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『 好きなものたち 』 .7
『 石たち 』
誰でも子供の頃、好きな石や貝などを宝物のように大事に持っていたのではないでしょうか?私なども近所の工場に積んであった砂利の山の中から金色の入った鉄鉱石などを近所の子供達と何時間も探していたものです。その様な中で自然の美しさと言うものが誰しもの体の中に入り込んできたのではないかという気がしているのです。
以前、少しの間実家に帰っていた時があって、自分の事など何も出来ず、唯一の楽しみは山や川に出かけモチーフの写真を撮ったり、自然の中でボ〜ッとする時間でした。そうこうしているうちに、出掛けた河原でふと見かけた綺麗な石を拾ったのがきっかけで、石を集める事に夢中になりました。自分の事が何も出来ない状況で、それに代わる何かが必要だったのでしょう。最初は散歩をしながら探していたのですが、段々と大きな石になり、今度は自転車になり、最後はとうとう自動車で運ぶ事になってしまいました。そうしているうちに、ある大きな河原に出た所、そこの全てが綺麗に洗われた石で、私にとっては宝の山で狂喜乱舞で探し回ったものです。
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しかし、考えて見ると不思議な話で、無数の中から何を基準に「これだ!」と選ばれてくるのでしょう? 何が 選ばれて来るのでしょう? 以前にも書いた、陶工 河井寛次郎氏は「 もの買ってくる 自分買ってくる(1) 」と言う言葉を残していますが、となるとこれは、拾って来るのは自分と言う事になるのでしょうか?
<参考文献>
(1)河井寛次郎.1953.『火の誓い』.pp.224.朝日新聞社.
以前散歩がてら、海岸へ行っては家内と貝や石を拾い合って、まず、それぞれ拾った中から自分のNO.3までを決めて、それからせ〜ので順番に出し合って、勝った負けたを決め合って、最後にNO.1を出して最後の勝者を決めると言う遊びをしたものですが、これも良く考えると不思議な話で、人のものを含めてどこで勝ち負けが決まるのか?誰が決めるのか?この辺が面白い所だと思います。決めるのではなく、決まると言う所が中々妙だと思います。
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こちらは拾ってきたものの中でも一番大きなもの。もっと大きなものもいくらでもあったのですが、さすがにこれが大きさの限界でした。もちろん車で運んだのですが、車まで持って来るが大変でした。砂岩のものでしょうか、部分部分色々のものが混じり合って入っていて色合いが何とも美しいものです。
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これは二番目に大きなもの。見るからに 石!と言う感じがするもので、存在感と言い、色合い、風合いと言い素晴らしいもので、私の最も好きなものの一つです。
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これはちょっと写真が上手く撮れなくて残念なのですが、私の大好きなものの一つです。しかし見た所、取り立てて何が良いと言える所もなく、写真にも表現できていないのでこの良さをお伝え出来ないかも知れませんが、とにかく全体の存在感としか言えない所があって、大きさといい、重量感といい、色合いといい、自分の中にズシンとくるものが在るのです。
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こちらも私の好きなもので、今はコタツの天板の重し代わりに置いていて毎日眺めています。風情があって個人的には名石だと自認しています。
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こちらは家内が気に入って、同様にコタツの天板の重し代わりに置いています。ちょっと写真では分かりにくいのですが、全体にモッタリと丸々していて可愛らしいものです。2箇所白いものがはまり込んでいて、ポイントになっていて効いています。
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これは不思議なもので、何やら色々なものが混じり合っていて摩訶不思議な雰囲気を醸し出しています。それぞれの色が美しく、その混じり合いが玄妙で惹きつけられます。鉱物学的にはつまらない物かも知れませんが、私にとっては大変なものです。
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これも私の大好きなものの一つです。平らに置くより横に立てるとその佇まいが素晴らしく、絵になります。全体の色の変化も美しいのですが、何と言っても縦に入り込んだ黒いラインが効いています。
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これも不思議な物で、直角二等辺三角形と分かりにくいかも知れませんが、左下に丸の形が入り込んでいます。どうすればこんな事になるのか見当もつきませんが、鉱物学的に説明されたとしても恐らく納得できるものでは無いでしょう。これはこれとして、自分の中ではとにかく ”不思議なもの”として眼の前に置いておきたい物です。
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こちらも何が何やら分かりませんが、色々の四角の形が入り込んでいます。どうしてこんなはっきりした四角形が入り込むのか不思議な事です。全体の色合いも美しいものです。
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こちらも中々不思議なものです。赤い色の鉱物が入り込み、全体の色合いに見事な調和を与えていますが、何と言っても濃い藍色の模様の美しさに惹かれます。何か夕景の様にも見えます。こんな美しいものが河原に転がっているのですから楽しいものです。
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これも、あらゆる素材、あらゆる色が入り込んだ美しいものです。
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こちらは、まるで満天の星空を思わせるものです。美しいですね。
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こちらも美しいもので、無限の色合いの変化がたまりません。いつまで見続けていても飽きることはありません。このようなものをこそ自然の造化の妙と呼びたいです。古来から日本人が至高のものとしていた自然美の一端がここにも現れていると言ったら大袈裟でしょうか?
