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ナスのアグリハックを支える土づくり

前回は「うちのナスは一株あたりの収量が多い秘密」と題して夏秋ナスを多収させるポイントについてご紹介させていただきました。

今回は、「アグリハック」における多収の土台となる「土づくり」について共有させていただきます。

良質な土壌は健康な植物の成長を促し、収穫量や品質を向上させる重要な要素です。以下に「土づくり」のアグリハックのポイントをご紹介します。


過剰の欠乏

わたしが栽培する夏秋ナスは、盛夏を迎えると水分の吸収が最も活発になる特性があります。

最も水分を吸い上げる時期では、一株あたりなんと一日に6リットルもの水を吸い上げると言われています。この数値は、水分需要の大きさを肌感覚でも理解できるほどの量です。

このように水分を多く必要とするナスにとって、適切な水分供給は非常に重要です。以下に、水分管理のアグリハックをいくつか紹介します。

① 適切な灌水
夏季には特に水分供給が重要ですので、土壌の乾燥を防ぐために適切なタイミングで灌水を行います。

② 保水性の高い土壌
保水力の高い土壌を作り、水分の浸透と保持をサポートします。有機物の添加やマルチングを行うことで、土壌の保水力を向上させることができます。

③ 良好な排水
過湿状態を避けるために、排水性の良い畝作りや溝の設置など、適切な排水対策を行います。

これらのアグリハックを実践することで、夏秋ナスの水分需要に応え、健康な成長を促進することができます。

ただし、水分管理においては適度なバランスが重要であり、過剰な水や過度な乾燥も問題となります。観察と経験を通じて、ナスの水分ニーズに合わせた適切な管理を心掛けましょう。

盛夏のナス栽培では水分管理は欠かせない要素ですので、十分な水供給に努め、ナスの生育を支えましょう。頑張ってください!

一人で夏秋ナスを露地栽培する場合、広さが15アールで約930株の定植になるかと思います。この場合、約5,580リットルの水が必要となります。

通常、ローリータンクの容量は200リットルが一般的ですが、1台だけでは28回転の給水が必要となります。そのため、最低でも4台のローリータンクを購入しておく必要があります。

しかし、これは現実的ではないと認識されるかもしれません。通常、農業経営では効率的な資源の利用が求められます。

そのため、ナス栽培を行う際には、「前作水稲」の畑を選ぶか、水源が確保できるダムや蛇口のある畑を利用することがオススメです。これにより、水の取水が容易になり、効率的な栽培が可能となります。

畑の選択はナスの水分管理において非常に重要です。水の供給がスムーズに行える環境を整えることで、作業効率を向上させ、収穫量や利益を最大化することができます。

畑選びの際には、水源の確保や水の供給状況を考慮し、効率的な水の利用ができる環境を選ぶようにしましょう。

ナスの栽培は労力と時間を要する作業ですが、適切な畑選びや水の供給管理を行うことで、より効率的な栽培が可能となります。

根域を想像しよう

この栽培のケースでは、茎や葉の廃棄物や栽培期間終了時に残る植物体を含めると、光合成によって生産される量は6トン以上になると予想されます。

このような大量の生産を維持するためには、ナスの健康な根系が非常に重要です。根は植物にとって重要な役割を果たしており、肥料成分や水分を効率的に吸収し、安定した生育を維持するために欠かせません。

特に、根は酸素を必要としています。酸素は根の機能を活性化させ、根毛の成長や根の吸収力を向上させます。

したがって、ナスを含む植物の栽培においては、根の酸素供給を確保することが重要です。根が健康で充実している状態を保つためには、十分な通気性のある土壌を確保し、過湿状態を避けることが必要です。

また、根の成長を促進するためには、根部に十分なスペースを与え、適切な根の成長環境を整えることも重要です。適切な栽培技術や土壌管理を行うことで、ナスの根系を健康に保ち、効率的な肥料吸収と水分供給を実現することができます。

根の酸素供給に配慮しながら、健康な根系の育成に努めましょう。それによって、ナスを含む植物の生育を支え、安定した収量と品質を実現することができます。

ナスの栽培においては、「水持ちが良くて水捌けの良い畑」という矛盾した土壌構造が求められます。以下に、土壌の質を向上させるためのアグリハックをご紹介します。

① 有機物の追加
腐葉土や堆肥を適切な割合で土壌に混ぜ込むことで、土壌の保水力や栄養保持力を向上させます。有機物は土壌の粒子間隙を保持し、水分や栄養素の供給を助ける役割を果たします。

② マルチング
土壌の保温・保湿効果を高めるため、マルチング材を使用してナスの根元を覆います。マルチングは土壌温度の上昇を抑え、蒸発を抑制することで水分のロスを減らし、根の活動を促進します。

③ 微生物活性の促進
土壌中の有用な微生物の活動を活性化させるため、有機質肥料や微生物資材を施用します。これにより、土壌の分解・分解能力が高まり、有機物の分解や栄養素の利用が促進されます。

④ pH調整
適切なpH範囲を維持することで、根からの栄養素の吸収効率を高めることができます。土壌のpHが適切であれば、根の健全な成長や栄養素のバランスを維持することができます。

これらの土づくりのアグリハックを実践することで、土壌の質を向上させ、ナスの成長環境を最適化することができます。適切な保水力と排水性を持つ土壌は、ナスの根の健全な成長を促し、水や栄養素の供給を安定させることができます。これにより、健康的なナスの生育と高収量を実現することができます。

また、定期的な土壌分析を行い、必要な栄養素の不足や過剰を把握し、適切な施肥を行うことも重要です。土壌の状態を正確に把握することで、ナスの成長に必要な栄養素を的確に補給することができます。定期的な土壌分析は、栽培の効率化と作物の健全な成長に欠かせません。

土づくりは時間と努力を要する作業ですが、その努力は豊かな収穫と健康な作物につながります。ナスの栽培においては、土壌の質を向上させることで収量や品質の向上を実現することができます。

是非、土づくりのアグリハックを取り入れて、ナスの栽培における収量と品質の向上を目指しましょう。頑張ってください!また、このテーマについては今後、本マガジンで詳しく取り上げる予定ですので、お楽しみにお待ちください。

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