル(メモ帳)の他に「memo」というファイルを作り、ボツにする部分を貼り付けて残しておきます。あとから別の部分に付け足すこともありますし、書き終えたあとにそのまま破棄することもあります
自分が書いた文章は全部覚えているので、惜しいものはまた次の作品で書きます

Q13 自創作の世界やキャラクターは存在していると思う? その場合は、考えている自分との矛盾をどう解消する? それともあくまでフィクション?
質問の意味を考え込んだくらいには新鮮な価値観でした。あくまでフィクションです
子供の頃からアニメやゲームに自分を投影する遊びが好きで、その延長で物語を書いていますが、
「その世界」に入っていることと「現実世界」を重ねてもうまくいかないのは随分と子供の頃に学んだ気がします
夢小説や創作主人公ものが書けません

Q14 小説のキャラクターに自己投影はしている? 自分の思想を言わせることはある? 作品自体が自分の言いたいことだったりする?
それこそ幼い頃に書いていたものは世界に訴えかけるような思いでしたが、最近は自分の思考もあくまでネタの一つでしかないと考えています
わたしの思考が人とズレていることも多いので、そのまま文章にすると酷いできあがりになります
なんならキャラクターには「世間一般」にあてはまってもらいたくて、自分の思考ではない行動をしてもらうことが多いような気がします

Q15 キャラクターの性格の一貫性と、自分の書きたいストーリーの展開が矛盾したらどうする? どっちを曲げる?
ストーリーを捨てます
わたしの考えた面白くないストーリーよりも、わたしがなんとか作り出したキャラクターを活かすことを優先します。そっちの方がリアルに書けます

Q17 自分は好きじゃない展開だけど、ストーリー上そういう展開が自然かもと思ったとき、どうする? 好きな展開になるよう調整する? それとも、好きじゃなくても書く?
プロットを書いたときに、この展開、誰が文章にするんだろう……とは毎回思います
でも必要であれば頑張ると思います
最近はAIに手伝ってもらうことを覚えました

Q16 あなたの小説の内容やキャラクターはどこから生まれた? 好きを詰め込んでる? 性癖? それとも一般的な需要に合わせて? たまたま思いついた・見つけたもの? 世の中の〇〇じゃないものを作るんだ!・私ならこう書く、などなど
キャラクターから決めたものでなければ、書き始めたときには主人公の名前すら決まっていないことが多いです。大体のキャラクターは外見描写をあとから考えます
わたしの話が生まれる場所は、基本的には好きなものが多いと思います。どちらかというと「世の中の〇〇みたいな話を書きたいな~」から始まることも多いので、数年後に読み返したときに「あの作品と似すぎ……」と一人で赤面することも多いです

Q18 どういうときに小説を書こうと思う? それとも、自分が「今書くんだ!」と決めたら、気持ちを切り替えられる?
ポメラやPCを開いたら自然と書き始めていることが多いです
Q6参照、時間があればいくらでも書けます

Q19 小説を書いている時間、推敲する時間、書き終わったものを読む時間など、どこが一番好き? それはなぜ?
書いて、冒頭に戻って、を繰り返して、ある程度の文章の肉付けが終わった頃に、冒頭に戻ったとき
書いている最中は自分の文章を少しも面白いと思えませんが、出来上がったものを読んでいるときはちょっとは面白く書けたのではないかなとうきうきします

Q20 いつも同じ展開、結末、キャラクターかもと悩んだことはある? 特にそれを好きで書いている場合、どうやって気持ちに折り合いをつける? それとも、作りたいものではないとしても、似ないように調整する?
以前、好きな作品を書いた作者には同じような作品を求める、という意見を見、「確かに……」と思ったので、毎度似たような話を書くことに抵抗はなくなりました

Q21 物語を作る上での優先順位は? 以下の項目をそれぞれ100%のうちで割り振ってください
A キャラクターの性格 15
B プロット通りに進めること 10
C 自分が萌える/面白いと思うかどうか 40
D 第三者の評価 5
E 物語の整合性 30

