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専門科目 地上気象観測 Vol.1

地上気象観測です。気象予報士の勉強の第一歩といったところでしょうか。
気象業務法の勉強をしたときに、「観測」という定義があったことを覚えていらっしゃるでしょうか。
気象庁ウェブサイトによると、下図(気象庁ウェブサイトから)の通り全国各地に観測網があります。このほか、約1,300箇所のアメダスでもデータの収集を行っています。

気象庁ウェブサイトから引用

観測装置についての構造などが出題されています。
一般的な気象予報士の教科書と順番が大きく異なりますが、最終的には全項目について触れていきますので、しばらくご容赦を。

🟢風向・風速
 気象通報(NHKラジオ)で一番に通報があるものです。
 風向は01〜36(国際式)で示されます。「00」は風向が定まらない静穏な状態を指します。風向の数字に0をつけると吹いてくる方角を示しています。9ならば90度なので東の風、18ならば180度なので南の風ということになります。気象通報(NHKラジオ)では16方位で示されます。
 風速はm/sで観測されます。通報はノットに換算されます。気象通報(NHKラジオ)では気象庁の風速階級表の表示となります。
 観測は概ね地上高10mのところで、10分間の平均を観測します。最大瞬間風速は3秒間の平均(0.25秒間隔の12個データの平均)です。

🟢天気 15種類あります。
 国際式(96種類)と国内式(15種類)の2種類あります。気象予報士試験では国際式を覚えておく必要があります。
 気象通報(NHKラジオ)では国内式での通報となります。
15種類とは、快晴、晴れ、薄曇り、曇り、煙霧、砂じん嵐、地ふぶき、霧、霧雨、雨、みぞれ、雪、あられ、ひょう、雷 です。

🟢雲量 十種雲形で測ります。
 0〜10の整数で表示します。 214ページ

🟢気圧 単位はヘクトパスカル
 かつて、ミリバール(mb)という単位が使われていました。気象通報の時の各地の天気、漁業気象の高気圧、低気圧の中心値を示す単位でした。日本では1992年12月にヘクトパスカルに切り替えられています。ヘクトはギリシア語での「100」の意味。

海抜の大きいところ(山など)で観測した気圧は、地上天気図を作図する際には海面更正を行っています。
気圧の日変化として午前9時に最高気圧が、午後3時には最低気圧になるといわれています。気圧と頭痛の関係が最近報道されるようになってきました。
私の周りにも低気圧が接近してくると頭痛がするという人が昔からいました。単に雨が降るから気が滅入っているのだろうと思っていましたが、気圧との関係が原因とすればなかなか大変だなと。自分はまだその自覚がないので幸いですが、辛い症状の方もいらっしゃるようです。
 専門科目で学習しますが、台風の吸い上げ効果では、気圧が1hPa下がると海面が1cm上昇します。気圧の変化が身体に影響を及ぼしているのもわかる気がします。

🟢気温
 気温は地上高1.5mで測定することとなっています。積雪がある場合には雪面から1.5mの高さに調整するそうです。雪国の観測点ではいろいろな苦労がありますね。通風筒に入れた温度計と湿度計で測定します。通風筒は断熱材を入れた円筒で太陽日射の影響を防止しています。
 通常、日最高気温は午後2時頃、日最低気温は日の出頃に観測されます(⇦出題例あり)

🟢露点温度、湿度
 気温と同様に観測します。飽和蒸気圧の関係から、一般的には最大湿度は最低気温の頃に、また最小湿度は最高気温の頃となります。

🔵降水量 mm/h
 地上に一定の時間内に降り注いだ雨の量をmmで計測します。0.5ミリ単位で、転倒ます型雨量計で測定します。0.5mmに至らない場合には「0.0」で表示し、降水がない場合には「ー」で表示します。

🔵降雪量・積雪量
降雪量は地上に一定の時間内に降り積もった雪の量でcmで計測します。
 積雪量は積算された雪の量でcmで計測します。
 降雪量・積雪量ともに1cmに至らない場合は0cmと表示します。
 積雪深は雪尺か超音波式積雪計を使用します。超音波式積雪計を使用する場合には気温によって超音波の伝搬速度が変動するので補正します。

🔵日射
直達日射量を直達電気式日射計で測定します。日射量が1平方メートルあたり120W以上であるときの時間を日照時間として表示します。

🟠アメダス AMeDAS Automated Meteorological Data Acquisiton System
   地球気象観測システム 
 冒頭記述した通り全国約1300箇所に設置されており10分間隔で観測データを取得しています。1974年11月1日から運用を開始しています。
 降水量を観測する観測所は全国に約1300箇所あります。
 また、このうち、約840箇所では降水量加えて、風向・風速、気温、湿度(四要素)も
観測しているほか、雪の多い地方の約330箇所では積雪の深さも観測しています。
 ・気温  0.1℃(摂氏)単位で表示。
 ・降水量 0.5mm単位で表示。雪やあられは水に溶かして観測。
 ・風向  観測前10分間平均。16方位で表示。
 ・風速  0.1m/sで表示。観測前10分間の平均。
 ・日照時間 0.1時間単位で表示。
 ・積雪深 1cm単位で表示。X時間前に積雪の深さの差を「前X時間降雪量」と表示。
 ・湿度  1%単位で表示。

気象庁ウェブサイトから引用



🟠ライデンLIDEN 雷監視システム LIghtning DEtection Network system
雷によって発生する電磁波(LF帯)を受信して雷発生位置を把握するシステム。全国30箇所(空港)に設置。
 ライデンで処理したデータはナウキャストにおいて閲覧が可能。
 稚内、女満別、釧路、新千歳、奥尻
 青森、花巻、秋田、福島
 新潟、松本、富山
 成田国際、東京国際、大島
 中部国際
 南紀白浜
 鳥取、山口宇部
 高松、高知
 壱岐、宮崎、種子島、奄美
 久米島、那覇、南大東、宮古、与那国

🔵空港気象ドップラーライダー 学科試験で出題されました。
積乱雲などから発生したダウンバーストやシアラインを検出する装置。
 設置されている空港は次の通り。
 成田国際、東京国際、関西国際 の3つ。
 空港気象ドップラーライダーは、レーザー光を大気中に発射してエーロゾルの動きをとらえた散乱光を探知します。降水粒子よりも小さいエーロゾルの動きを捉えることが可能であり、降水がない場合でも上空の風を観測することが可能となっています。


本日は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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