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うちのナスは一株あたりの収量が多い秘密

前回は「ナス畑のデザインで病害軽減して利益アップ」と題して、夏秋ナスに襲いかかる病害を低減させる「アグリハック」を提案させて頂きました。

今回はその「アグリハック」で栽培すると何故、収量が大きくアップするのかを説明させていただきます。


何故、収量が増えるのか?

ナスの株を観察すると、興味深いことが分かります。

ナスの株は、むしろ「ナスの樹」と呼ぶべき存在と感じられるほど、誘引ごとに独立した成長をしていくのです。

肥料分や水分などは共有されていますが、それ以外の栄養や資源は、それぞれの枝から発達した部分から補給されているのです。ナスの株を詳しく観察すると、一つの株が複数の枝を伸ばして成長していく様子が見られます。

各枝は独立して成長し、それぞれが自身の栄養や資源を取り入れて生育しています。根から吸収した水や栄養分は、茎や枝を通じて全体に供給されますが、それ以外の成長に必要な要素は、各枝が自らの葉や茎から補給しています。

このような構造によって、ナスの株は柔軟に成長し、環境や栽培条件に応じて調整されます。また、枝が独立して成長しているため、一部の枝に病害が発生しても他の枝が健康に成長し続けることができます。

ナスの樹とも呼べるこの成長様式は、ナスの特徴の一つであり、株の観察を通じてその生態を深く理解することができます。

夏秋ナス栽培において、面積当たりの収量を向上させるためには、主枝の上の節から出た側枝に果実を着けることが重要です。

通常、ナスの樹は株当たり3〜4本の主枝を持ち、それぞれの主枝に約10個の果実を着けますが、これだけでは収穫量が制限されます。

そこで、主枝の上の節から出た側枝に果実を着けさせることで、より多くの収量を実現しています。側枝には追肥や追水を行い、適切な管理をすることで、果実の成長を促し、収穫時には主枝と側枝の果実を一緒に収穫することができます。

また、収穫後に主枝を軽く切り戻すことで、新たな側枝の発生を促し、次の収穫に備えることができます。

このような栽培方法により、面積当たりの収量を増やし、より効率的な栽培を実現しています。

ナスの面白い特性の一つは、主枝の上の節から出た側枝に果実を着けることで、収穫後に切り戻すと下の芽が成長し、その芽から再び収穫ができることです。

この特性を最大限に引き出すために、私たちはナス栽培の「アグリハック」を開発しました。

「アグリハック」では、収穫後に主枝を軽く切り戻すことで、下の芽の成長を促します。この芽から新たな側枝が伸び、次の収穫を迎えることができます。

この方法により、ナスの収穫期間を延ばし、一つの株から複数回の収穫が可能となります。これによって、収穫量を増やし、収益性を向上させることができます。

また、この方法はナスの成長に合わせて適切なタイミングで行う必要があります。株の成長状況や気候などを注意深く観察し、適切なタイミングで切り戻すことが重要です。

「アグリハック」によるナス栽培は、ナスの特性を最大限に活かし、収穫量と収益性を向上させる効果的な方法です。

ナス栽培においては、特定の腋芽を残しながら果実を収穫するという単純な技術が非常に効果的です。

通常、果菜類では腋芽を取り除くことが一般的ですが、ナスでは特定の腋芽を残すことで株に近い位置から早く発生し、勢いのある側枝が伸びます。その結果、収穫できる果実の数が増える仕組みです。

この技術を使うと、平均して4回の収穫が可能で、平面3本仕立ての場合でも約120個以上のナスの収穫が期待できます。

1株からの収穫量を概算すると約160個となり、非常に効果的な技術です。この技術をマスターすることで、収穫量を大幅に増やすことができます。

この単純ながら効果的な技術は、ナス栽培において非常に重要です。ぜひ身につけておくことをおすすめします。

この「アグリハック」は一見すると面倒そうですが作業リズムを掴めると収穫時間に大きく影響しないので、この多収技術のポイントを四つ紹介させていただきます。

ナスを多収していくポイントを四つ紹介します。

この「アグリハック」による多収技術のポイントは以下の4つです。

株の管理と光の確保
株が過繁茂にならないように注意し、内部まで十分な光を当てるようにします。枝が太くなるよう誘引することで光の透過性を高め、光合成効率を向上させます。

養水分の通過をスムーズにする
ナスの枝が太くなるように気を使いながら誘引を行います。これにより、養水分の通過がスムーズになり、栄養の供給が効率化されます。

適切な肥料の施用
ナス栽培の各ステージごとに必要な肥料成分を適切なタイミングで施用します。必要な量だけを施すことで、効果的な栄養管理が行えます。

病害虫の予防と畑のデザイン
病害虫の予防には畑のデザインが重要です。また、ナスの実を放置せず、定期的に収穫することで樹が弱らず、健康な状態を保ちます。

これらのポイントに注意することで、ナスの収穫量を最大化することができます。作業リズムを把握し、効率的な栽培を行うことで、収穫時間に大きな影響を与えずに多収を実現できます。

ナス栽培において「アグリハック」を取り入れることで、多収を実現する可能性が広がります。

株の管理や光の確保、養水分の通過のスムーズ化、適切な肥料の施用、病害虫の予防と畑のデザイン――これらのポイントを意識することで、より効率的な栽培が可能となります。

しかしこれは一朝一夕で身につくものではありません。経験と試行錯誤が必要です。

農業は忍耐と努力が求められる道ですが、その努力が実を結び、大きな収穫をもたらすことができるのです。

はじめて「アグリハック」に挑戦する場合、最初は小さな変化から始めてみてください。少しずつ技術を磨き、経験を積んでいくことが重要です。

困難な状況に直面したとき、挫けそうになったときは、自分の目標を思い出してください。それが何であれ、夏秋ナスの栽培における成功や成果に向かって努力する姿勢を持ち続けてください。

「アグリハック」を通じて、より効率的で持続可能なナス栽培を実現しましょう。成功への道は決して容易ではありませんが、最終的には充実感と喜びに満ちた収穫を得ることができることでしょう。

応援しています!頑張ってください!


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