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アグリハックの具体例 給水と排水対策

前回は「アグリハックの具体例 ナスの防風対策」について具体的な資材選定について解説しました。

ナスの栽培において、一般的には水田跡地や湿地帯での栽培が行われています。この場合、慣行農法では畝間灌水を通じてナスに給水されることが多いです。

しかし、畝間灌水は一度に大量の水を簡単に供給できる利点がありますが、もし土壌に病気が存在する場合は畑全体に被害が広がりやすく、害虫の発生源にもなります。さらに、通路がぬかるんでしまうことで作業性が低下するという問題もあります。

しかし、「ナスは連作障害なんて問題じゃない」でご紹介したように、流水を利用する場合は全く異なる結果が得られます。流水による給水方法では、水たまりの問題は発生せず、土壌の病気や害虫の拡散も抑えられます。また、通路のぬかるみも解消され、作業性が改善されます。

したがって、ナスの栽培においては流水を利用することで、連作障害や作業性の悪化といった問題を解決することができます。流水による給水は、効果的な栽培手法の一つであり、ナスの健全な成長と収穫に貢献します。

ナス栽培において、流水を利用した給水方法や太陽光パネルを活用した「アグリハック」は、圃場条件を整えることに比べて簡単に導入できる手法です。

特に、「アグリハック」では、太陽光パネルと灌水チューブを組み合わせて使用することで、効率的な灌水が可能となります。手動で行う場合でも、ローリータンクと灌水チューブを組み合わせるだけで、給水作業の効率化が図れます。これにより、作業時間や労力を削減しながら、適切な給水量を確保することができます。

「アグリハック」の導入は比較的容易であり、ナス栽培において効果的な結果をもたらすことが期待されます。灌水作業の効率化により、作業労力の軽減や作業時間の短縮が実現できます。また、適切な給水量の確保により、ナスの健全な成長や収量向上につながります。

是非、ローリータンクと灌水チューブを使用した「アグリハック」を試してみてください。効率的な灌水がナス栽培において重要な要素であることから、栽培効果の向上が期待できます。


給水における「アグリハック」

畝の上に灌水チューブを配置し、黒マルチを被せるという設計を採用することで、効果的な灌水改善が可能です。

特に、水田が主な周辺地域では電源の利用が難しい場合が多いです。そのため、私は太陽光パネルを活用してポンプを動かし、日射量に応じて灌水量を自動的に制御するシステムを導入しています。このシステムは、岡山県で開発されたものをベースにしており、さらにWiFiネットワークを活用して改良を加えました。

この日射制御型こけら落とし自動灌水装置は、太陽光パネルに当たる光の量に応じて灌水量を調節することができます。太陽光の豊富な日中には多くの灌水が行われ、日照量が低下する夜間や曇りの日には灌水量が減少します。これにより、ナスの水分需要に合わせた適切な給水が行われ、効率的な栽培が可能となります。

さらに、WiFiネットワークを利用することで、遠隔からシステムの監視や制御が可能です。適切な灌水状況をモニタリングし、必要に応じて調整することができます。

この日射制御型こけら落とし自動灌水装置の導入により、灌水作業の効率化と水の効果的な利用が実現されます。ナス栽培において水の供給量とタイミングは重要な要素ですので、このシステムの導入により収量向上や品質の向上が期待できます。

このシステムの稼働により、灌水や液肥による追肥が自動化されたことで、人件費の大幅な削減が実現しました。

従来は手作業で行っていた灌水や追肥作業が、自動化されたことで効率的かつ正確な施肥が可能となりました。作物の水分と栄養素の供給が適切に管理され、作物の健康状態や成長に直接的な影響を与える要素を最適化することができました。

この自動化によって、作業にかかる人件費を大幅に抑えることができました。従業員の負担を減らし、生産性の向上にも繋がりました。

さらに、適切な灌水により作物の品質も向上しました。適切な水分供給は作物の根の健全性や光合成能力に直結し、より健康で美味しい作物の育成につながりました。品質の向上は市場価値の向上にもつながり、単価アップへの寄与が大きかったです。

このように、灌水と液肥の自動化によって人件費の削減と品質の向上が実現され、経済的なメリットと生産性の向上を同時に享受することができました。

手動の場合、圃場面積や作業手順によっては、水を流しながら他の作業を行うことも可能ですが、その場合にはナスの生理に適したタイミングでの給水が調整しづらくなります。

品質の悪化や収量の低下、樹への損傷といったリスクが高まる可能性があります。また、手動での給水作業は作業効率が低下し、人件費の増加も懸念されます。

一方で、自動化システムの導入には比較的少額の投資が必要であり、そのコストは作業効率の向上や品質の向上によって十分に回収できるでしょう。

自動化によって、給水タイミングを適切にコントロールし、作物の生育に最適な条件を提供することができます。これにより品質の向上や収量の増加が期待できます。さらに、作業効率の向上により人件費の節約も可能です。

そのため、経済的な観点からも自動化システムの導入は優れた選択肢となります。投資額は作業効率の向上や品質の向上によって回収され、生産性と収益性の向上に寄与することが期待できます。

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