見出し画像

気象予報士試験 法規 気象業務法以外のもの その1 水防法  Vol.15

本日は水防法です。気象業務法とととに最近改正されています。条文は執筆時点での最新のものを引用しています。

🟢水防法について

水防法に関する問題がまれに出題されます。水防法の目的は、第1条に定めらています。
第1条 この法律は、洪水、雨水出水、津波又は高潮に際し、水災を警戒し、防御し、及びこれによる被害を軽減し、もつて公共の安全を保持することを目的とする。

🟢水防法による「水防警報」
 水防法による警報は「警告して行う発表」という定義です。気象業務法による警報の定義とちょっと違いますね。

(定義)
第2条第1項 この法律において「雨水出水」とは、一時的に大量の降雨が生じた場合において下水道その他の排水施設に当該雨水を排除できないこと又は下水道その他の排水施設から河川その他の公共の水域若しくは海域に当該雨水を排除できないことによる出水をいう。
第2条第8項この法律において「水防警報」とは、洪水、津波又は高潮によって災害が発生するおそれがあるとき、水防を行う必要がある旨を警告して行う発表をいう。

🟢国の機関が行う洪水予報等 

(国の機関が行う洪水予報等)
第10条 気象庁長官は、気象等の状況により洪水、津波又は高潮のおそれがあると認められるときは、その状況を国土交通大臣及び関係都道府県知事に通知するとともに、必要に応じ放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(以下「報道機関」という。)の協力を求めて、これを一般に周知させなければならない
2 国土交通大臣は、二以上の都府県の区域にわたる河川その他の流域面積が大きい河川で洪水により国民経済上重大な損害を生ずるおそれがあるものとして指定した河川について、気象庁長官と共同して、洪水のおそれがあると認められるときは水位又は流量を、はん濫した後においては水位若しくは流量又ははん濫により浸水する区域及びその水深を示して当該河川の状況を関係都道府県知事に通知するとともに、必要に応じ報道機関の協力を求めて、これを一般に周知させなければならない
3 都道府県知事は、前二項の規定による通知を受けた場合においては、直ちに都道府県の水防計画で定める水防管理者及び量水標管理者(量水標等の管理者をいう。以下同じ。)に、その受けた通知に係る事項(量水標管理者にあつては、洪水又は高潮に係る事項に限る。)を通知しなければならない

🟢都道府県知事が行う洪水予報 予報です。警報ではありません。

(都道府県知事が行う洪水予報)
第11条 都道府県知事は、前条第二項の規定により国土交通大臣が指定した河川以外の流域面積が大きい河川で洪水により相当な損害を生ずるおそれがあるものとして指定した河川について、洪水のおそれがあると認められるときは、気象庁長官と共同して、その状況を水位又は流量を示して直ちに都道府県の水防計画で定める水防管理者及び量水標管理者に通知するとともに、必要に応じ報道機関の協力を求めて、これを一般に周知させなければならない。
2 都道府県知事は、前項の規定による指定をしようとするときは、気象庁長官に協議するものとする。

🟢水防警報 お待たせしました。

(水防警報)
第16条 国土交通大臣は、洪水、津波又は高潮により国民経済上重大な損害を生ずるおそれがあると認めて指定した河川、湖沼又は海岸について、都道府県知事は、国土交通大臣が指定した河川、湖沼又は海岸以外の河川、湖沼又は海岸で洪水、津波又は高潮により相当な損害を生ずるおそれがあると認めて指定したものについて、水防警報をしなければならない。
2 国土交通大臣は、前項の規定により水防警報をしたときは直ちにその警報事項を関係都道府県知事に通知しなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の規定により水防警報をしたとき、又は前項の規定により通知を受けたときは、都道府県の水防計画で定めるところにより、直ちにその警報事項又はその受けた通知に係る事項を関係水防管理者その他水防に関係のある機関に通知しなければならない。
4 国土交通大臣又は都道府県知事は、第一項の規定により河川、湖沼又は海岸を指定したときは、その旨を公示しなければならない。

🟢水防警報が発せられた時の措置

(水防団及び消防機関の出動)
第17条 水防管理者は水防警報が発せられたとき水位が警戒水位に達したときその他水防上必要があると認めるときは、都道府県の水防計画で定めるところにより、水防団及び消防機関を出動させ、又は出動の準備をさせなければならない。

国土交通省ウェブサイトから引用

過去問研究
平成26年度第1回(第42回)学科一般知識 問15
(1)高潮のため河川の水位が上昇して氾濫などの重大な災害のおそれがある場合は、高潮警報が発表される。⭕️
👉記述の通りです。
(2)気象庁以外の者は、高潮警報を発表してはならない。⭕️
👉記述の通りです。「津波警報」については一部例外があります。
(3)水防警報は、洪水・津波のほか、高潮によって災害が発生するおそれがあるときにも発表される。⭕️
👉水防法の目的に、洪水、雨水出水、津波又は高潮による災害への対応が規定されています。
(4)都道府県知事が高潮予報を行うには、気象庁長官の許可が必要である。⭕️
👉予報業務の許可の復習です。記述の通りです。気象業務法第17条には次の記述があります。予報は気象庁長官の許可が必要です。警報は一部の例外を除き禁止されています。
第17条 気象庁以外の者が気象、地象、津波、高潮、波浪又は洪水の予報の業務を行おうとする場合は、気象庁長官の許可を受けなければならない。

平成28年度第1回 学科一般知識 問15
太線部の正誤問題
(1)消防法の規定(略)

(2)洪水、津波又は高潮により国民経済上重大な損害または相当な損害を生ずるおそれがあるとして指定された河川、湖沼または海岸について、都道府県知事が水防警報をしなければならない。❌
👉「重大な損害」のおそれ・・・・国土交通大臣から
 「相当な損害」のおそれ・・・・都道府県知事から
よって、太字は国土交通大臣が抜けているので誤りということになります。
水防警報とは、所定の河川の一定の流域において、洪水や高潮による災害のおそれがあるとき、河川管理者として国土交通大臣または都道府県知事が、水防機関に対して行う警報。気象庁が発表する洪水警報などとは異なる。1955年の水防法の改正時に洪水予報とともに新設されたもの。水防法§16。

(3)災害対策基本法の規定(略)

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?