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親の考え方ひとつで頭が良い子は育つ

今回、編集者として目を引いた一冊が「子どもの頭がグンと良くなる!国語の力」です。この本は、何よりも現代の子どもたちが教育の点で狭間の時代に生まれ、それがもたらす諸々の困難に真剣に向き合っています。過去においては、勉強することが生活の中でほぼ疑問の余地なく受け入れられていました。子どもたちと親たちは、一生懸命に勉強すれば、良い大学に進学でき、その道を歩めば人生が一定程度、安泰であると信じて疑わなかったのです。

時代の流れは、受験競争が熾烈なものになっていますが、その中で勝ち抜いた者は、学歴社会である程度の成功と安定が約束されたことも事実です。しかし、現在では偏差値の高い大学を卒業したからといって、必ずしも人生が成功するとは限らないというリアリティが浮かび上がってきました。最近の就活の現場でも、高学歴がもたらす影響はそれほど大きくないと感じられています。

この本は、そんな時代背景を踏まえ、子どもたちが真に必要とする「国語の力」に焦点を当てています。今や、単なる学歴よりも「考える力」「表現する力」が求められる時代になっており、この本はそのようなスキルを育む上で非常に有用な一冊と言えるでしょう。というわけで、親子共に考慮すべき課題に対する具体的な解決策を提供しているこの本を、是非多くの方に手に取っていただきたいと思います。

実際には、東京大学などの名門大学を卒業したからと言って、社会で成功する保証はないのです。それどころか、東大卒でも社会で役に立たない人間は決して少なくありません。一方で、高卒や専門学校卒でありながら、社会で大いに役立ち、尊敬されている人物も多くいます。この事実は、過去の「詰め込み学習」や「模試至上主義」が、現代社会での価値を大いに失っているという明確な証拠と言えるでしょう。

子どもたち自身も、この詰め込み学習が現実世界でほとんど価値を持たないことをうすうす感じています。そして、それは何も彼らの感覚が間違っているわけではありません。今や、多くの情報はスマホやパソコンで瞬時に検索でき、細かい知識を頭に詰め込む必要性は急速に減少しています。計算能力についても、高度な計算をコンピュータが瞬時に行える時代ですし、漢字の知識に至っては、ワープロやスマートフォンが自動変換してくれます。

このようなテクノロジーの進展と社会の変化に伴い、今求められるのは「情報を効率的に処理できる能力」や「独自の思考で問題を解決できるスキル」です。これらのスキルは、単なる詰め込み学習では身につかないもの。子どもたちはこれからの社会で生き抜くためには、どうしたらいいのか、新たな教育の形を求めているのです。

これが今の子どもたち、そして私たち大人が直面している教育の現実です。この重要な問題に対して、新しい解決策や教育の形を模索することが急募となっています。それが、本当の教育改革であり、未来の日本を形作る第一歩でしょう。

確かに、2020年から大学入試制度が大きく変わったことで、今の学生たちは新たな挑戦と課題に直面しています。この変革は、単にセンター試験の廃止や推薦・AO入試の名称変更といった表面的なものに留まらず、選抜方法や実施時期に至るまで影響を及ぼしています。これは、従来の「詰め込み学習」の時代が終わり、より多様なスキルと視点が評価される新しい時代が到来した証拠です。

この大きな変化が意味するのは、旧来の学習方法だけでは通用しなくなるということです。言い換えれば、これからの大学入試では、従来学習してこなかった新たな能力が求められるわけです。それが、クリティカルシンキング、プロブレムソルビング、コミュニケーション能力など、21世紀の社会で求められるスキルです。

このような過渡期に生まれた現在の学生たちは、何を目的に、どういったスキルを磨いて勉強すればよいのか、明確な指針がない状態です。それがもたらすのは、ただ途方に暮れるしかないという事態。この問題は単なる学生個々の問題ではなく、教育制度全体としての課題とも言えます。

だからこそ、この狭間の時代に生まれた学生たちには、新しい教育の形や価値観に柔軟に対応する力が求められます。そして、そのためには教育者、親、そして社会全体が一丸となって、子どもたちに何が本当に必要なのか、どのように彼らをサポートすればよいのかを考える必要があります。この課題を解決することが、次世代を担う若者たちが真に社会で活躍できる土壌を作る第一歩となるでしょう。

この時代の変化を察知して、本書は今後何が求められるのか、その答えを「国語力」に見いだしています。そしてその国語力とは、一般に考えられるような文学鑑賞能力や感受性の高さだけではありません。論理的に読む、考える、話す、そして書く力—これらが真の国語力であり、今の若者たちが身につけるべき核となるスキルです。

まず理解すべきは、勉強が単なる試験合格の手段でないということ。偏差値を高くして何をするのか、他人と競って何を証明するのか。そのような短期的な視点では、今の複雑な世界に対応する能力は育まれません。

