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無意識な思い込み[Footwork&Network vol.27]

 私は4月14日に、れもんハウスに行った。れもんハウスは、一般社団法人青草の原が運営している、新宿区にある一軒家である。れもんハウスでは、子供のショートステイの受け入れ先に登録されており、子供が泊まりに来たり、ご飯会や対話の会などのイベントが開かれたりしている。私がこの場所に行ったのは、林実香さんに出会い、紹介されたのがきっかけである。
14日の夕方ごろは、ショートステイの子供がいたり、何かイベントが開催されていたりするわけでもなく、リビングに5.6人ほどの大人が、それぞれ作業をしているような、落ち着いている空間だった。この日に新しく出会ったのが、りんさんである。りんさんは、男性でもなく、女性でもない、真ん中の性別である中性を選択している方である。
そしてあいまいUIという、自分が持つ気持ちや考えをパーセンテージで表したり、色で表したりすることで、言語化せずに表現できるツールを作った方でもある。私は、少しドキドキしながらも、あいまいUI を実際に動かしながら、実香さんとりんさんを含めた5人で話はじめた。

 りんさんの話で一番印象的だったのは、性別選択の話である。アンケートなどを答えるときに、性別を聞かれる。そしてその聞き方は、ほとんどのアンケートの選択肢が女性、男性、その他の3つである。「女性でも男性でもなく、その他に当てはまる。でも、その他と言われると、別の物として扱われているみたい。みんなとは切り離された感覚になる。」と、りんさんに言われた。私は、普段何気なく性別を選び、その他という選択肢について気にしたことはなかった。それに前は、性別は当たり前のように男女の2つに分けられていたから、“その他”という選択肢ができたことは、配慮の1つなのだろうなと思ってしまっていた。
また、「100%女性、100%男性と答えられる人が、どれだけいるのだろう。みんなが100%女性、男性と答えられるわけではないのに、どうして自分たちだけが別もののような扱いをされてしまうのか。」とりんさんは言った。この問を聞いて、私は女性ではあるが、自分の男女の比をパーセントで表せと言われたら、100%女性と答えられるかはわからないと思った。そして、実際にあいまいUIを使って「あなたの性別は?」という問いにパーセントで男女を表してみたときも、私は100%女性だと答えていなかった。なぜ自分が100%女性と答えられなかったのか、正直理由はわからない。しかし、自分が100%で性別を答えられず、性別に偏りがあるだけの状態なのに、りんさんを自分と切り離して捉えたくはないと思った。

 りんさんの2つの言葉から、私は今まで女性でも男性でもない方を、無意識に自分とは別世界の存在として捉えてしまっていたことに気が付いた。りんさん出会う前までは、自分にとって性別は女性と男性の二択が当たり前になっており、女性、男性、その他という選択肢があっても、“その他”についてはほとんど気にしたことがなかった。そして、自分とは関係のない話であると思っていたことに気づいた。私は、もう自分と切り離して捉えるようなことはしたくない。人と出会うことで得た気づきを、自分の中で言語化し、時には共有することで、自分事として捉えていきたい。
りんさんと出会い、話したことで、私は自分が持ってしまっていた当たり前や、無意識的な偏見に気づくことができた。人と実際に話してみることで、得ることができる気づきがたくさんある。自分の凝り固まった当たり前を少しずつ崩していくために、様々な人に会うことを続けていきたい。そして、自分が持つ当たり前や偏見を少しずつなくしていきたいと思う。

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