妊活記録10.体外受精(C病院初診と子宮鏡検査と子宮内膜スクラッチ)

採卵嫌さのあまり、私の妊娠活動は停滞した。内科とかは行っていたけど。
これに関しては、B病院を恨んでいる。B病院のあの医者にかからなければ、私はあの2か月もっと元気に不妊治療にまい進できていたと思う。
ケタミンで死んでる夢を見ていたほうがまだましだったか、と天秤にちょっとかけてみたが、いややっぱケタミンのほうがだいぶ嫌だった。
だからといって激痛採卵をもう一度できるかというと…。

心の底から自分は不幸だと思ったし、夫の体質が憎かった(自分に問題ある可能性もちょっちあるけどそこは棚上げ)。
自然妊娠の可能性0と言われてなければ、おそらく辛い治療はもう中断して、天に任せてのんきに生きられたと思う。
正直に言うと、相手を変えたらすんなり子どもができるのかなと思うことも少しだけあった。
しかしながら、私は夫しか男性は好きじゃないし、世の男性も私のことを好きじゃないだろう。
もともと私を女性として熱烈に愛してくれる奇特なMANも夫だけだったし、一瞬婚活もやったがいける気しなかった。
私とてマイペースのわりに他人に気を遣いまくりの疲れる性格なので、人と会うとどっと疲れて、一人になるとようやく息を吐けるタイプだ。
夫に出会うまで、家族以外に私と話が合って、こんなに一緒にいて楽になれる人がいるとは思っていなかった。
私は夫がいるから子どもがほしいし、夫がいないなら子育てはできないと思う。
夫と一緒にもっと幸せになりたいから、いま不妊治療に耐えているのであって、それで体質が嫌だから別れるとか本末転倒すぎる。
もしもあきらめずに子どもがほしいなら、一か月でも一歳でも若いうちに体外受精に臨まなければいけないし、精子が仕事しないなら私の卵を採り出すしかないが、さりとてもう採卵は嫌すぎる…。

こんな感じの思考をひたすらループさせながら、もはや自分が何を調べているのかわからないままネットの海をさまよう日々が続いた。

麻酔どうする?
→わかんない。プロポフォールならいいのかも
でもどこが使用してるのかは謎

有名クリニックに行く?それとも個人病院にする?
→わかんない。有名クリニックのほうがちゃんとしてるし技術高そうだけど、非常勤医者がいっぱいいたりするしヤダ

低刺激と高刺激はどっちが私に合うのかな?
→わかんない。
なんとなく低刺激合ってない気がする。でも高刺激で麻酔で気絶するのヤダ

運動とか食事改善頑張ったほうがいいのかな?
→わかんない。
でもさすがに運動は自分のためにもしたほうがいいかも。
食事改善は知らん。卵の質って言うほど食べてるもの関係ある?
赤ちゃんの時から女子の体内には卵があるっていうし、食べ物関係なく老化するって定説じゃん。
抗酸化作用だけは関係あるらしいけど、この何か月でどうにかなるもんじゃないでしょ

ネットの不妊治療情報は果てしなく、先輩が苦労した分だけ、その苦労と涙の記録が手を伸ばすと無数に絡みついてくる。
ブログや文字に残していない人の分だけ含めると、いったいどれぐらいの人が同じ悩みで苦しんできたんだろう、と思う。
かつては高級外車が買えるほどお金がかかるのは当たり前で、コツコツ働いた貯金が泡になって消えるのも普通だったみたいだ。
長い通院の末授かった方もいっぱいいるが、記録を残してくれている方の中では不妊治療を卒業して、次の人生について考え直す方もいた。
私も必ずしもうまくいくとは限らないな、と思う。
採卵一回移植一回で運よく授かる人もいるが、採卵を20回迎えてようやく終えられた人もいる。
2024年日本の優れた高度不妊治療であっても魔法のような夢の治療ではなくて、どんなに優秀で高名な病院でも、女性がもともと持っている卵の質を根本的に上げることはできない。
うちの夫も男性不妊外来があるところに行かせてもみたが、全然精子はよくならない。
神社にお参りぐらいはするが、私は極力神頼みにはしたくないので、自分の努力が足りなかったとかまだ試されてるとか赤子が天から見てるとかそういう考えはしたくない。
生命科学に頼っている時点で、もうそういう地点を過ぎちゃってるんじゃないかと思う。
(と言っていますが神仏を信じて徳を積んでいる方を否定しているわけではありません。私はこう思っているだけです)
そう思うからには、高度な不妊治療にまだまだ頼らないといけないし、頼らないのなら頼らないできっぱり決意しなければならない。

