子どもが生きている記録
上田薫の論が好きだ。
心に迫るものがあるし、建前を遥かに超えた生きる上で不可欠な逞しさを感じられるから。
でも、なぜそのように感じるのか、今までよくわからなかった。
今日届いた古書は4冊。
そのうちの1冊がこれ。
「子どもの自立を助ける力」上田薫 編
ページをめくってみると、ある教師と子どもとの生活を描いた、生々しい記録だった。
その子とどのように関わってきたか。
どのようなやり取りをしてきて、どう子どもが変わったか。
なるほど、このような教師と子どもを追っていたからこそ、論の太さと逞しさを感じるんだな。
結びがまたいい。
「ひとりひとりを生かす根本は、人間尊重の精神につきるだろう。それは、わたしたち教師が個に達するということのみにおいてなされるわけであるので、今後も、子どもの中に飛び込み、子どもと共に膝をすりむきながら、その子なりのよさを伸していきたいと考えている。」
子どもを一人の人間として心から尊敬し、謙虚に学ぶ心、粘り強く深く見続ける力あってこその結びである。
至らなさを感じながらも、微力ながらできることを続けていきたい。
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