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新作公開しました

こんにちは。架空書店「鹿書房」店主、伍月鹿です

先月からロマン・ロランの「ジャン・クリストフ」を読んでいました
いまは4巻を読み終えたところですが、クリストフの作品作りに関する感情やクリエイターとしての他人と分かち合えない一面などに非常に共感しています
特に作中でインスピレーションの悦びとして描かれていた描写や、発表した作品が世に馴染まない展開などは身に覚えがありすぎて、始終こころがざわざわとしておりました
名作だけど長くて読むのをためらっている、という作品は世の中にたくさんありますが、いまが一番若いのだから、どんどん読んでいかないとなーとも思います


本日は作品公開のおしらせです

絶縁状のような恋文

それはまるで、絶縁状のような手紙だった
年若き悩める女性と、中年の男性の近況と文学を交えて語らう書簡の記録
過去掲載作品を改題、加筆修正しました

pixiv、クロスフォリオ、内容は同じものです

少し前に掲載を中止していた過去の作品です
鹿書房らしくて気に入っていたものだったので、後日談を含めてひとつの作品としてリニューアルさせていただきました
表紙は装丁カフェ様です

顔や手紙に書かれている以上のことを知らない文通相手と、控えめながら内面や触れた書籍の話をして楽しむ女性の文章
またそれを読む「手紙の先生」の心境を想像しながらお楽しみいただけると嬉しいです


この先、結末に触れるお話です

最後に先生の妻が語るように、彼女は先生に恋心を抱いていたのでしょう。しかし、ふとした瞬間に先生が既婚で、歳も大きく離れた男性であることを知り、女性は逃げることを選びます
彼女が本当に逃げたかったのは先生からではなく、未熟で思い上がっていた自分自身からなのだと思っています
脈があるのかもしれない、と思っていた人に迷惑がられていた、という経験は私自身もあります。特に文章でやりとりをしていて気が付かなかった、ということは何度もあります
そのころの気まずさや恥ずかしさ、自分の止められなかった感情や行動を、康成先生の作品と重ね合わせたものでした

先生は下心も何もない、無数にいる文通相手の一人として彼女を扱い
彼女にとっては先生が唯一の心を開ける相手であったという対比
少し過激な作品を勧められただけで困惑し、恥ずかしがる世間の知らない女性の繰り返す卑下
作中にちりばめたモチーフは、参考にした作品があってこそのもので、自分が0から紡ぎだせるものではなかったといまでははっきりとわかります
その全体的なトレース感も含めて、もう二度と書けない話であると感じています


またpixiv上で、「それは不可能です、ナポレオン」番外編の表紙とあらすじの変更を加えております
古い二次創作でいまだに読んでくださる方が多い作品の表紙変更など、ちょこちょこと変更を加えています。初期の投稿作品は自分で撮影した写真を使っているのですが、多くの方のお目汚しをすることに耐えきれなくなりました……(笑)

「それは不可能です、ナポレオン」も次の章や全体の方向性が見えてきました
1章を書いた時点で伏線や流れ、展開はなんとなく決めてましたが、それを自分好みの形にする算段が付いてきてほっとしてます
自分の作品は何度でも修正していいルールで、改編を加えながらのゴールになると思います。完結しない可能性が自分の中から消えているのは、継続的に創作をする習慣をつけた賜物でしょう。もちろん、先に何があるのかはわかりませんが……

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