#169_中1ギャップは誰がつくるのか

「中1ギャップ」という言葉を聞いたことがありますか。
これは、文科省などの省庁からの言葉ではありません。
新潟のある教育委員会の会議の中で、指導主事の方が「どうしてここにギャップができちゃうのかね。」と呟いたことがきっかけだったそうです。

初めて調査研究の対象とされたのは2003年。今から20年も前のことです。
当時指導主事だった上野昌弘は、新潟県義務教育課指導主事として「中1ギャップ解消調査研究事業」の統括を担当し、調査を進めました。

中1で不登校になる生徒の傾向を以下の5つに分類しました。
①支え対象喪失
②関係づくりスキル不足
③関係維持スキル不足
④課題解決困難
⑤アピール機会喪失

一つ一つの具体例についてはここでは言及しませんが、一貫して言えるのは、小学校のきめ細やかな指導と見取りが、中学校の指導に生きていないということです。
人間関係の希薄さによる関係づくりのスキル不足、コロナ禍による発達課題の欠落の影響も大きいでしょう

ただコロナ禍により派生した親密な親子関係が、子どもの発達によい影響を与えている可能性を指摘する声もあるので、一概にコロナ禍が悪かったとは言い切れません。

大切なのは、わたしたちの心構えと確かな見取りです。
「ギャップ」をつくるのは子どもたちではなく、わたしたち教師の見方やつくる環境なのではないかという考え方もあります。
子どもたちがどの時期にコロナ禍を経験したかによる発達への影響も考慮し、目の前の子どもを的確に捉えて指導に当たる必要があるでしょう。


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