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自動車のペダル踏み間違いと酸素欠乏症の恐ろしさ

昼過ぎにインターホンが鳴った。

モニターを見ると隣人が立っていた。モーニャン(妻)がそれを確認して、玄関に向かう。そして、ナビが後をついていく。

ちなみに、ナビはつい最近までインターホンがなると、まずは吠えまくり、私たちが部屋を出ていくと、我先にと私たちを押しのけて玄関まで走って行った。

しかしここのところ、おとなしく出て行く。寄る年波には勝てないということだろう。なんとなく、そんなところも悲しくなってしまう。

しばらくするとモーニャン(妻)がビニール袋を持って帰ってきた。中には2本のゴーヤが入っていた。ここで、夕食のメニューが「ゴーヤチャプルー」に決まった。

冷蔵庫を見てみると豆腐はちょうど一丁ある、卵もある、しかし豚肉がない。

夕方の散歩の時だと、帰って作るのが面倒なので、近所のA-COOP(農協系スーパー)に豚肉を買いに行き、散歩の前に作ってしまうことにした。

こちらのスーパーへはご近所の高齢の方々がたくさん買い物に来ており、駐車場では注意しないといけない。駐車場に入って車を走らせていると、右側の駐車スペースに車をとめようとしている高齢者マークの車が後退してきた。

その駐車スペースには車止めがないので、そのまま後退してくると私が走っているルートに入ってきてしまう。車を止めて待っていると少しして、ちゃんと停車してくれたので、安心して車を出した。

その後にふと、高齢者に多いペダルの踏み間違いのことを思い出した。高齢者が運転する車が暴走して歩道に乗り上げて、歩道を歩いている歩行者をはねたというニュースをよく耳にする。

このような事故の原因はほとんどがペダルの踏み間違いによるものである。では、なぜペダルを踏み間違えると「暴走」するのか、その理由は、本人がブレーキを踏んでいるつもりでアクセルを踏んでいることにある。

本人はブレーキを踏んでいるつもりなので、止まらない車を止めるためにさらに強くブレーキだと思っているアクセルを踏み込んでしまう。その結果、車は暴走する。

事故を起こした後の事情聴取で「車がいきなり暴走した」という発言があるのはこのためだ。

そもそも高齢者がペダルを踏み間違える理由は、運動能力の問題などいろいろあるが、一度踏み間違えてしまうと非常に危険な状態になってしまうことはまちがいない。

運転に不慣れな若年者も踏み間違いによる事故を起こしているが、「暴走」したケースは少ない。運動能力に問題がない場合は、たとえ踏み間違えてもすぐにリカバリーできるのかもしれない。

ちなみにこのペダルの踏み間違いによる「暴走」現象は、酸素欠乏症に至る過程によく似ている。

安全教育では、一呼吸で死んでしまう危険があるのは、酸素欠乏症か、あるいは一酸化炭素中毒かという質問をされることがある。酸素欠乏症は水中で息を止めている時のことを考えると少々酸素が不足しても大丈夫だと思ってしまう。

ところが、一呼吸で死んでしまう危険があるのは酸素欠乏症なのである。

それは、酸素濃度が低い空気を吸い込むと、脳はもっと酸素を体内に取り入れるために、もっと空気を吸うように体に指令を出す。そして体はこれに従い、さらに深く空気を吸い込み、さらに酸素欠乏状態になる、これを繰り返してあっという間に酸素濃度が致死量になってしまう、というわけだ。

私の前職でも他社のローリーの運転手がタンクの中の様子を見るために酸素濃度が非常ににくいタンク内をのぞいた瞬間に気を失ってタンク内に落下して死亡したという事故が発生した。

車のペダルの踏み間違いは無意識に状態を急激に悪化させるという点でよく似ている。

先日も書いたが、高齢者の域に足を突っ込んでしまった今、維持費のこともさることながら、自分では意識していない運動能力の低下に伴う事故を避けるために、車を手放すだけではなく、免許を返納する時期を考えないといけないと改めて考えてしまった。

さて、それでは夕食のゴーヤ・チャンプルーを作るとしよう。

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