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原寸大で描くことは、ありのままの自分に至る旅

今日は特別な本をご紹介したいと思います。タイトルは「言の葉、葉っぱ暦」。この本は、葉っぱの美しさ、複雑さ、そして何よりも生命力に焦点を当てた壮大な画文集です。想像してみてください、実に109点ものオールカラーのイラストが綴られているのです。ただの植物図鑑ではありません、これは葉っぱと人間の心の対話でもあります。

農業生産法人を経営していた時には毎日のように葉っぱを一枚ずつ観察します。これを葉脈診断というのですが、植物との会話でもあるのです。葉っぱをしばらく見つめていると、ふと見つめているのは自分なのに、自分が葉っぱに見つめられているような感覚を覚えることがあります。

著者は以前、農業生産法人を経営しており、その際には「葉脈診断」と呼ばれる独自の観察法を日々行っていました。これは一見単純な行為かもしれませんが、実は植物との対話、さらには自己探求の一環でもあったのです。葉っぱの一枚一枚に宿る独自の形状や模様は、その植物が現在どのような状態にあるのか、何を必要としているのかを教えてくれます。

だからこの本を手に取ると、ただ葉っぱを見ているだけでなく、葉っぱから見られているという不思議な感覚に襲われることがあるのです。まるで、その葉っぱがあなたに何かを訴えてきて、あるいは教えてくれているような気がします。

この本は、植物と人間、自然と文化が交錯する独特な世界観を持っています。ぜひ、この機会に「言の葉、葉っぱ暦」を手に取り、葉っぱの微細なディテールとその生命力に触れ、自分自身との対話を深めてみてください。

本書は、まさに葉っぱと人々との対話の舞台です。葉画家として活動する著者が三十年以上もの長い時間をかけて集め上げた葉っぱの絵は、文字通り葉っぱの「声」を伝えてくれる美術作品とも言えるでしょう。本書はその魅力的な絵を、十二の月に分けて展開しています。木の葉でも草の葉でも、それが瑞々しいものであれ虫食いであれ、それぞれの葉っぱが持つ独自の形、質感、そして存在そのものが何かを語りかけてくるのです。

この著者は、一枚一枚の葉っぱに耳を傾け、その声を一言も逃さないように、ひたすら描き続けてきました。葉っぱの風合い、その一つ一つに隠された微細なディテールまで、驚くほど正確でありながらも親しみのあるタッチで描かれています。それが三十年以上も続く情熱の結晶であり、この本に結実したのです。

何も語らずとも、葉っぱ一枚一枚が語りかけてくるその声は、自然界と人間、生と死、そして美と醜の間で交錯する複雑なエモーションと情熱を包括しています。そこには時間を超えた普遍性と、一瞬一瞬の独特な美が共存しているのです。

このような究極の愛情と精密性で描かれた葉っぱの世界に触れて、きっとあなたもその深層に響く何かを感じ取ることでしょう。「言の葉、葉っぱ暦」は、単なる画文集を超え、葉っぱと人々との究極の対話を実現するアート作品と言えるでしょう。是非、この魅力的な世界に足を踏み入れてみてください。

著者は自身の旅を語ります。それは足元、日常の中に広がる小さな世界を探求する旅です。この旅を始めたきっかけは、もっと自分の足元をしっかりと見つめたいという思いからでした。そして、その旅は今も延々と続いています。足元の世界には終わりがなく、常に新たな発見があるのです。

著者はこの旅で、葉っぱ一枚一枚をありのままに描き始めました。そして、自分に厳しく課したルールがあります。「原寸大での葉っぱを描くこと」。これは著者にとって生きてゆく上での鉄則であり、人生の指針です。実物と寸分違わぬ葉っぱの絵を三十年以上も描き続ける中で、そのぶれない姿勢は美しく眩しいものとなりました。

彼女は「原寸大で描くことは、ありのままの自分に至る旅」と語ります。このこだわりが、彼女の探求心を刺激し、美術の世界で輝かしい足跡を刻んできたのです。その情熱と精密さは、彼女の作品にそのまま反映され、私たちに感動とインスピレーションをもたらしています。

「言の葉、葉っぱ暦」に掲載されている葉っぱたちも、原寸大で描かれています。ただ、やむなく縮小されて掲載されている葉っぱはたった二つだけです。その一つがユリノキの葉っぱです。

著者がイタリアを旅していた際、不思議な形状の葉っぱに出会いました。それがチューリップツリーという名前の木の葉っぱだと知りました。しかし、帰国後、故郷のバス停でバスを待っていると、その街路樹がなんとチューリップツリーだったのです。

日本ではこの木はユリノキ、また別名でハンテンボクやレンゲボクと呼ばれています。著者が小さい頃からずっと見ていた木が、まさか自分の故郷にもあるとは思ってもいなかったことに驚きました。この出来事は、私たちが身の回りにあるものに気づき、それに新たな価値を見出すことの重要性を教えてくれるエピソードです。

旅と木の葉。意外に欲しいものは、身近に全部用意されているのかも。 ただ、私達は気づかないだけ。

この記述に私は、心を奪われました。

散歩の途中で出会った、不思議な形をしたハゴロモルコウソウの葉っぱをじっくりと眺めることで、驚くべき発見があったのです。 この葉っぱは、同じ仲間のマルバアサガオに似ているものの、花が咲くタイミングが大切なのです。

著者にとって、この葉の名前を知るのは、その葉を描いてからなんと10年もの歳月が流れた後のことでした。 この葉っぱたちは、日常の中で何気なく見かけるものかもしれませんが、その背後には遥かな過去から現在へと続く旅人のような歴史があるのです。

葉っぱの表面に付いた土粒や埃、これらも見逃すことなく、丹念に描き出していくことで、驚くべき変化が起こります。 ありふれた葉っぱたちは、その美しさをどんどん放っていくのです。これは、悩みの淵にいるときにひょっこりと現れ、著者を救い出してくれた新緑の輝きと同じ美しさなのです。

この繊細で美しい世界の発見は、日常の中に美を見つける魔法のような瞬間なのかもしれません。それを忘れず、私たちは周りの世界をじっくりと観察し、新たな驚きや美を見つけることができるでしょう。

季節のめぐりと共に、植物たちを丁寧に描き記すことは、本当に素晴らしいことです。 それぞれの月が持つ美しい瞬間を、あなたの筆致が生き生きと伝えています。

睦月から師走までの一年を通じて、自然界の美しさと変化を感じさせていただきました。 特に、原寸大の枝や花びら、葉脈など、細部へのこだわりが印象的です。それによって、植物たちの生命力と美しさが際立っています。

季節のうつろいと共に、小さな命をていねいに描写することは、その生命の尊さを再認識する機会となります。

著者は病に倒れ、抗がん剤治療を繰り返しながら、一つの葉を描くのに最低でも十八時間かけ、葉っぱたちの肖像を描き続けた。 この類いない一冊は、ただの画文集ではなく、一つの人生の自画像そのものなのです。

普段、何の気なしに目に映る緑が、あなたの人生を変える要因となることがある。 この作品は、そのような奇跡的な出会いと変容を称えるものであり、自然界の美しさと命の尊さを讃える優れた表現です。

これからも様々な美しい瞬間と出会いが、新たな感動と創作の源となることを期待しています。

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