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「教育は立ちなおれるか」上田薫

「中学校勤務だからうまくいかない」
「中学校だから、自律的な学習は難しい」
そう、決めつけていた。

教科にとらわれていることへの疑問
なぜ、その教科を学ぶのか
わたしたちは何を子どもたちに教えようとしているのか
そもそもそれは、教えられるものなのか

上田氏から、矢継ぎ早にそんな問いがなげかけられる。

人間理解の貧しさが一番の原因だと、上田氏は語る。(p.49)
生きた人間がいないと上田氏は指摘する。
カルテをつけていると、そのような教育への抵抗を試みることができるそうだ。

子どもを見ていないからこそ起こる校内暴力。
今は不登校の問題が大きい。
教科は人間を虜にする。(p.54)
この考え方も面白い。
学びにどっぷり浸かるほど、その教科で何を学ぶしか見えなくなり、それを学ぶ人が遠くなるというのである。

上田氏は「教科で学ぶ内容の比重は、子どもによって違っていい」とすら述べる。(p.54)
今の時代にまさに求められている学びの在り方はここなのではないか。
子どもに応じて、学びの内容の比重を変える。
子どもにより、学びのフックは異なる。

個に応じたカリキュラム、個に応じたねらいが必要ではあるが、現実的に叶えられるのか。
上田氏は、数個でよいと述べる。
数個でも、年々蓄積すれば膨大な数になり、それを共有財産として校内で蓄積するというのである。

今のようなクラウドがあれば、それは十分に可能だろう。
多くの人たちの叡智を集めて、いつでも引き出せるようにデータバンク化する。
自分の指導に応じてカスタマイズする。
未来の指導体制はそのようであってほしいと心から願う。

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