高騰している東京の不動産でもニューヨークやロンドン、香港などの物件よりはお手頃で買いやすいと言われています。 今回は日本国籍を持っている海外在住の方が、日本の不動産を購入する場合の注意点をご説明します。 転勤や帰国などで海外に移住していても、日本の国籍を有して住民登録や日本の銀行口座を残している場合は、日本にある不動産(投資物件など)は比較的に容易に買うことができます。 売主に売買代金支払うときは、代金支払と所有権移転登記は同時履行がセオリーなので、購入資金を海外の金融
前回の記事の続きです。 外国籍の方が所有する不動産を購入し、物件を投資用として賃貸する場合は、買主が譲渡所得税を払わなくてはなりません。 所得税(売買代金の10%)と復興特別所得税(0.21%)合計10.21%を、(大事なのでもう一度言います)買主が売買代金から源泉徴収し税務署に納税します。 これは国が譲渡所得税をとりっぱぐれしないようにする処置でしょう。 従って売主には売買代金の89.79%を支払います。 これを知らずに売買代金全額を支払ったとき、売主が海外に帰国し
今回は外国籍の方が所有する不動産を購入する場合の方法や注意点です。 日本で持ち家に住んでいましたが、母国のアメリカ合衆国に帰国したために持ち家を処分するケースでご説明します。 その物件を気に入って購入することになった場合は、取引がスムーズに行くようにするため、売買契約前に次のことを確認しておきましょう。 売主は海外在住のため所有権移転登記に必要な実印、印鑑登録証明書や住民票を揃えることができません。 その場合には居住している国(州)の公証人が発行する宣誓供述書(センセ
今回は未接道物件の売買について説明します。 家を建てる場合は原則的には建築基準法上の道路に、2M以上接してなければ建築できません。建築基準法上の道路とは、主に ①公道で幅員が4M以上のもの(建築基準法第42条第1項1号,2号道路) ②私道(個人が所有するもの)で幅員が4M以上あり、かつ、特定行政庁から指定を受けたもの(建築基準法第42条1項5号・いわゆる位置指定道路) ③建物がすでに立ち並んでいる幅員が4M未満の道で、特定行政庁が指定したもの(建築基準法第42条2項道
先日、積水ハウス分譲のグランメゾン国立富士見通りの新築事業中止と建物解体が報道されました。 実は国立富士見通りは僕の通勤路で、前を通るたびに新築分譲なのになんかひっそりしているなぁと感じていました。 地域住民から景観を損ねるとの反対運動が起因になったそうです。 富士見通りなのにこの建物で富士山が半分見えなくなるとのことで、確かに富士見通りから望む富士山は壮美です。 この規模からすると20億円程の損失になると予測されますが、積水ハウスのブランドに傷が付くことを懸念して事
本年令和6年4月に相続登記の申請が義務化されました。 これは前回の記事でもご説明した「所有者不明土地」の発生を予防するための処置です。 基本的なルールは、相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないこととされました。 あくまでも「取得を知った日」からなので、被相続人が「亡くなったのを知った日」ではありません。 また、遺産分割の話し合いがまとまった場合は「遺産分割が成立した日」から3年以内に、相
前回の記事では令和5年4月1日より施行された「民法のルールの見直し」についてご説明しました。 今回は同じ日に施行された「相続に関する新たなルール」についてご説明いたします。 相続が発生し相続人が複数名いる場合は、相続人全員で遺産分割の話し合いをしなければいけません。 例えば長男が親から生前贈与により住宅資金を貰い、その親の介護は長女が長年してきた場合などは、長男の取り分を少なくして、長女の取り分を多くするなどの取り決めをしたほうが話し合いがまとまりやすいですよね。 こ
都心でも長い間放置されたまま、草ぼうぼうの空地や郵便物が溢れかえっている空家があります。 これは所有者がお亡くなりになったあと、遠方の相続人が管理放棄しているか行方不明になっている場合が大半です。 現在、相続登記がされていないことなどによる「所有者不明土地」が、土地取引や活用の阻害要因になったり、土地建物が放置され近隣に悪影響を及ぼすなど様々な問題が生じて深刻化しています。 これを踏まえ、「相隣関係規定の見直し」や「所有者不明土地建物管理制度」など民法の一部が令和3年4月
