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ナスの収穫から出荷

前回は「ナスの側枝の手入れ、腋芽かき」と題して、ビジネス的側面も絡めながら側枝の手入れから脇芽を書いていく方法などをご紹介させていただきました。

今回は、実際の出荷事例などをご紹介させていただきながら、一番果をどうしているかなどを共有させていただきます。

ナスの収穫は未熟果の状態で行われます。これは、流通や消費の都合ではなく、実際に私たちが普段食べているナスが未熟果であることに由来します。

一般的に、収穫適期はナスが出荷規格に達した時点で行われます。この時点での収穫により、品質を確保することができます。

ナスは収穫後にも成熟を続けるため、完全に熟すと果肉がやわらかくなり、味や食感が変化します。また、果肉内に種が成熟し、ナス自体が重くなるため、流通や保存に不向きとなります。

そのため、出荷用のナスは未熟果のまま収穫され、品質が最も良い状態で市場に提供されます。これにより、おいしいナスを消費者に届けることが可能となります。

ナスの収穫適期は品種や栽培条件によって異なる場合があります。生育状況や市場の需要に合わせて収穫のタイミングを判断し、適切な収穫を行うことが重要です。

農業は需要と供給のバランスを保ちながら、品質と効率を追求する産業です。収穫の適切なタイミングを見極めることは、生産者にとって重要なスキルの一つです。

初めてナスを作った時には、農協の出荷にもチャレンジしました。ナスの出荷においては、一定の品質を安定して提供できるかどうかが単価に影響することがあります。しかし、作物によってはこのような傾向は必ずしも当てはまらない場合もあります。

私が栽培している地域では、ナスに関してはあまり高単価ではなかったです。また、農協では共同出荷が一般的であり、出荷時間が決められていることが多いです。このため、出荷場に持ち込む時刻までにナスを収穫し準備する必要がありました。

共同出荷に参加する場合、他の生産者とのスケジュール調整や出荷ルールに合わせる必要があります。時間に追われることもあり、計画的な作業とタイミング管理が求められます。

農協の出荷は、集荷や流通面での効率化や共同資源の活用などのメリットもありますが、一方で自身の作業スケジュールとの調整や規定に従う必要があります。

それぞれの農産物において、市場環境や地域の需要と供給バランスなどが異なるため、生産者は市場の傾向や需要動向を把握し、出荷戦略や販売ルートを考える必要があります。

収穫後の選別や箱詰めなどの作業は非常に重要ですので、多くの農家は早朝から収穫を開始しています。

早朝に収穫を行うことで、気温や湿度がまだ比較的低く、作物の品質を保つことができます。また、太陽が高くなる前に作業を進めることで、作業環境がより快適になります。

収穫後は、収穫した作物を選別し、品質に問題のないものを選び出します。形や色、サイズなどの基準に合致した作物を選別し、不良品や傷んだものを取り除きます。

選別が終わった作物は箱詰めされ、出荷に備えます。慎重に作業を行い、作物を傷つけないように注意しながら箱詰めを行います。正確な数量や品質を保証するために、作業者は注意深く作業を進めます。

早朝からの収穫作業は、農家にとっては繁忙な時間帯ですが、良質な作物を収穫し、効率的に出荷準備を整えるために欠かせない作業です。

ナスの果実は黒い色をしているため、太陽光を吸収しやすく、品温が上がりやすい特徴があります。そのため、品質面を考慮すると早朝からの収穫が望ましいとされています。

早朝の涼しい時間帯に収穫を行うことで、果実の品温を低く保つことができます。高温になると果実内部の温度も上昇し、品質の劣化や腐敗のリスクが高まるため、早朝の収穫は品質維持につながります。

さらに、早朝は湿度も比較的高く、果実の水分が蒸発しにくい状態です。これにより、果実のシワや皮の乾燥を防ぐことができます。

品質を重視するためには、品温が上がりにくい早朝の時間帯に収穫することが重要です。農家の多くはこの点に注意し、品質を最大限に保つために早朝からの収穫を実施しています。

農協を通さずに直接スーパーやレストランに出荷する場合や直売所に出荷する場合でも、作業工程は大きく変わることはありません。

出荷先によって規格が異なることもありますが、形や大きさにこだわらず、出荷者が規格を決めることが一般的です。直売所では、三本から五本程度のナスをポリ袋に詰めて販売することが一般的です。

ただし、直売出荷中心の販売を考える場合でも、天候や樹の状態を注意深く観察し、適切なタイミングで収穫する必要があります。作物の状態や天候によって収穫時期や収穫量が変わることもあるため、迅速な対応が求められます。

直売出荷においても、品質を保つためには細心の注意が必要です。品質を重視し、適切な収穫時期や出荷タイミングを見極めることが成功の鍵となります。

収穫時期は常に同じ大きさで行うのではなく、例えば日照量が少ない梅雨時期などは収穫を少し早めることがあります。これは植物が十分な光合成を行えずに果実の成長が遅れる可能性があるため、予防的な収穫を行うことで品質を保つためです。

また、果実が一定の大きさや規格に達した場合には収穫を行い、樹の負担を軽くするように配慮します。果実が過熟化したり大きくなりすぎたりすると、樹への負担が増えるだけでなく、品質や収量にも影響が出る可能性があります。適切なタイミングで収穫することで、植物の健康を保ちながら最良の品質を追求することが重要です。

したがって、収穫時期は樹の状態や環境の変化に応じて微調整されることがあります。適切な収穫タイミングを見極め、品質や樹の負担を考慮しながら収穫することが、高品質な作物を生産するための重要な要素となります。

定植後に肥大を始める最初の果実は一番果と呼ばれ、その果実は思い切って小さいうちに収穫することが推奨されます。

一部の農家では、小さめの果実を収穫することで収量が減ると心配するかもしれませんが、実際には次に発生・伸長する芽が充実してくるため、次の果実の充実も早くなります。これにより、全体の収量に影響を与えることなく、作物の発育を促進することができます。

小さな一番果を早めに収穫することで、作物のエネルギーがより効果的に新しい芽の成長に向けられ、健康な植物の発育をサポートすることができます。また、小さな果実は収穫や取り扱いが容易であり、生産効率を向上させることも期待できます。

したがって、一番果の収穫時には思い切って小さいうちに収穫し、次の芽の成長を促進することで収量や品質の向上を図ることができます。早めの収穫が結果的に作物の生育を活性化させる一助となります。

一番果の収穫を確実に管理するためには、適切な目印をつけることが重要です。

一つの方法として、一番果を収穫した株に目印をつけておくことが挙げられます。たとえば、色付きのリボンやマーカーを使用して、一番果のついた枝やその周辺を目立つようにマークすることができます。これにより、後から見た際にどの株が一番果を収穫したかを明確に判断することができます。

さらに、一番果を収穫した株から第三主枝の誘因を行う場合、その株に特別なマーキングを施すことも有効です。たとえば、追加のテープやリボンを使用して、第三主枝の誘因を行う対象となる枝やその周辺を明確に示すことができます。これにより、作業を担当する人々が一目で誘因対象を把握し、適切な処理を行うことができます。

目印をつけることによって、一番果の収穫や誘因の管理が容易になります。複数人で作業を行っている場合でも、明確な目印があればコミュニケーションや作業の効率化に役立ちます。正確な管理を行いながら、一番果の収穫と次の成長段階への移行をスムーズに進めることができます。

それではまたお会いしましょう!

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