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“龍神様の住むところ” 金沢で金澤神社と石浦神社を訪ねる【石川】

令和6年の干支は『辰』。
全国各地に辰=龍にゆかりのある場所はたくさんあり、絶景が多いと何かの雑誌で読んだ。
絶景のそばにはきっと温泉もあるはずだ。
そんなことを考えながら今年の旅のテーマは龍にしようと決めた。

そんな年末のある日、JRウエストのサイコロ切符で金沢の目が。
金沢は古都、きっと龍にゆかりのある場所もたくさんあるに違いない。
ワクワクしながら、特急サンダーバードを予約した。


兼六園の龍石


前の日に雪が降ったせいで、冬の朝の空気は澄んで気持ちがよかった。
金沢駅から兼六園までバスで10分ほど。
桜が丘口の向かいは金沢城があり、美しいなまこ壁を見ることが出来る。

地震の被害があったのでこの日は閉城中
桜の季節にまた来よう

雪の季節の兼六園はとても美しい。
雪の重みから守るために雪吊りが施された木々を見ることが出来るのも
冬ならではの風景。

寒い日の青空ってどうしてこんなにきれいなんだろう

霞が池の前を通り

13代藩主斉泰(なりやす)公が滋賀県から種子を取り寄せて育てたという黒松の唐崎松の見事な枝ぶりに見とれつつ

向かったのは、梅林のそばにある龍石。

椿の木の周りにとぐろを巻くように伏せる龍の形の石。
椿はその名も『龍石の椿』という品種名で、薄い紅の花びらに雪を散らしたような白い斑点が特徴の美しい花を咲かせる。

口を開けた龍の顔が見えますか?

千年に一度現れる白蛇様を祀る金澤神社

龍石のそばの随身坂口から出てすぐのところに目指す金澤神社がある。

金澤神社は前田家の祖先である菅原道真公を祀る神社として創建された。
その後、災難除けの神・商売繁盛の神・交通安全を合わせ祀るようになった。
災難除けの神様は雌雄の一対の白い蛇神様である。かつては雌のへび神様は金沢城中にて奥方様が代々大切にお祀りされてきたのだけれど、昭和21年に金澤神社に移され、一緒にお祀りされることになったのだという。
白蛇様は治水事業の神様としてもあがめられ、多くの土木関係の人たちも安全祈願に訪れるのだとか。

神々しい門
道真公にあやかり、合格祈願の絵馬もたくさんかけられていた。みんな合格するといいね
だから、ちゃんと撫牛もいるよ
白蛇様は千年に一度現れ、災厄を払ってくださるのだそうな
白蛇様の灯篭、カッコいい

社務所の前におみくじがあったのでひいて帰ることにした。
数種類の中から選んだのは水みくじ。
水に浸して占うタイプ。
専用の霊水に浸すと文字が浮かび上がってくる。
社務所の窓は閉まっていて誰もいない。
おつりは出しっぱなしの自己申告制。
人の心を信じて疑わないこのシステム、信用してくださってありがとう、絶対悪いことはしませんって言いたくなる感じに心がじわっと暖かくなる。

おみくじ20円。ありがた安価。


おつりは自己申告制。こういう古き良き日本の感じ、ずっと残っていてほしい。
大吉。『休息の健康管理のうちのひとつ』肝に銘じます。

金沢の名の由来 金城霊澤

おみくじの霊水のわきに赤い鳥居が重なっている。
歴代の藩主が吉事のあるたびに奉納したというおめでたい鳥居。

鳥居を潜り抜けると、こんこんとわく泉が現れる。

昔、藤五郎という名の男がこの泉で芋を洗ったら砂金がたくさん出てきたという伝説があり、それが金沢の地名の由来ですよという事らしい。

立札、砂金を洗ったって書いてあるからちょっと違うけど。

ともあれ、この泉が金沢の地名の由来の地。
今では金運のパワースポット。

暗い地の底からこんこんと湧き出る神聖な泉。

金沢最古の宮 石浦神社

金城霊澤でたまった煩悩が浄化されたような気がして気分も軽くなったので、もう一社龍神様を訪ねることにする。
随身口から再び兼六園に入って、時雨亭の横を通って真弓坂口へ向かう。

