#106_「わからなさ」に寄り添う

わたしは今年度、異動した。
今日、前任校から一冊の冊子が届いた。
子どもたちからの手紙だった。

5クラス、150人弱。
多くの子どもたちが「理科が本当に楽しかった」「理科が嫌いだったけど好きになった」、もと担任の子どもたちは「道徳で一番深く考えられた」と回答していた。

例えば、こんなことが書いてあった。

先生の道徳や理科の授業は、みんなとの意見交流やわかりやすい説明があったおかげで、とても理解が深まりました。いつかまた、1年〇組のメンバーで集まってみたいです。1年間担任として僕を支えてくれて、ありがとうございました。

1年間本当にありがとうございました。私は、中学校初めての担任の先生が「〇〇先生で本当によかった」と心から思いました。授業は1つ1つのことを丁寧に説明してくれたり、楽しくて面白い授業をしてくれたり、相談するときは真剣にきいてくれたり、そのおかげで、1年〇組はわたしにとって、自分の家と同じくらいと言ってもいいほど安心できる場所でした。

先生の授業はとても楽しかったです。難しいと思っていたら、すぐに教えに来てくれたおかげで、苦手だなって思っていた単元も好きになることができました。

いつも優しく接してくれて、ありがとうございました。授業もとってもわかりやすかったし、授業中「進んでる?」とか「めがねかけてたっけ?」とかたくさん喋りかけてくれて嬉しかったです。

書かれている内容は、授業中に交わした本当にたわいもない話だったり、小さな出来事だったりするのだが、一人ひとりとの1対1の関わりの中で生まれた確かなエピソードが子どもの心に残ることを実感した。

特に「自分の困り感」「わからなさ」に寄り添うことが、子どもの心の安心感の醸成に繋がることが、子どもたちの言葉から伝わってきた。

子どもたちは、わかりたいと願っている。

その願いを授業の中で実現させること。
「できた!」を実感すること。
これが、わたしたち教師の使命であること。

「わからない」ことから全ては始まる。
子どもたちが、自分の夢を描ける教室、学年、学校づくりをしていきたい。

あの頃を思い出してちょっぴり涙ぐんだ、切なくもじんわりと温かさを感じた夜。

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