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外国人社員に刺激を受けることで、日本人社員のモチベーションが爆上げする

日本で働く外国人には前回の記事で挙げたような人材がたくさんいて、そんな外国人社員から日本人社員が刺激を受けるという相乗効果が生まれます。

その結果、会社の発展につながったという事例を紹介したいと思います。

数年前、「言の葉を綴じる杜」の創設と同時期に日本の大学を卒業し、IT業界へ進出した若者がいます。その彼は数年間のキャリアを経て、私の友人が経営するIT企業に転職しました。

転職の頻繁なIT業界において、この会社では特にシステムエンジニアの平均在職年数は僅か5年程度でした。しかし、この若者の登場以降、退職者の数が減少し始めたとのことです。

この現象の背後には何があるのか、社長である友人に聞いてみたところ、彼がいることで他の社員たちが刺激を受け、会社での学びや成長に対する意欲が湧いたとのことでした。

友人の言葉によれば、この若者は自己の将来を見据え、いつか自分の国に帰り、自身のビジネスを立ち上げることを夢見ていました。そのため彼は、どのような仕事においても経営者の視点を持ち、友人である社長に様々な質問を投げかけるのです。その質問に社長が答える機会を、他の社員たちも共有できる環境を作り上げたのです。これまで社長の理念や考え方を朝礼などで聞くことに耳を傾けなかった社員たちも、この若者を通じて社長の視点を理解し、聞き入るようになったのです。

さらに、彼はシンガポール育ちのタイ人であり、英語はネイティブに近いレベルで話すのですが、日本語は得意ではありませんでした。彼の存在により、社内での英語使用率が上昇し、エンジニアたちの英語力向上につながったとのことです。そして、英語を理解できるエンジニアが増えることは、国際的なビジネス展開を見据える会社にとって、大きな競争力となることでしょう。

以上から、多様なバックグラウンドを持つ外国人社員の存在が、企業全体の能力向上と成長に対する意欲を促す、大きなエネルギー源となり得ることがわかります。

言うまでもなく、多種多様な背景を持つ外国人社員の活躍は、日本人社員に対しても多大なる利益をもたらしています。さらには、社内での英語使用が増えることで、その企業がグローバルに展開する姿勢を明示的に示すことが可能となります。これは企業の外部イメージを大きく高める要素であり、国際的な視野を持つことを重視する現代社会においては、絶大な価値を持つのです。

この「グローバル企業」というイメージは、日本人求職者に対しても強力なアピール要素となり得ます。自分が所属する企業が国際的に活動しているという事実は、自身のスキルや視野が広がる場として捉えられ、その結果、より優れた人材が企業に引き寄せられるでしょう。

従って、外国人社員の採用と活躍が、企業の対内外の成長とブランドイメージ向上に対して重要な役割を果たすことは明らかであり、この動きは、より多様な視点と能力を持つ人材を引き寄せる強力な磁石ともなります。

日本の教育制度は一般的に、「傾向と対策」のテクニックに注目しています。それは受験シーズンの際、テストのパターンを分析し、どの問題が頻出であるかを判断するためのテクニックです。こうした手法は、学生が限られた時間内で最大限のパフォーマンスを発揮することを可能にします。例えば、私自身が学生時代にこの手法を用い、様々な試験で成功を収めることができました。

しかし、欧米諸国の教育制度は、個々の学生の能力により適応する形で進められます。例えば、アメリカでは、特定の教科で優秀な学生は「AP(Advanced Placement)クラス」というより高度なカリキュラムを受講することが可能です。こうしたシステムは、それぞれの学生が自身の強みを最大限に活かすことを可能にし、個々の学生が自分自身を高めるためのプラットフォームを提供しています。

それぞれの教育制度には長所と短所がありますが、企業が高度なスキルや特殊な視点を求める場合、欧米の教育制度によって育った外国人の採用が有効であると言えるでしょう。そのため、これからのビジネス環境においては、様々な国の教育背景を持つ多様な人材を活用することが、企業にとって大きな競争力となり得ると言えます。

私がアメリカの大学に通っていた時、その教育方針の一つとして、様々なバックグラウンドを持つ人々との意見交換を通じて課題解決能力を高めることがありました。これは、単に知識を得るだけでなく、多様性に対する理解と共働きの能力を育てるためです。