ちなみに、時雨亭は兼六園の元となった建物で、この建物を中心として兼六園の造園がはじめられた。
元の場所は日本最古の噴水の前。現在の建物は平成12年に再建されたもので茶屋となってる。

日本一古い噴水。兼六園の豪華さに前田藩がいかにリッチであったかを思い知る
時雨亭の横には小さな滝を持つ瓢箪型の池があり、白い鳥がゆっくり散歩中。

真弓坂口を出ると、そのあたりは金沢屈指の観光スポット。
兼六園はたくさん入り口があり、再入場可能だから歩いて観光する人にとってはとても便利。
金澤美術館のある大きい交差点を曲がると石浦神社がある。石浦神社の鳥居の横に三輪神社と書かれた柱があるのは、もともとこの神社が三輪神社という名前だったかららしい。

鳥居をくぐると、龍木。
見事にとぐろを巻いた龍の形。
こんなのが夜流れてきたら怖くて逃げるかもしれない。

そのまま左へ進むと2本の鳥居の小道が現れる。

どっちを進もうか迷うけれど、左から入って突き当りまで行って、右から出来ることにする。
右は『衣真の道』赤い鳥居が続く。

左は神部の道。
縁結びの絵馬がたくさんかけられていて、最近は映えスポットとして女の子たちに人気なのだとか。

鳥居に気を取られるけれど、この神社には珍しい逆立ちをした狛犬もいるので見逃さないようにしないと。

やんちゃな犬っぽくて、ちょっとかわいい

石浦神社の周りは金沢屈指の観光スポットで周りには徒歩で行ける場所に見どころがたくさんあるのだけれど、それはまた、別の機会にご紹介しよう。

赤煉瓦の石川四高記念文化会館は地震のため閉館中

空に浮かぶ鼓門と絶品おでん

そろそろ日も暮れてきた。
北陸の冬は寒い。
駅に戻って、一杯呑もう。

金沢駅の門は、いつ見ても圧巻。
その名を鼓門(つづみもん)という。能楽で使われる鼓をイメージして作られたという。
毎晩ライトアップされるので通過点だけでない駅を見るのも一興。

冷えた体を温めるのは名物の金沢おでん。
いつも行列が出来ている駅中の黒百合も、この日は比較的スムーズに席に着くことが出来た。

駅中にあるので新幹線の乗車前に一杯というサラリーマンもちらほら。

まずは、ネギのヌタ。おでんはだいこん、車ふ、梅貝から。
お酒は限定流通の地酒 裏萬歳楽。超辛口でおでんに良く合う。

レンコン、蕗と続いて、最後はフグの糠漬けでちびり、ちびりとやりながら金沢の一日は終わりを迎えた。

フグの糠漬けは能登の郷土料理。これが日本酒と良く合う。

あの時を超えて

元旦、ひどい地震が起きた。
ニュースで流れてくる光景は目を伺いたくなるようなものばかり。
年末から楽しみにしていた金沢1泊旅。
こんな時に旅行に行って邪魔にならないんだろうか。。。。

ネットでは、地震の被害の少なかった金沢で旅館やホテルのキャンセルが相次ぎ大きな損害が出ていると報道していた。
迷う私に、キャンセルしないで旅費を全額支払って現地には行くべきでないなどとアドバイスする人もいた。

それもどうだろう。。。

それぞれの立場でそれぞれの思いが交錯する。
それぞれの人生が交錯する。

とりあえずは、ホテルに問い合わせ、来てくださいと言ってくださったフロントマンの声に電話口で不覚にも涙が出そうになった。

みんな、それぞれの立場で踏ん張ってるんだ。

訪ねてみた金沢の街は、ところどころに地震の影響はあったけれど、それほど被害はないように見えた。

あの忌まわしい時間を越えて、人々は、きっときっと立ち上がる。

残念ながら派手なことは出来ない。
その力はないし。
小さいけど、私に出来る事って何だろうと街を歩きながら考えたけど、正解はまだわからない。


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