不動産売買契約書に<公租公課等の分担>という条項があります。 これは売買対象の不動産に課せられた固定資産税・都市計画税を売主・買主で分担しましようという慣行です。 一般的には売買した年の1月1日を起算日として、固定資産税・都市計画税を引渡日の前日までは売主、引渡日以降は買主の負担として日割清算することを売買の条件としています。 固定資産税・都市計画税の納税義務者はその年の1月1日における固定資産の所有者なので、引渡日以降の清算金を買主が売主に支払うことが通例です。 こ
杉並区高円寺のノグチ不動産吉田忍<ヨシダシノブ>です。 不動産を購入する際に、検討している土地が過去に何の用途に使われていたかを確認するため、「土地の地歴を調べよう」というコラムを書きましたが、登記事項証明書(登記簿)には近年の地歴しか表示されていないことがあります。 それ以前の地歴を調べる方法は? 今の登記記録はコンピューター化され、磁気ディスクで調整して法務局に保管されています。 また、往来の紙の登記簿も保管されています。これを閉鎖謄本といい、閉鎖謄本に過去の地歴
マンションのパンフレットや販売図面には専有面積の表示があります。 専有面積とは住人が独占的に使用できる部分です。 専有面積には2種類の表示があります。 通常パンフレットや販売図面に表示されるのは「壁芯(へきしん)面積」です。 上記図の壁中心部の赤点線で囲まれた部分を壁芯面積といいます。 「内法(うちのり)面積」は内壁で囲まれた部分の面積です。 これは区分建物の専有部分を登記する時に表示する面積で、法務局に保存している登記情報は内法面積で表示しています。 パンフレ
今回は地元高円寺の借地事情をご説明いたします。 高円寺は名のごとく多くのお寺があり、長仙寺、長龍寺、高円寺など、それぞれのお寺が広く土地を所有して、借地として様々な人々に貸しています。 また、氷川神社、馬橋稲荷神社などの神社、古くからの大地主も多く、神社、地主も多くの方に土地を貸しています。 弊社は多くの借地を管理している関係上、お寺、神社、地主の方、借地人の方から借地について、様々な相談事を承っています。 始めに借地とはなにかご説明しますね。 借地とは土地所有者と
もう、暑くて、暑くて、暑くて現場仕事は汗だくです(笑 今回は「地役権」についてご説明します。 地役権とは賃借権(借地権)や地上権と同様で他人の土地を利用できる権利です。 地役権の設定は土地を使いたい人と土地を使わせる人との契約で成り立ちます。 具体的な例では、他人の土地を通らないと道に出れない土地Aを所有している場合、道に出れないと困るので、道に面している土地B所有者に土地Bを通り抜けることができるようにお願いします。これを通行地役権設定契約といいます。 法律用語で
高騰している東京の不動産でもニューヨークやロンドン、香港などの物件よりはお手頃で買いやすいと言われています。 今回は日本国籍を持っている海外在住の方が、日本の不動産を購入する場合の注意点をご説明します。 転勤や帰国などで海外に移住していても、日本の国籍を有して住民登録や日本の銀行口座を残している場合は、日本にある不動産(投資物件など)は比較的に容易に買うことができます。 売主に売買代金支払うときは、代金支払と所有権移転登記は同時履行がセオリーなので、購入資金を海外の金融
前回の記事の続きです。 外国籍の方が所有する不動産を購入し、物件を投資用として賃貸する場合は、買主が譲渡所得税を払わなくてはなりません。 所得税(売買代金の10%)と復興特別所得税(0.21%)合計10.21%を、(大事なのでもう一度言います)買主が売買代金から源泉徴収し税務署に納税します。 これは国が譲渡所得税をとりっぱぐれしないようにする処置でしょう。 従って売主には売買代金の89.79%を支払います。 これを知らずに売買代金全額を支払ったとき、売主が海外に帰国し
今回は外国籍の方が所有する不動産を購入する場合の方法や注意点です。 日本で持ち家に住んでいましたが、母国のアメリカ合衆国に帰国したために持ち家を処分するケースでご説明します。 その物件を気に入って購入することになった場合は、取引がスムーズに行くようにするため、売買契約前に次のことを確認しておきましょう。 売主は海外在住のため所有権移転登記に必要な実印、印鑑登録証明書や住民票を揃えることができません。 その場合には居住している国(州)の公証人が発行する宣誓供述書(センセ