1700字も費やして停滞期を表現してみたが、結論を言うと私はC病院に転院した。
あんなに色々考えて下調べしてネットの文献あさりまくってYouTubeみまくって煮詰まったあげく図書館で昔の妊活本まで読んだが、C病院に行ったのは数少ない知り合いから紹介されたといういきさつで、完全に勢いと成り行きである。

C病院は全く有名ではなく、アンダーグラウンドの裏の情報が飛び交う匿名掲示板の不妊治療スレでも、今まで名前が挙がったことはない。
都会にあるとはいえ個人病院で、B病院よりも規模は小さい。
HPもお金がかかった有名病院と比べると、地味~な感じで情報が見づらく並んでおり、そんなにババーン!と情報が出ていない。
ただまあ、口コミの評判はいいし、ツイッターを見ると幾分の先人が治療方法を書いてくれていてそんなに辛そうに書いていないし、採卵の苦しみの表現が他よりちょっと控えめだ。

というわけで、もう破れかぶれの気持ちでとりあえず初診行って嫌になったらもうブッチするしかねーやアハハみたいな気持ちで、私はC病院に行った。
まだ控えの選手として、ここでもいいかなと思える「採卵が痛くない」を売りにしている病院も残っている
(でもさー男性医師が言う痛くないって、あくまで患者からの伝聞調というか、お世辞入ってるんじゃないのっていうか、それって自分事ではないから自分でアピールすることではないのではというツッコミをどうしても消すことができなかったよパトラッシュ…)。

すっかり不妊治療病院にやさぐれた気持ちを持って嫌々再開したが、なかなかどうしてC病院は通いやすかった。
近くて通いやすいところから順番に転院しているので、距離感的にはもちろん今までで一番C病院が遠いはずなのだが、なんかこう病院がこじんまりとしていて、不妊治療クリニックには珍しく予約が機能している。
予約が形骸化している名ばかりの予約に慣れすぎて、もう病院に予約という概念はないと思っていたので感動した。
院長の性格が出ているのか、行ってから出るところまでほどよく丁寧でほどよくフレンドリーで、医師からスタッフの方まで皆さんさっぱりさっぱりしている。
1年で3つの病院を経験し、ずいぶんカラーがあるものだな、と思った。

通院一回目(初診)
今までの私の治療歴となんで転院したのかの説明
初めに会った看護師さんに、絶望のどん底で作った治療歴資料を
「すごい!医療従事者の資料みたい!わかりやすい!」
とほめていただき救われた気分になる。
単純なものでこの病院好き~☆ってなった。
院長と対面。医者ってどうして早口の人が多いんだろう。
頭の回転が速いとアウトプットも忙しいんだろうか。
左の卵巣が子宮の奥にあって本当に採卵がいやで仕方ないんです!と力説
移植3回失敗の悲しい過去があるので子宮鏡検査と子宮スクラッチをやろうということになった

通院2回目
子宮鏡検査と子宮スクラッチ。
採卵じゃないからとそこまで覚悟してなかったが、直前にラミナリアなる子宮口を開かせて固定する激痛の棒?みたいなのを2時間入れて移動するみたいな話が載っており、これ入れられたらどうしよう!?とおびえた。
登場した医師が院長ではなく常勤の若い先生だったため、B病院採卵と同じ流れだったのを思い出してさらに怯える。
ただこの先生は、いざ処置の前に、「痛いのが怖くて~」と建前で弱音を吐いたところ、「痛くないよう頑張りますね」と言ってくれたのでちょっと安心した。
こういうのにかえしてくれるだけで、だいぶ気分が違う。
処置のうまい下手はわからないけど、いい人だなと思った。

