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鉄コーティング播種時期ならびに播種時の圃場条件と方法

前回は、「鉄コーティングは鳥害がヤバいって聞くけどマジなの?」と題して、種子を直播した場合における鳥害の実態と対策について説明させていただきました。


今回はそれを踏まえて鉄コーティングした種子をいつ播くのか、その時期について解説していきたいと思います。


播種時期

直播種子の場合、移植栽培に比べて播種時期の気温に対する要件は緩くなります。一般的に、直播種子は低温に対して耐性を持っており、平均気温が約12.5℃以上であれば播種が可能です。

この特性により、直播種子を使用することで補植作業を省くことができます。また、育苗箱を使用しないため、作業の省力化にもつながります。さらに、直播種子の播種期間は移植栽培に比べて長くなるため、管理面積を効果的に活用することができます。

直播種子のメリットは、作業の簡略化と効率化にあります。移植作業や育苗箱の準備が不要であるため、労力や時間の節約が可能です。また、播種時期の幅が広がることで、より柔軟な計画立案ができるという利点もあります。

以上のような特性を持つ直播種子は、管理面積を増やすことや作業時期の拡大に寄与するメリットがあります。効率的かつ効果的な農業経営を目指す上で、直播種子の活用は重要な要素となります。

新潟以北の場合

新潟以北の地域、特に東北地方では、移植前に直播種子を使用することが適しています。東北地方の場合、登熟限界温度として「出穂後40日間の平均気温20℃または最低気温10℃」が考慮されます。

この条件を踏まえると、移植前に直播種子を播種することが適切です。直播種子は低温に対して耐性があり、播種時期の気温要件も比較的緩いため、この地域では直播種子の活用が有効です。

移植栽培に比べて直播種子を使用することで、作業の省力化や効率化が図れます。また、播種時期の幅が広がることで、移植栽培に比べてより柔軟な計画立案が可能になります。

東北地方における直播種子の利点を最大限に活かすためには、登熟限界温度や気象条件を考慮しながら、適切な時期に播種を行うことが重要です。地域の特性に合わせた栽培方法を選択することで、より効果的な農業経営が実現できるでしょう。

新潟以南の場合

新潟以南の地域、特に西南暖地では、移植前後のいずれのタイミングでも直播種子の播種が適しています。しかし、特に麦後の播種を行う場合には、できるだけ早めに播種することをおすすめします。

西南暖地では気温が高くなる傾向があり、作物の成長が早いため、早期に播種することで収穫時期を調整することができます。また、早い時期に播種することで作物の発育が促進され、収量や品質の向上が期待できます。

ただし、気候条件や地域の特性によって最適な時期は異なる場合がありますので、地元の農業専門機関や農業組合の指導を受けることをおすすめします。それにより、地域に適した直播種子の播種時期を選択し、効果的な農業経営を実現することができます。

早播きの場合

地域の気温が10℃以下の早播きの場合、出発芽日数が長くなる可能性がありますので、適切な時期を確認して播種日を決めることが重要です。気温だけでなく、地温も考慮することが推奨されます。

地温は気温の変動に比べて変化が緩慢であり、種子の発芽や生育に直接的な影響を与えるため、地温の測定も重要です。地温計を使用して地温を正確に測定し、種子の発芽に最適な条件を把握することで、より効果的な早播きが可能となります。

また、地域ごとに気候や土壌の特性が異なるため、地元の農業専門機関や農業組合の情報を参考にすることも重要です。彼らは地域の気候と農作物の特性に精通しており、適切な早播きの時期や地温についてアドバイスを提供してくれます。

以上の点に留意しながら、適切な気温と地温の条件を確認し、早播きの日程を計画してください。これにより、種子の発芽率と生育の良好なスタートを確保し、収穫への道をスムーズに進めることができます。

土壌水分の減少に注意!

鉄コーティングした種子を播種する際には、以下のポイントに注意しましょう。

  1. 圃場の土壌水分管理: 土壌水分が減少した場合は入水し、種籾の給水を確保します。土壌表面が乾燥し、ヒビが入らないように、常に落水状態の土壌水分を100%に保ちましょう。見た目で判断することができます。

  2. 土壌の乾燥とヒビ割れ: 土壌が乾燥し、ヒビ割れ状態になると出芽が遅れたり、除草剤の効果が低下する可能性があります。十分な水分供給と定期的な水やりを行い、土壌の乾燥を防ぐようにしましょう。

  3. 枕地の管理とスクミリンゴガイ対策: 播種後の枕地はやわらかくなっており、種籾が埋没したり、スクミリンゴガイの被害が発生する可能性があります。この場合は、播種前に額縁明瞭を掘り、出芽苗立ちの安定化とスクミリンゴガイの被害軽減を図りましょう。

  4. 機械の活用: クボタ高速高精度播種機「鉄まきちゃん」を使用すると、圃場の部分湛水の解消や入水・落水の管理が簡単に行えます。効率的な種子の播種をサポートするため、機械の活用を検討しましょう。

鉄コーティング栽培は、水分管理や被害軽減に注意を払いながら行うことで効果的な結果を得ることができます。大規模な農場では、経営効果も期待できるため、鉄コーティングの取り組みに価値があります。

播種時の圃場条件

落水播種・湛水播種

播種時の圃場条件について、以下のポイントに注意しましょう。

落水播種
代かき後、圃場が自然に水浸し状態になっている状態で播種を行います。播種作業が進んでいる間に入水を開始し、作業終了後は浅水(5cm以内)で管理します。この状態で出芽を促し、除草剤の拡散と土壌処理を行いましょう。

湛水播種
湛水状態での播種を行います。湛水播種では、除草剤が同時に拡散されます。ただし、高速での播種は水圧によって土壌が種子を覆ってしまう可能性があるため、注意が必要です。

適切な水の管理と除草剤の拡散により、種子の発芽と成長を促進させることができます。ただし、水圧による種子の覆いやすさにも注意し、適切な速度で播種作業を行いましょう。

気をつけるべきポイント!

初中期除草剤の散布タイミングは非常に重要です。苗がまだ小さくて確認しにくいかもしれませんが、適切な時期に除草剤を散布することで後期の除草剤散布を抑制することができます。正しいタイミングでの除草剤の散布によって、雑草の発育を制御し、作物の生育を助けましょう。

播種作業

(1) 播種量

播種作業における注意点

  • 主食用の場合、1アールあたり乾籾で2.5~4kgの播種量を目安にします。

  • 米粉・飼料米・飼料稲の専用品種の場合、乾籾で4~5kgを目安にします。

播種株間調節

  • クボタ多目的田植機「直播部」や専用機を使用する場合、足元の播種株間調節レバーを5段階で切り替えることができます。

  • 直播栽培の場合、3.3㎡あたりの株数を45株、50株、または60株としましょう。

  • 寒冷地以外では、分げつが旺盛なので株数をあまり多くしないように注意しましょう。

ロール開度と落下量

  • ダイヤルでロール開度を調節し、播種量を決定します。

  • 3.3㎡あたりの播種量やロール開度は、品種や環境によって異なる場合がありますので、播種前に落下量を確認しましょう。

これらの指標を参考に、適切な播種量と播種株間を調整して作業を進めましょう。播種前の確認と調整は、種子の均等な分布と健全な出芽にとって重要です。

播種日の天候に関する注意点

晴天・温暖な日に行う

  • 播種作業はできる限り晴天で温暖な日に行うことが望ましいです。

  • 暖かい気候では種子の発芽が促進され、作物の成長が良好に進みます。

曇天や少雨の場合:

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