今は答えのない、不確かな時代です。先人たちが経験していない問題、まだ解明されていない疑問に、自分自身で答えを見つけ出さなければならない時代がすでに始まっています。そのような状況下で、求められるのは何か。それは、文献を解釈し、自分の考えをしっかりと構築できる「論理的な思考力」です。

この力があれば、新しい事態や未知の問題に対しても、情報を整理し、自分なりの解決策を見つけられます。だからこそ、国語力は今後ますます重要性を増すでしょう。それは単なる学問の一環としての国語ではなく、未来を生き抜く力、未来を創造する力としての国語です。

未来は不確かであり続けるでしょうが、その不確かな未来を自分の力で切り開く手段として、国語力がどれだけ重要かを認識する時が来ています。この新しい教育法を真剣に考慮し、次世代にこれから何が必要なのかを考える必要があると、本書は力説しています。

加えて、我々が生きているこの時代はグローバル化の時代です。多様なバックグラウンドを持つ人々が交流するこの新しい社会で、多様性を尊重する姿勢が不可欠です。言い換えれば、多様性の中で共存する力が求められています。そして、その力の根底には、「論理力」が必要です。

特に重要なのは、世界中から集まった人々とコミュニケーションを取る際、一般に思われがちなような「英語力」以上に重要なのが、その「論理力」です。民族、宗教、文化、歴史—いずれも違う人たちと共存するには、自分の考えをしっかりと構築し、相手に理解してもらえるよう表現する力が不可欠です。

なぜなら、英語が共通の言語であっても、その背後にある論理や価値観は必ずしも共有されていない可能性があるからです。言葉を超えて心を通わせるためには、独自の視点を持ち、それを論理的に伝えられる力が必要です。

このような社会環境下で、子どもたちが将来生き抜くためには、論理的に考え、人々と効果的にコミュニケーションする力が絶対に必要です。これが、単に学校での成績を上げるためだけではなく、多文化、多価値観の世界で成功するための基盤となるのです。

この点を踏まえ、次世代教育の焦点は、単に教科書の知識を詰め込むのではなく、論理的な思考力を培うことにシフトしていくべきです。そしてそのための手段として、国語力の強化は避けて通れない道と言えるでしょう。この理念は、単なる国内の教育改革だけでなく、グローバルな視点からも極めて重要なものと言えます。

しかしながら、現実を見てみると、多くの学校や塾は未だに旧態依然とした詰め込み教育に固執しています。この状況は、なかなか揺るがない「学歴信仰」が根底に流れているからだと思われます。この残念な状況の中で、子どもたちは「合格」「努力」といったキーワードに縛られ、勉強の意義を問わずにただひたすらに問題集に目を通しています。

実際、そのような環境で育った子どもたちは、後々、社会に出て自分のスキルが評価されないという現実に打ちのめされるでしょう。つまり、積み重ねたはずの知識やスキルが、実生活で全くと言っていいほど役立たないと気づかされる瞬間がやってくるのです。そしてその時、多くの人は、「なぜ、こんなに一生懸命に学んだのに、世の中で成功できないのか?」という疑問に直面します。

この時点でようやく、多くの人が詰め込み教育の限界に気づく—しかも、それは一度失った時間を取り戻すのが難しい年齢であることが多いのです。それでも、それが現実です。したがって、我々ができることは、この古い教育システムを根本から改革すること。そして子どもたちに、ただ単に暗記するのではなく、批判的に考え、多角的に問題を解決する力を身につけさせる教育環境を提供することが急募されています。

詰め込み教育がもたらすマイナスの影響を真剣に考えるならば、それはもはや過去の遺物であり、新しい世代には合わない教育方法であるということが明白です。現代の教育が子どもたちに何を求め、何を与えるべきかを深く考える時が来ています。そしてその答えは明らかで、それは「詰め込み」ではなく、「論理的思考力」を高める教育です。

結局のところ、受験のステージがどんどんと高度化し、多様化する中で、古典的な教育方法では子どもたちを十分にサポートすることができなくなってきています。このような状況の中で、子どもたちの未来を守り、指導できるのは、結局、親の責任と力にかかっています。

特に小学生レベルでは、子どもたちはまだ自分で勉強法を選ぶ能力が十分に備わっていないため、親がその進路を大いに影響させることになります。このことは、親にとって重大な責任を意味しています。親が子供にどのような教育環境を提供するかが、その子の未来を大きく左右するのです。

私自身も親として、この本を通じて、多くの子どもたちが「国語力」という非常に強力な武器を手にすることができるように切に願っています。この国語力は単なる文字や文法を理解する能力以上のものであり、論理的に物事を考え、理解し、表現する力をも含んでいます。この力こそが、未来の不確実性に立ち向かい、自らの人生を主導するために非常に重要なのです。

最後に、この舞台裏と挑戦について更に考える機会があれば、幸甚に存じます。そしてその際には、多くの子どもたちがこの新しい時代に適応する力を身につけていることを確認できることを心より願っています。

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