いよいよ本番の処置が始まり、まずナカに金属が入ってきた。ああ~クスコ…。
子宮口をつまんで固定するそうなので、子宮口が固くて後屈気味だと、これがすごく痛いらしい。
移植のときもこれ使ってたよね?
私は子宮はいつも逆三角形といわれるし、角度も幸いそんなに曲がってないので、ここで激痛を感じたことはない。ありがたいことに。
なんともいえない不快感はあるけど、耐えられないほどではないし、早く終わらないかなーと思うぐらいの余裕はある。

次に消毒があり、いつもの通りの不快感。これもまあまあ気持ち悪いが、そこまでの激痛でもない。
そのあと何かされた感覚があり、「もう入ってるんですか!?」とか言ってビビり倒したが、まだですよー(固定したんですよと言われたんだったか?)と言われてなんだまだか、と思う。

いよいよチューブが入ってきたときには、そんなになにかは感じなかった。たぶんチューブ自体はそんなに痛いもんじゃないんだと思うけど、そのあと何とも言えない猛烈な感覚があり、それが生理食塩水を流された状態なんだと思った。
しくしくともずきんとも言えない変な感覚。
生理痛なような、腹痛のような、内臓がぐちゃっとされてるような、妙な痛気持ち悪さ。長くは耐えられない、と思いながら「あ~ああー」と声を出して痛いアピールする。
ただ、やってる処置自体は爆速でやってくれたらしく、先生が「カメラ」「カメラ」と二声出したあたりでもう子宮鏡検査は終わったらしい。
ほっ、終わった…と思ったところ、
「次にスクラッチしますよー」と言われて、ええっ同時にやるの!?心の準備できてないよ!と思った瞬間、そんなに何も感じないまま何かが終わり、速やかに変な器具は抜かれて行って、あとはもう全然痛くもなんともない。生理食塩水流された方が嫌な感じだった。
スクラッチって全然痛くないのね。

後で調べたら、賛否両論あるみたいけど、スクラッチはやる時期を間違えると流産の可能性が上がっちゃってあまりよくないらしいけど、時期さえ合っていて着床不全の人相手なら、有意に着床率を上げるそうだ。
有名病院のブログにも好意的にあがっているので、患者としてはなんともいえない。
子宮鏡検査でいやーな感覚だったのは、30秒かそこらだったと思う。手早くてすごい。先生ありがとうございます!
ただ、二度やれと言われたらもうやりたくない。

その後の診察室にて、初めて自分の内臓の中というか、子宮の写真を見たが、なんだかよくわからなかった。
特に何事もなく赤ピンクでつるっとしてるなという印象だった。
「これが撮影した子宮の中です。この穴になっているところわかります?これが卵管の入り口ですね~」とのこと。
へえ~…。正常なのか全然わからないけど、これが自分の子宮だと思うと変な感じ。それよか炎症とかポリープは、と思ったら先生が説明してくれた。
「きれいなピンクの肌色で、炎症とかポリープもなさそうです。それより同時にした精子検査の状態出たんですけど、かなり少なくて…」
と言われ、私の多少苦痛だった子宮鏡検査は特に成果もなく、問題ないということでさっさと説明は終わってしまった。
炎症なさそうってことだからいいんだけど、それはそれでじゃあなんでいままで…と思った。

次は、生理が来たら採卵周期に入る。
通うのはいいんだけど、本当に採卵やりたくない。
ドラえもんの道具にタイムワープリールというものがあって、時間を飛ばして未来に行けるけど、ちゃんとやるべきことはやっている状態に飛べる道具があったが、切実に欲しい。


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