例えば、私は経済学のクラスで、さまざまな国籍や専攻の学生と共にグループプロジェクトに取り組む機会がありました。そのプロジェクトは、仮想的な経済危機を解決するためのポリシーを作り出すというものでした。我々のグループでは、物理学者、文学者、経済学者が一緒になり、各自が独自の視点から問題を分析しました。物理学者はデータ分析の手法を提供し、文学者は文化的な視点から問題を理解し、私たち経済学者は政策の経済的影響を評価しました。

このような学びの経験は、ただ知識を吸収するだけでなく、自己主導で学び、異なる視点からの意見を尊重し、チームで協力するという能力を鍛えました。そしてこれらの能力は、ビジネスにおいても非常に重要なものとなります。従って、多様性を受け入れる文化がある国から来た人材は、高い自主性、積極性、問題解決能力、コミュニケーション力を持っていることが期待されます。

人脈やネットワークが広がり、販路拡大になる

例えば、新たに観光業や国際貿易などのインバウンドビジネスを展開する予定がある企業にとって、外国人採用は非常に有益な手段となります。こうした業界では、外国人顧客との直接的なコミュニケーションが不可欠となり、そこでは自然と外国語の能力が求められます。

外国人社員の持つ母国語能力や文化的背景の理解は、異文化コミュニケーションの障壁を効果的に取り除く手段となります。さらに、外国人社員が自身の文化や視点を事業に反映させることで、企業は外国市場への適応能力を高め、事業の成功に大きく寄与することが可能になります。

したがって、インバウンドビジネスの推進という観点からも、外国人採用は極めて有益であり、外国人社員が持つ語学力と異文化理解力は、このような事業においては必要不可欠な素質となるのです。

もう一つの要素として、外国人採用は企業のネットワークの拡張という面で非常に有益です。実際の事例を通して、その可能性を具体的に示しましょう。

ある時、私は日本の食品メーカーからの依頼で、台湾の百貨店でプロモーション活動を行うことになりました。その際、現地での運営スタッフとして、台湾人の女性をアルバイトとして採用しました。その店舗は、すでに確立された人気店舗の後塵を拝していました。すなわち、新規参入でありながら、他の日本食品店舗に対する人気が非常に高かったため、私たちの店舗の売り上げはなかなか伸びませんでした。

しかし、その台湾人の女性が大きな変化をもたらしてくれました。彼女は自分のブログやSNSを活用し、私たちの店舗の食品を積極的に宣伝してくれたのです。そして、彼女の人脈とSNS上のフォロワーの力を借りることで、驚くべき結果が生まれました。私たちの店舗は、プロモーション最終の3日間で売上トップに躍り出たのです。

この事例から、外国人社員が持つ個人的なネットワークやSNSの影響力が、企業のビジネスにどのように積極的に影響を与えるかを実感できます。このように、外国人採用は新たな市場への進出や販路拡大における重要な要素となり得るのです。

彼女が作り出した驚くべき結果により、そのビジネスが台湾のある企業の注目を引くこととなりました。その企業は私たちに対し、同様のビジネスを台湾でも展開するようにとの提案を持ち掛けてきました。この機会を捉え、私たちは依頼元である日本の企業と手を組み、新たなジョイントベンチャーを立ち上げることとなったのです。

この事例は、外国人社員の存在が直接的に新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を示しています。彼女の積極的な行動とその結果は、一つの小さな店舗から新たなビジネスチャンスへとつながる大きなきっかけを作り出しました。そして、その結果、私たちは新たな市場に進出するための重要なパートナーシップを築くことができたのです。

実際、私が以前コンサルタントとして関わったある企業では、外国人採用を低賃金労働力としての解決策と捉えていました。しかし、彼らが犯してしまった誤解は、外国人社員の雇用における法的な側面を完全に見過ごしていたことでした。

その企業は、新たに雇用した外国人社員に対して、日本人社員よりも低い賃金を支払っていました。経営者は、外国人社員を雇うことで人件費を抑えられると考えていたのです。しかし、そのような行為は法令違反です。日本の労働法では、外国人社員に対する賃金は「日本人社員と同額以上」であるべきと明記されており、不当に低い賃金を支払うことは認められていません。

この企業は、法的な問題に気付かずに運営していたため、その後、労働監督署から指導を受けることとなり、賃金の支払いに対する罰金を支払うことになりました。さらに、この一件はメディアにも取り上げられ、企業のブランドイメージに大きなダメージを与えました。

このように、外国人社員を雇用する際は、法的な規定をしっかりと理解し、適正な処遇をすることが非常に重要です。外国人を雇うことによるメリットを享受する一方で、法的な責任を果たすことなくして、そのメリットを持続的に享受することは難しいのです。

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