前回の記事では不動産を売るときには権利証(登記識別情報通知)が必要と書きましたが、権利証を紛失した場合はどうなるか。 権利証がないと売主と登記名義人が同一か確証ができません。 また権利証は再発行はできません。 結論から言うとと売買は可能です。 不動産の売却に伴う所有権移転登記申請に必要な書類には権利証が必須ですが、紛失している場合の方法をご説明いたします。 ①法務局から売主本人に事前通知して本人確認 ②有資格者(主に司法書士)による本人確認 ③公証人による本人確認
今回は不動産を売るときに必要な書類などについてご説明しますね。 不動産を売却するときには、買主に所有権を移転する登記を申請しなければなりません。 登記は基本的には買主の指定する司法書士に委任します。 その時に売主が用意しなければならない書類等は ①登記識別情報通知(権利証) ②印鑑登録証明書(発行されてから3ヵ月以内のもの) ③不動産の評価証明書 ④本人確認資料(運転免許証、マイナンバーカードなど) ⑤実印 登記上の住所から転居している場合は ⑥住民票
前回は法定後見制度の記事を書きましたが、今回は家族信託のことを分かりやすくご紹介いたしますね。 家族信託とは一言でいうと「財産の管理」を後継者に任せる信託契約行為です。 親子間を例にすると、財産の管理を任せる親を「委託者」、財産の管理を引き受ける子を「受託者」、財産からの給付・分配を受ける人を「受益者」と言って一般には親がなります。 信託免許を持たない受託者に任せるので民事信託(信託銀行等に任せる場合は商事信託として報酬が発生します。)と言い「家族信託」は俗称です。
近年わが国は医療の高度発達などにより世界一の長寿国になりました。 同時に高齢者の認知症有症率も上がり、今では65才以上の6人に一人が認知症有症者と言われています。 不動産を売却する依頼を受けた時は売主の意思の確認をします。 まず売却を依頼する仲介会社と媒介契約をする際の記名押印の時、次に買主との売買契約書調印の際の記名押印の時、最後に引渡および所有権移転登記時における司法書士の面談による意思能力確認と登記委任状等の記名押印の時、以上の3段階で売主の売却意思の確認を行いま
不動産登記情報(登記簿)の表題部には土地の利用目的として「宅地」「雑種地」「公衆用道路」「山林」「原野」など地目が表記されていますが、この地目が「畑」と「田」の土地を売買する場合の手続きをご紹介いたします。 地目が「畑」「田」の土地を売買して宅地化にするには、農地法による転用の届出が必要になります。 杉並区にも生産緑地のほか、300㎡以下の小規模な畑が点在しています。 これらは一見して地目は「畑」と判りますがまず売りに出ることはありません。 注意する土地は青空駐車場です。
建築基準法42条2項によるセットバックの特殊なケースをご紹介します。 まずは道路の対面が川や水路の場合。 対面が道路後退できないので、片側一方後退になります。 下の画像は対面が水路(桃園川遊歩道)なので水路境界から4mセットバックしなければなりません。 次の画像はなんと墓地の間にある42条2項道路です。 セットバックすると道路脇のお墓を移動をしなければならなくなります。 セットバックするのは道路だけではありません。 下の画像は42条2項道路に繋がる42条2項階段です。
セットバックという言葉はご存じでしょうか。 建物を建てる時に敷地を道路として提供しなければならない部分です。 建築物の敷地は、原則として「建築基準法」による幅員4m以上の道路に 2m以上接してなければ建物を建てられません。(建築基準法第42条2項道路) しかしながら街中には幅員が4m未満の道路が沢山あります。 この場合には敷地の一部を道路として提供して、みなし4m道路として建築できるようにします。 提供するのは道路の中心線から2mで下の図の黄色い部分です。 その部分は道
やっと桜が咲いてきましたね。 以前の記事で遺言書の書き方をご説明しました。 遺言書は遺言者の意思でいつでも撤回ができ、また相続人全員の遺産分割協議で無効にすることができます。 確実に財産を一定の者に相続させることができる法律行為は「死因贈与」です。 「死因贈与」は贈与者の死亡によって贈与の効力が生じる契約です。 その方式は自筆、公正証書等の遺言書による遺贈の規定は準用されないので、口約束による死因贈与契約も可能です。 しかし撤回権は遺贈と同様に贈与者の最終意思が尊重されます