漫画アリスにお願い 岩館真理子
kindleで漫画本を検索していたら、懐かしい漫画が目に止まりました。
岩館真理子さんの「アリスにお願い」です。
たしか高校生の時、友人の家に遊びに行ったら岩館真理子さんの漫画があって、何点か借りて読んでみたんですね。で、その独特な世界観に一気に引き込まれたことを思い出しました。
そんで思わず、kindleの電子書籍をポチッとしてしまいました……。
岩館真理子さんの作品は「大人の少女漫画」と言われていますが、本当にその通りだと思います。
kindleで「アリスにお願い」と「わたしが人魚になった日」(短編集です)を購入したのですが、ひとつとしてハッピーエンドの結末はありませんでした。悲しくて不思議な物語ばっかりなんです。しょ、少女漫画なのに……。
独特の幻想的な世界観の中で、女性の悲しさ、刹那さがとても繊細に書かれています。
とても古い作品ですが、色褪せないですねぇ。
「アリスにお願い」は、ある「罪」を共有した二人の高校生、美奈子とアリスの物語です。二人にとってのバツは、誰にも言えない二人だけの秘密を大人になってもずっと共有することだとアリスは言います。
ですが結末としては、アリスの自死によりその「秘密」は永遠に鍵がかけられたのです。
物語が終盤に近づくにつれて、美奈子の人間臭さが目立ってくるのですが、アリスに関しては、最後までミステリアスな女の子として描かれています。全ての「秘密」を背負って自死したアリスがなぜその道を選んだのか、謎のまま物語は終わります。
その秘密を罪悪感に苛まれながら胸に抱え込んで、墓まで持っていく。その気の遠くなるような年月こそが美奈子の「バツ」なのかなぁ。恐ろしいな。
二人の秘密とはなんなのか、罪とはなんなのか。そして二人にとっての罰とはなんなのか。考えされられる作品です。
良ければぜひ読んでみてくださいね。
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