「こころ」夏目漱石、テスト問題(後半)
現役国語教師である〝国語村長〟が、定期テストの予想問題を作成いたしました。学習の参考にしてください。(※あくまで参考でお願いします。みなさんに直接教えている先生の授業内容を優先してください。)
教科:文学国語(他)
教科書:明治書院(他)
ジャンル:小説
テキスト:「こころ」
著者:夏目漱石
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【問題】
〈語句の問題〉
問1
傍線b「サイソク」、c「シナン」を漢字に改め、e「詰問」、h「世間体」の読みをひらがなで答えなさい。
問2
傍線a「色を失って」、d「面目のない」、f「狡猾」、g「超然」の意味としてふさわしいものをそれぞれ後の選択肢から選び、記号で答えなさい。
a「色を失って」
ア 不安や混乱から何もかもやる気がなくなって
イ 情報としての新鮮さを失って
ウ 心配や恐怖でどうしていいのかわからなくなって
エ 突然の出来事に慌ててしまって
d「面目のない」
ア 恥ずかしくて、合わせる顔がない
イ 情けなくて、普通の表情を保てない
ウ 後ろめたくて、評判を上げられない
エ 気まずくて、笑うことができない
f「狡猾」
ア 落ち着きがないこと イ 不注意であること
ウ だらしがないこと エ ずる賢いこと
g「超然」
ア 頑固で、周囲の影響を受けないさま
イ 物事にこだわらず、ゆうゆうとしているさま
ウ 気力にあふれ、人一倍活動的であるさま
エ 周囲を見下して、なりふりかまわないさま
〈読解問題〉
問3
傍線①「一般を心得た上で、例外の場合をしっかり攫まえたつもり」とありますが、「一般」、「例外」の内容を説明した次の文の空欄に当てはまる言葉をそれぞれ指定された字数で文中から抜き出して答えなさい。
「一般」とは、「K」の( A 二字 )に富んだ性格と一途に( B 一字 )を求める生き方をしていることを表し、 「例外」とは、( C 二字 )の場合は( D 二字 )な振る舞いをするということを表している。
問4
傍線②「そうした新しい光で覚悟の二字を眺め返してみた」とありますが、
(1)その意味を説明した次の文の空欄に当てはまる言葉を文中から二十二字で探し、最初の五字を抜き出して答えなさい。
はじめは「お嬢さん」への恋をあきらめるという意味をもつと考えていたが、ここでは( )のではないかという考えで、Kの「覚悟」という言葉を捉え直したということ。
(2)本文全体の内容を踏まえると、「K」の口にした「覚悟」という言葉はどのような意味であったと考えられるか、次から最も適当なものを選び、記号で答えなさい。
ア 卑怯な「私」に復習をする覚悟。
イ 理想に反する自らの命を絶つ覚悟。
ウ 恋愛をしながら精進していく覚悟。
エ お嬢さんへの恋をあきらめる覚悟。
問5
傍線③「最後の決断」とありますが、何をする決断を意味しているか、説明しなさい。
問6
傍線④「冷やかす」とあるが、本文中における意味として最も適切なものを次から選びなさい。
ア 相手が困るようなことを言ってからかう。
イ よい品物を買うために丁寧に見て回る。
ウ 機会があったら買うために下見をする。
エ 買う気がないにも関わらず店を訪ねる。
問7
傍線⑤「あの話」とありますが、この内容を具体的に説明しなさい。
問8
傍線⑥「私の自然」とありますが、この言葉の意味を説明した次の文の空欄にあてはまる言葉を文中からそれぞれ指定の字数で抜き出して答えなさい。
問9
傍線⑦「何にも知らないK」、⑧「何にも知らない奥さん」とありますが、二人が共通して知らない事柄を簡潔に説明しなさい。
問10
傍線⑨「鉛のような飯を食いました」とありますが、
(1)ここで用いられている表現技法を漢字で答えなさい。
(2)この表現から読み取ることができる私の心情として最も適切なものを次から選び、記号で答えなさい。
ア Kを裏切ってしまったことに対する罪悪感と、謝罪すべきなのにでき
ないもどかしさ。
イ お嬢さんに断られるかもしれない恐怖と、Kを裏切ってしまったとい
う自省の念。
ウ Kの信じる道を踏み外した後悔と、奥さんに全てを知られてしまうか
もしれない焦り。
エ 隠し事をしている罪悪感と、奥さんに縁談について明かされてしまう
という恐怖。
問11
傍線⑩「卑怯な私」とありますが、こう述べる理由として最も適切なものを次から選び、記号で答えなさい。
ア Kに対して奥さんから距離を置くよう勧めるべきなのに、それをする
のが嫌になったから。
イ Kに対して自分とお嬢さんのことについて説明すべきなのに、それを
するのが嫌になったから。
ウ 奥さんに対して自分が恐れている点について口止めすべきなのに、そ
れをするのが嫌になったから。
エ 奥さんに対してKとお嬢さんのことについて説明すべきなのに、それ
をするのが嫌になったから。
問12
傍線⑪「絶えざる不安」とあるが、その内容の説明として最も適当なものを次から選び、記号で答えなさい。
ア 「K」にお嬢さんとの婚約を知られてしまい申し訳ない気持ちと、人
格を否定されるのではないかという不安。
イ 奥さんが「K」に婚約の話をしてしまわないかという不安と、それを
知った「K」がショックを受けるのではないかという心配。
ウ 「K」を出し抜いたことに対する良心の負い目と、「K」がお嬢さん
に告白してしまうのではないかという不安。
エ 「K」がお嬢さんに告白してしまわないかという焦燥と、それによっ
て婚約破棄されてしまうのではないかという不安。
