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#小説読みます その2

こんにちは、架空書店「鹿書房」の店主・伍月鹿です。
映画「返校」を観ました。展開は知っているのにドキドキできるストーリーが本当にすごい。ドラマ版に夢中になってから2年も経っているということにも驚きます。

本日もツイッターハッシュタグ「#小説読みます」にて募集したインターネット上で読める創作作品の感想を書かせていただきます。
(順不同、短編~中編で募集したため、長編は途中までの感想となります。募集は現在締め切らせていただいております)


りんごちゃん様「せいぜい血反吐にまみれろよ、青春。」

https://ncode.syosetu.com/n3623hs/

「小説家になろう」にて公開中のわたしの大好きな青春ものです。
ツイッターアカウントはカンナ様、作品の作者名はりんごちゃん様の作品で、タイトルからわくわくする一作です。

本気になりたいけどなれない受験生が主人公の物語です。
教師に呼び出され、成績の「ヤバ」さを指摘される浅馬。
模試の成績は希望の大学へ順調な数値で焦りの見えない彼は、教師の指摘や友人たちとの温度差に冷えた思いをくすぶらせています。

水鉄砲で遊んだり、ふざけた会話をしたりと、そのときにしかできないエピソードがてんこもりで、読んでいるだけでにこにこしてしまうようなストーリーでした。
今回は一章を読ませていただきましたが、あらすじの「ありふれた青春の物語ではない。」というお言葉に、続きが気になる作品です。
ヒロインがどう主人公と関わっていくのかも楽しみです。

印象的だったのが、普段そうやって遊んでいる仲間が真剣に勉強をしている姿を見て自分自身の弱さを思い知るシーン。
「なにもないんです、俺」
と告白する主人公に
「確定した過去に揺さぶられるな。不定形の未来に囚われるな。」と語る教師がかっこいい。

成功体験っていうのは、何事に挑戦するのでも大事といいますね。
自分では頑張っているのにどうしても追いつけなくて失敗したり、うまく全力が出せなくて自分の虚しさばかり積み重ねたり、そもそも挑戦すらできなかったり。
学生時代は自分だけの力ではどうしようもないことも多くて失敗ばかりしてきたように思います。
過去を引きずってしまうのはしょうがなかったといまでは思うことはできますが、自分が学生の時はそこまで器用に割り切れなかったことを読みながら思い出しておりました。

続きもまた読ませていただきます。
カンナ様、いいねありがとうございました!


アンデッド様「木徳直人はミズチを殺す」

https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n9475eu

「小説家になろう」にて公開の長編です。
こちらも一章を読ませていただきました。

主人公の絶体絶命シーンから始まる作風は古き良きライトノベル色が強く、わたし個人としては懐かしさも感じる作品でした。
ラノベ全盛期、と言われるものが具体的にどこを指しているのかは諸説あると思いますが、学生の頃に読みあさった作品はいま考えても名作ばかりだったなあと思います。
「涼宮ハルヒ」のアニメがリアルタイムで放送されていた時代です。
完結していた「ユーリ」シリーズのラストに泣いたり、「ちーちゃんと悠久の向こう」の新刊が出るたびにまだ終わってなかったのと驚いたり、「馬鹿とテストと召喚獣」の面白さに魔法ものを書きたくなったり。
男の子はちょっぴりエッチで、女の子は萌え属性、という時代の作品に親しみがあるわたしにとっては、なんだかしっくりするシリーズに出会えて嬉しいです。

小説家を志す主人公と、突如彼の人生に入り込んできたヒロイン「ミズチ」
普通ではないミズチと関わることになった彼がどう変化していくのか楽しみになるようなストーリーです。

「具体的にスクールカーストを気にはしなかった。」
と語る主人公の、ひねくれた姿にきゅんとしてしまう気持ち、同世代の方ならわかってくださると思います。

彼は映画やアニメやドラマ、小説や漫画等、物語は好きだった。
音楽も好きだが、二次元や女優やアイドルに感情移入はしない。
切り替えて見ている。
遂には一つの考えにも到達していた。

人間は恋愛で、頭がやられるんだ――

木徳直人はミズチを殺す

この甘酸っぱさが堪らないと思った方には是非おすすめしたい作品です。

「優等生の黒川さん」が少女のように自分のことをミズチと名乗るのが可愛い。
主人公とタッグを組むことで敵に立ち向かう設定はまだ全部読み込めていないのですが、今後タイトルの意味がわかる展開があるのだと期待。
時間があるときにまた続きも読ませていただきます。

アンデッド様、いいねありがとうございました。



モロ平野様「③ORIKAMI」

「カクヨム」のプロットコンテスト参加作品の異世界ファンタジーです。

魔力によって人類が獣人と化した世界が舞台。
主人公は猫型獣人の少年・ロマン。
彼は「治癒師」として祖母のマイの手伝いをしています。
話のキーワードとして出てくる「トゥルーシーカー」「アトリビュート」「ムネモシュネ」などのワードと、「折り紙」という身近なものの対比が印象的。優しい印象の文章に、するりと世界観に入り込ませてくれるお話でした。
過去の話に入り込み、マイの旅路を辿る主人公が知る結末までプロットが公開されております。
折り紙という身近なものが世界の秘密と関わるアイディアが素敵。自分の価値観や目の前のものをひっくり返すような真実を知った主人公がどう成長するかも楽しみになっていく結末にどきどきしました。

異世界ファンタジーにある「国」の元となった世界はどこなのだろうと時折考えることがあります。
王がいて城があって、町や森があって、魔王がいるような世界。
ヨーロッパの成り立ちに近いようにも感じますし、昔からお決まりのゲームマップの影響が大きいのかなとも思います。
国を超えても言葉や文化は共通なのか、各国はどんな歴史を歩んできて、どのような暮らしを送っているのか。
実は細かいことを考えすぎて自分では納得のできる世界を作れないジャンルでもあります。

こちらの作品はプロットがメインですが、いつか本編も書かれることがあるのでしょうか。密に期待です。

モロ平野様、RTとリプライ、ありがとうございました。


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