君は僕の人生のご褒美かもしれない【台本】
風が冷たい
昼間はあんなに暖かかったのに今は上に一枚羽織らないと風邪でも引いてしまいそうだ
駅のホームで買った缶コーヒーは既に熱を失ってしまってひんやりと冷たかった
最近仕事が忙しくていつもこの時間だ
どこの家の電気も消えていて、間隔ごとにある街灯と深夜まで営業してる店の灯りだけがこの暗がりを照らしている
今日は曇りだったから月どころか星すら見えない
『疲れたな…』
小さな呟きは闇に掻き消された
暗い暗い道
重い体を引き摺り帰る
家の前に辿り着くと何故か上手く息が出来た気がした
重い扉を静かに開ける
すると
飛び込んで来る君
驚きながらも君を受け止めて尻餅をつく
まだ起きてたの、とか
いきなり飛び付いてきたら危ないじゃないか、とか
言いたいことは沢山あるのに目の前の君に安心して『ただいま』と言って抱きしめた
さっきまでの気持ちが嘘みたいに飛んでいく
ぽかぽかした温かな気持ち
ああ、君は僕の人生のご褒美かもしれない
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