問13
傍線⑫「倫理的に弱点を持っている」とあるが、ここから読み取ることができることとして最も適当なものを次から選び、記号で答えなさい。
ア 「私」が、自分自身の行為を、誰が見ても悪いものだと意識している
こと。
イ 「私」が、自分自身の行為を、自分の弱さから出たものだと意識して
いること。
ウ 「私」が、「K」との関係について、あくまで対等でいたいと考えて
いること。
エ 「私」が、「K」との関係について、あくまで優位に立ちたいと考え
ていること。
問14
傍線⑬「正直な道を歩くつもりで、つい足を滑らしたばか者」とあるが、それを説明した次の文の空欄に当てはまる語を後の選択肢から一つずつ選び、記号で答えなさい。
( A )に忠実に生きようとして、( B )結果になってしまったこと。
ア 禁欲的な目標 イ 個人的な恋愛感情 ウ 宗教的な信仰心
エ 恋愛を諦める オ 友人を裏切る エ 罪を犯す
問15
傍線⑭「進もうかよそうか」とありますが、どういう状態か。それを説明した次の文の空欄にあてはまる言葉をAは八字、Bは三字で文中から抜き出して答えなさい。
「K」に謝罪しようと思うものの、「K」の前で( 8字 )苦痛を思うと( 3字 )から決断できずにいること。
問16
傍線⑮「私はがたがた震え出したのです」とありますが、その理由の説明として最も適当なものを次から選び、記号で答えなさい。
ア 世間からの非難を受けながら生きなければならない運命を悟ったから。
イ これからの自分の一生が無駄になってしまうことを思い知ったから。
ウ 罪の意識にさいなまれながら生きねばならない未来が見えたから
エ 犯した罪の重さに気づいて、死によって償う覚悟を決めたから。
問17
傍線⑯「それでも私はついに私を忘れることができませんでした」とありますが、この説明として最も適当なものを次から選び、記号で答えなさい。
ア 親友が自殺したにも関わらず、これからのお嬢さんとの平穏な生活が
損なわれることを考えてしまっているということ。
イ 親友の自殺を目の当たりにし、自殺の可能性を感じながらも止められ
なかった自分を責めているということ。
ウ 親友の自殺を目の当たりにし、自殺の原因が自分にあることに恐怖を
抱き何も考えられなくなっているということ。
エ 親友が自殺したにも関わらず、これからの夫婦生活における自分の面
子を優先して対処してしまったということ。
オ 親友の自殺を目の当たりにし、自分の行いを悔いながらもその場でで
きる最善の処置を施そうとしたということ。
問18
傍線⑰「私はわざとそれをみんなの目につくように、もとのとおり机の上に置きました」とありますが、その理由として最も適当なものを次から選び、記号で答えなさい。
ア 遺書の内容に何ら不都合な記述がないことがわかり、奥さんとお嬢さんが読んでも「私」の不利益にはならないため。
イ 勝手に遺書を読むことは不作法であり、元通りにしなければ家人に礼儀をわきまえない人間だと思われてしまうため。
ウ 遺書には奥さんやお嬢さんへの言葉も含まれていたので、Kの最後の言葉としてみんなに読んで欲しいと思ったため。
エ 奥さんにKを裏切ったことで不信感を持たれていたが、遺書を読ませることで自分が信頼に足ることを証明できるため。
問19
Kの自殺の原因として考えられることをまとめた次の文の空欄にあてはまる言葉をAは四字、Bは三字で文中から抜き出して答えなさい。
求道者としての生き方と恋をしている現在の自分のあり方との矛盾に気づき、( A )な自分はとうてい( B )に「望み」はないと考え、さらに、一旦自己処断の覚悟をしていながら生きながらえることへの屈辱感に耐えられなくなったから。
問20
「K」を裏切った「私」の人間性を表す言葉として最も適当なものを次から選び、記号で答えなさい。
ア ナルシシズム イ エゴイズム
ウ アナーキズム エ シュルレアリスム
〈知識問題〉
問21
「こころ」という作品に関する説明として最も適当なものを次から選び、記号で答えなさい。
ア 同じ女性を愛してしまった友人同士の葛藤を克明に描き、自尊心の在り方を問い詰めた自然主義文学の傑作である。
イ 近代における人間関係の複雑さを恋愛感情を中心に据えた、西洋文学の影響の強い浪漫主義文学の傑作である。
ウ 旧来の日本の恋愛及び家族の在り方を問題視し、新しい価値観を世に問うた啓蒙主義文学後期の作品である。
エ 平易な文章で人間心理の内面を深く探究し、複数の登場人物の主観を交差させた群像劇の先駆け的作品である。
オ 自分の利害に執着してしまった知識人の苦悩と孤独を描き、友情と愛の不可能性を追求した近代文学の傑作である。
問22
次の文章は、「夏目漱石」についての説明である。空欄にあてはまる作品名をそれぞれ答えなさい。
夏目漱石は、ロンドン留学から帰国後、高浜虚子の勧めで、デビュー作『( A )』を書き、雑誌『ホトトギス』に掲載して文名があがった。その後、朝日新聞の専属作家になった漱石の作風が樹立されるのは、『三四郎』、『それから』、『( B )』の三作品を書いてからで、これらは前期三部作と呼ばれている。また、胃潰瘍で一時危篤状態となったが、その後療養を経て、『彼岸過迄』、『( C )』、『こころ』が書かれ、これらは後期三部作と呼ばれている。死の直前には、『( D )』を書くが、未完の絶筆となった。
問23
漱石に「鼻」という作品が絶賛された作家は誰か、答えなさい。
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