Q22 書き終わった小説は、公開まである程度時間を設ける? 寝かせているあいだ、ブラッシュアップはどの程度行う?
校正まで終了した作品は、その日のうちに出してしまうことが多いです

Q23 小説を書いている最中は何を考えている? 無? 映像が浮かぶ? その映像は音付き? 漫画? 映画?
映画や漫画に近いものが浮かんでいます

Q24 一人称視点と三人称視点どっちで書く? どっちが好き・得意? それはなぜ?
三人称視点の物語は読みにくい・わかりにくいイメージがあるので、
一人称で書きます
一人称で書いているときは、あくまで「主人公」の五感で得た世界なので、神の視点にならないように執拗に気をつけています
そのこだわりだけ異常にあります

主人公の知能や立場などで
使用する言い回しや単語を変化させることもあります
例えば、それ不可の椿は「学生・小説をあまり読まない・ひねくれた性格」なので、人の行動を基本的には批判的な、彼の思考を邪魔するものとして描いています。彼は人の目を見て生き生きと話すタイプではないので、あまり周囲の外見描写もしません
棚岡銀匙の朝里は「社会人・小説オタク・一部の人間に対して特別な感情を抱く」という属性を持っているため、シーンによっては語彙力大発揮してありとあらゆる表現を惜しまず、彼自身がさほど興味を持っていないことに関してはあっさりと描くようにしています。味覚と嗅覚が制限されているので、視覚と聴覚が繊細に書けるのが楽しかったです
月下花間のガゼルは「周囲に興味がない、単純、あと常に角が重い」キャラクターなので、目の前のことはいつも気もそぞろです。ランプにぶつかってる虫などにはじっと注目していることがありますが、すれ違う人の顔や話をしている相手の機微などには無関心です。詳しい描写をしたことがありませんが、彼は真っ直ぐ姿勢を保ってるだけでえらいので、代わりに言動はのんびりしています

書いている本人にしかわからない程度の違いしかないと思いますが、そのあたりのかき分けはもっとわかりやすく効果的にできるようになりたいです


Q25 伏線や物語上で隠されていた設定やエピソードは必ずすべて作中で説明する? それともあえて明かさないこともある? それはなぜ?
すべて説明できて、わかりやすい文章が書けていたらこんなに悩みません
書いている本人は明かしているつもりでも、伝わっていないのでは……という思いでいつも書いています
実際、数年後に書きなおしたときに「このシーンはこういうことを言いたかったのに一ミリも書けてない」と笑うことが多いです。自分の文章は覚えているので余計に自分の至らなさを痛感します

ちなみに、Q24には作品の結末を含むため、敢えて伏せた説明があります。回収ができるのはおそらくかなりあとになりますが、本当に回収できるかどうかは自信がありません



時折、小説投稿サイトや創作界隈「かくあるべき」みたいな学級会を見かけますが、最近の流行りは私にとって不思議なものが多すぎて、正直全然自分と当てはまらないなあという視線で眺めてます(笑)
私の世代は「ケータイ小説」が主流だったのですが、当時も別にその文化に馴染めていたわけではありません。当時の流行りも不思議だなあと眺めていた記憶があります(笑)
どう足掻いても「流行り」には乗れないようなので、これからもマイペースに文章書きとしてやっていくしかありません

「なろう」系がテンプレ化していて、設定の作りこみが甘い云々の批判を見かけましたが、「ケータイ小説」もそんな感じだったなあと思い出しました
あの話が流行ってたからあの手の話がむちゃくちゃあって、書籍化されて大絶賛されてるものを読んでもまたこの展開か……ってやつ
すごく歳がバレるエピソードです。隠してないからいいんです
ちなみに、私が小説を書き始めたのはケータイ小説が流行る前です。こわい

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