今回は未接道物件の売買について説明します。 家を建てる場合は原則的には建築基準法上の道路に、2M以上接してなければ建築できません。建築基準法上の道路とは、主に ①公道で幅員が4M以上のもの(建築基準法第42条第1項1号,2号道路) ②私道(個人が所有するもの)で幅員が4M以上あり、かつ、特定行政庁から指定を受けたもの(建築基準法第42条1項5号・いわゆる位置指定道路) ③建物がすでに立ち並んでいる幅員が4M未満の道で、特定行政庁が指定したもの(建築基準法第42条2項道
先日、積水ハウス分譲のグランメゾン国立富士見通りの新築事業中止と建物解体が報道されました。 実は国立富士見通りは僕の通勤路で、前を通るたびに新築分譲なのになんかひっそりしているなぁと感じていました。 地域住民から景観を損ねるとの反対運動が起因になったそうです。 富士見通りなのにこの建物で富士山が半分見えなくなるとのことで、確かに富士見通りから望む富士山は壮美です。 この規模からすると20億円程の損失になると予測されますが、積水ハウスのブランドに傷が付くことを懸念して事
本年令和6年4月に相続登記の申請が義務化されました。 これは前回の記事でもご説明した「所有者不明土地」の発生を予防するための処置です。 基本的なルールは、相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないこととされました。 あくまでも「取得を知った日」からなので、被相続人が「亡くなったのを知った日」ではありません。 また、遺産分割の話し合いがまとまった場合は「遺産分割が成立した日」から3年以内に、相
前回の記事では令和5年4月1日より施行された「民法のルールの見直し」についてご説明しました。 今回は同じ日に施行された「相続に関する新たなルール」についてご説明いたします。 相続が発生し相続人が複数名いる場合は、相続人全員で遺産分割の話し合いをしなければいけません。 例えば長男が親から生前贈与により住宅資金を貰い、その親の介護は長女が長年してきた場合などは、長男の取り分を少なくして、長女の取り分を多くするなどの取り決めをしたほうが話し合いがまとまりやすいですよね。 こ
都心でも長い間放置されたまま、草ぼうぼうの空地や郵便物が溢れかえっている空家があります。 これは所有者がお亡くなりになったあと、遠方の相続人が管理放棄しているか行方不明になっている場合が大半です。 現在、相続登記がされていないことなどによる「所有者不明土地」が、土地取引や活用の阻害要因になったり、土地建物が放置され近隣に悪影響を及ぼすなど様々な問題が生じて深刻化しています。 これを踏まえ、「相隣関係規定の見直し」や「所有者不明土地建物管理制度」など民法の一部が令和3年4月
前回の記事では不動産を売るときには権利証(登記識別情報通知)が必要と書きましたが、権利証を紛失した場合はどうなるか。 権利証がないと売主と登記名義人が同一か確証ができません。 また権利証は再発行はできません。 結論から言うとと売買は可能です。 不動産の売却に伴う所有権移転登記申請に必要な書類には権利証が必須ですが、紛失している場合の方法をご説明いたします。 ①法務局から売主本人に事前通知して本人確認 ②有資格者(主に司法書士)による本人確認 ③公証人による本人確認
今回は不動産を売るときに必要な書類などについてご説明しますね。 不動産を売却するときには、買主に所有権を移転する登記を申請しなければなりません。 登記は基本的には買主の指定する司法書士に委任します。 その時に売主が用意しなければならない書類等は ①登記識別情報通知(権利証) ②印鑑登録証明書(発行されてから3ヵ月以内のもの) ③不動産の評価証明書 ④本人確認資料(運転免許証、マイナンバーカードなど) ⑤実印 登記上の住所から転居している場合は ⑥住民票
前回は法定後見制度の記事を書きましたが、今回は家族信託のことを分かりやすくご紹介いたしますね。 家族信託とは一言でいうと「財産の管理」を後継者に任せる信託契約行為です。 親子間を例にすると、財産の管理を任せる親を「委託者」、財産の管理を引き受ける子を「受託者」、財産からの給付・分配を受ける人を「受益者」と言って一般には親がなります。 信託免許を持たない受託者に任せるので民事信託(信託銀行等に任せる場合は商事信託として報酬が発生します。)と言い「家族信託」は俗称です。