#143_保護者対応の勘所②~相手の懐に入り込む~

保護者対応分析第二弾。
前回は#142_保護者対応の勘所①~保護者は子どもを育てる同志である~|せっちー (note.com)をお届けしました。
同じ目標をもつ仲間だから、喜びも悲しみも分かち合おうよ、っていう意識をもつ。
これ、めっちゃ大事。

今回は、問題行動を伝える場合の、保護者対応に対する捉え方と具体的な対応について考えます。

こちらは仕事、相手はプライベート

根底となる考え方は
「こちらは仕事、相手は日常である」意識です。

こちらは仕事ですから、相手が嫌だと思うことも伝える必要があります。
でも相手にとってはプライベート。
たとえ子どものことであっても、自分にとって嫌なことは聞く義務がないと思う人が一定数いるのです。

「この人の話はわたしの味方だ!」「この人の話ならききたい!」
そう思ってもらえることが何より大切です。
相手の心の支えとなり、信頼関係を構築するための3つのポイントをお伝えします。

3つのポイントとその解説

① 相手の時間をいただいている意識をもつこと
② 用件以外の負担感を抱かせないこと
③ 普段の子どもの様子、よいところを必ずセットで伝えること
この3つを徹底しています。
以下、具体的に解説します。

① 相手の時間をいただいている意識

サービス業に徹しろ、というわけではありません。
保護者と教師は、顧客と業者という関係ではありません。
あくまでも同志です。
同志だからこそ、時間については極力配慮すべきだと思っています。

相手の生活リズムがわからないからこそ、電話では必ず
「お忙しい時間にすみません。」と相手への配慮を忘れず
「今、お時間大丈夫ですか?」と確認します。

スマホにかけている場合、運転中の可能性もあります。
夕食をつくっているかもしれません。
「あなたの状況を気にかけていますよ。」というメッセージを必ず伝えます。

声のトーンも大切です。
柔らかく、相手が安心できるようにゆったりとした声で話します。

② 用件以外の負担感を抱かせないこと

問題行動の報告をきくことは、保護者にとっては自分の痛い部分を刺されるようなもの。
ただでさえ精神的な負担感を感じるのに、それ以外の負担感を感じてしまうと、そこからクレームが派生する恐れがあります。
これ以外の「金銭的な負担」「身体的な負担」を極力減らすための配慮です。

例えば、これはこちらが電話をかけてきたときに出られなかった保護者の方が、学校に電話をかけ直してくれたときに意識することです。
とても細かいですが、必ず
「よろしければかけ直しますね」
と伝えます。

こちらは、相手の料金プランはわかりません。
普段ほとんど電話を使わない方は、一番高い料金設定かもしれません。
こちらの説明に時間がかかったり、状況がうまく伝わらなかったりした場合、時間によっては通話料金が数千円かかってしまう場合も。
超基本、でも意識してるかどうかは保護者の印象に雲泥の差を生みます。

身体的な負担は、相手の仕事が遅い場合、お子さんの習い事などで忙しい場合に頻発します。
相手が仕事をしているか、何時に終わるかを把握していると、かなり話がしやすくなります。
「お仕事でお疲れですよね。」「ちょうどほっと一息つきたいところ、お電話すみません。」等と、相手への身体的(場合によっては精神的)配慮を感じる言葉を添えましょう。

保護者が母親の場合、自分の感情に共感してもらえると話が通りやすくなります。
「子どものことだけじゃなくて、わたしの身体のことも心配してくれている。」
「自分の都合だけじゃなくて相手意識をもって接してくれる。」

そう感じてもらい、相手の懐に入り込める隙をつくりましょう。

③ 普段の子どもの様子、よいところを必ずセットで伝えること

嫌な話は、相手の心になかなか入りません。
その子のいいところエピソードをどこかで添えるようにしましょう。

入れどころは相手によって変えていますが、わたしは
「いつも〇〇くん、△△としてがんばってて、頼りにしてるんですけどね。」等のように、話の枕として入れるパターン。
「(問題行動を伝えたあとに)でもお母さん、〇〇くんこんなこともしてくれてるんですよ。(具体的な言葉や行動、人への接し方)感動しました。」
「4月から〇〇ができるようになってだいぶ成長しましたよね。すごいと思います。」
等と、分割して話すことが多いように思います。

このときのポイントは「事実」だけではなく「自分のプラスの感情」を入れること。
この感情は、あなたのお子さんのこと、大事に思っていますよ、好きですよ、というメッセージになります。
「罪を憎んで人を憎まず」を徹底的に体現することが大切です。

自分の子どもを好きと言ってくれる人を嫌う人はほぼいません。
課題を感じる子ほど具体的なプラスの事実を常に把握しておき、このようなときに小出しに伝えることが大切です。

次回は「こんな保護者の場合は・・・」とケース別の具体的な言葉がけをご紹介します。


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