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風呂場の子供たち

豚児は二人。上が女、下が男である。
幼児の頃には、二人まとめて私が入浴させるのが常であった。
上の子がそろそろ小学校に上がる時分だったろうか、風呂場で、6・3・3・4年の学制を教え聞かせたことがあった。
中学までは誰でも必ず通わねばならない。でもその後は自分次第だよ。
下の子はすぐさま反応し、姉に「あすかちゃん、中学校で止めよう」と提案した。
しかし姉は「やだ、わたし高校にいく。だって偉くなりたいもの」と退けた。

フランソワーズ・アルディに「アン・ドゥ・トロワ・シャ」という曲がある。楽曲を聴かせ、歌詞をひらがなで書いて見せたら、二人とも興が乗ったらしい。フランス語で合唱する声が、時折風呂場に響いた。

「姉」はいわゆるリケジョの道に進み、大学院の学費もよろしくお願いします、などとメールを寄こす。
「弟」はかつて私がしくじった大学に籍を置いている。
二人がいつまで親の脛をかじり続けるつもりなのか、それは分からない。


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