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こちらは石にしては変わった色合いのものです。これも中に色々の層が入り込んだ美しい一個です。
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こちらも色々の無限の変化が美しいものです。
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これらのような何でも無いものに何故惹かれるのか、自分でも良く分かりません。
美しい色がある訳でも無く、面白い形でもないこんなものに何故惹かれるのでしょう?あるのはグレーの石の中から滲んでくる様な濃いグレーが垣間見えるだけです。それが妙に私の中のどこかの琴線に触れるのです。ひょっとすると、私の制作でのヤスリの削り出しの効果と同じ根っこの美感覚かも知れません。
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この様なものを美しいと言っても他の方からは同感は得られないかも知れませんが、私は美しいと思うのです。何がそう思わせるのかさっぱり分かりませんがー。
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これは凄いですよね! こんな自然に出来た文様にはただ 美しい!としか言いようがありません。
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こちらは一目でわかる、一点の模様です。どうしてこの様なものを面白いと思うのでしょうか?そちらの方が不思議に思えます。
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こちらは色合いが何とも美しいもの。この様な美しい色を制作で出したいと思っているのですが、残念ながらまだ出せた事はありません。
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こちらのものは、引っ越しの時に持っては来たものの、飾っておく程のものでは無いかなと思い 庭に並べていた所 段々と気になり始め、また部屋に返り咲いたもの。置いて見ると、座りも良く、石に入っている明るいグレーの帯もドンピシャリ決まっていて、見飽きる事がありません。
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これも他の方には分かってもらえないかも知れませんが、私の中の琴線に触れるものがあって何とも心惹かれるものなのです。画家の有元利夫さんは、古い仏画やヨーロッパの古いフレスコ画を好きだったようですが、私と家内も同様で、古色がかった風合い、剥げかかった色などがたまらなく好きで、アンティークショップに行っても使い古した錆びた鉄の物、塗料の剥げた木材のものにばかり眼が行きます。時々散歩の途中道に転がっているそのような鉄屑や古材を見つけると、拾ってきては部屋に飾ったりしているのですから本物の筋金入りです。そんな美意識のせいでしょう、有元利夫さんの画風に惹かれ、自分の作品にもその様な風合いを求め、岩絵具を使ったり、ヤスリがけなどをしているのではないかと思うのです。私は武蔵野美大ですが、骨董屋に行くと良く「骨董屋に来るのは武蔵野美大の人が多いんだよ。」と言われますからひょっとすると、同じ様な共通する美意識が育まれるのかも知れませんね。そう言えば私も学生の頃はペインティングナイフで削ったり、引っ掻いたりしていたものです。「三つ子の魂〜」でしょうか?
この石にも同様の風合いがあって、何かゾクッとする様な快感を覚えるのです。
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右 長:約12cm 短:約10cm 高さ:約6cm
これはおまけ。広い河原を探し回っていると、こんなものにも出会えます。
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